●手の感覚





これは、私がまだ東京で電話相談をやっていた頃の話である。




短期大学生だと言う女性からの電話でした。



彼女は大学卒業を前に、


友達2人と卒業旅行と称して栃木県のある温泉に行ったという。





温泉地の名前も聞いたのですが、ここに書くと影響があるので、


某温泉としておきます。






彼女はその時に体験した不思議な出来事を、私に話してきました。







これからお話しする事は、


少しだけ怖い内容となっていますので、怖がりな人は、夜読まないようにね。


もしくは、下記を読まない様にしてください。

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彼女達は、旅館に着くと部屋に荷物を置き、


さっそく最初に温泉に入りに行った。





自然に囲まれた露店風呂は、開放的でとても癒されたという。







ただ、1つだけ気になった事があったという。




それは、






彼女達の部屋から露天風呂に歩いて行く途中に、


一部屋だけ入口に使用禁止と書いた札があったのだ。







その時は、特に注意もせず、


ただその部屋の前を通り過ぎて、露天風呂に行ったという。









ところが、風呂からあがって、


3人で再びその部屋の前を通った時である。






その使用禁止と書いた札が、


裏返しになって廊下に落ちていたという。






友人たちは、ほっときなよ。と言ったが、


彼女は「でも、他の人が踏んだら・・」と、


その札を元の所に置いたという。







やがて夕食時間となり、


沢山の種類の田舎料理を堪能した。





同時に、3人でお酒やワインも沢山飲んだという。


お喋りも沢山して、3時間位たった頃。








彼女は、寝る前にもう一度温泉に入る言い出した。





彼女曰く、旅行会社の人に聞いたら、


温泉マークの3本線の湯気の意味は、温泉



1本目は宿到着後に軽く5分程度入り、


2本目は温泉の効能を確かめるべく寝る前8分程ゆっくりと入り、


3本目は旅立つ前の朝風呂としてさっと3分程入るのが良いという意味だと言う。






だから、彼女は寝る前に入るのだと、友人を誘ったのだが、


友人2人は酒もまわっており、面倒だから朝入ると言って寝込んでしまった。







しかたなく、彼女一人でさっき入った露天風呂に向かった。







すると、


あの使用禁止の札があった部屋が開いているのである








普段の彼女なら、絶対にしない事らしいが、


その時はお酒の勢いもあってか、


使用禁止の部屋というのは、どんな所か、


部屋のドアも開いているので、見て見ようと思ったという。






そして、





彼女がドアに手をかけて、


一歩部屋の中に足を踏み入れた時だった。













「ガシッ!!!」







突然、誰かの手が暗闇の下の方から出て来て、


彼女の足首をつかんで、部屋に引き込もうとしたという。







彼女は声を出そうにも、声が出ず、ドア付近に倒れた。



そして、助けてと、声が出ないが手を伸ばした時だった。



今度はその手首をまた誰かに、つかまれて引っ張られたという。





その瞬間、彼女は意識を失った。








その後、廊下で気絶していた彼女を従業員の方が見つけた。




彼女は言う。


友達に言ったのだが、信じてもらえなかったと。



でも、確かにかなり酔ってはいたけど、


あの足をつかまれた感覚や、


手を引っ張られた感覚は絶対間違いなくあった事だと。



そして聞いてきた。


「先生は、これどう思われますか?」















まあ、こういう相談は、正直言って難しい。





本来なら、私もその旅館に行って、


その部屋や廊下を見てみないと、はっきり言えないし、


また、友達が言うように、


彼女が酔っていてただ廊下に寝てしまったとも考えられなくはない。







しかし、はっきり言える事が1つある。


それは現在彼女はお金を払って私に相談してきているという事である。


そんな時、彼女の友達と一緒になって、


それは貴方が酔って夢でも見ていたんだよ。


と言うだけでお金をもらう訳にはいかない。








そこで、彼女が本当に幽霊につかまれたと仮定して話を進めた。








まず、気になるのは、


その現在は使われていないという部屋である。


「その使用禁止になっていた部屋が少し開いていたとの事ですが、


 中は見ましたか?」




「見ましたが、暗くて何も見えませんでした。」





「何でその部屋が使用禁止になっていたか、誰かに聞きましたか?」



「いえ、聞けませんでした。」





ちょっと残念である。


もし聞いていたら、何かヒントになる事が分かったかもしれない。








しかし、話しから推察すると、


露天風呂から比較的近い距離にあり、


窓からの眺めも良さそうな部屋であることから、


普通なら良い部屋である。


なぜそんな部屋を使用禁止にしてあるのか、確かにおかしい。


何かその部屋であったのかもしれないと推測されるが、


真相は分からない。










しょうがないので、私は彼女に別の角度から聞いてみた。



「あのう、足首がつかまれたという部分と、


 手首がつかまれた部分に、


 手の跡とか、ついていませんでしたか?」






なぜ聞いたかと言うと、


霊につかまれた時、


ときたまそのつかまれた跡がくっきりとついている場合があるからです。






しかし、彼女は覚えていないという。


そこまでは注意して調べなかったと言った。





まぁ、彼女の場合、


廊下にだいぶ気絶していたので、


つかまれた跡があっても、段々と消えてしまったかもしれない。








「では、足をつかまれた時の感触は覚えていますか?」





「感触ですか?」




「はい、冷たかったとか・・・」




「ああ、


 そう言えば、ヒヤッとしたかな。少し冷たかった様な」






「じゃあ、手首をつかまれた時の感触はどうでしたか?


 やっぱり冷たかったですか?」




「いえ、冷たくは無かったと思います。


 普通より少し温かかったかもしれません。」






「ほう。そうですか。


 では、その時か、


 従業員に起こされた後か、


 翌日、朝目覚めた時に、


 誰か亡くなった人が頭に浮かびませんでしたか?」





すると、彼女は、


「そう言えば、従業員に起こされた後、


 怖くて風呂に入らずに部屋に戻って寝たんですが、


 その時お婆ちゃんの事が少し浮かびました。


 でも、何でそんな事を聞かれんですか?」







「実はね、


 触られた手の感触によって、


 敵か味方か分かる時があるんですよ。」









「ホントですか」






「貴方が最初に、部屋の中から出てきた手に触られた時、


 その手は冷たかったと言いましたよね。




 基本、冷たい手は敵


 つまり、貴方にとって悪い方へと誘う手と言え、


 次に貴方の手首を引っ張った温かい手は、味方



 つまり、貴方を助けようとした手だと言えます。


 そして、多分、助けたのは貴方の守護霊で、


 その守護霊は貴方のお婆ちゃんだったと推測されるんです。」







一般に、普段よく思い出す亡くなった人は、


貴方の側に来ている場合がある。


そして、彼女の場合、


思い出しただけではなく、助けてもらっているので、


彼女の守護霊ではないかと推測できるのである。






だから、彼女は、


地縛霊か何かに、足を引っ張られ部屋に誘いこまれた時、


守護霊のお婆ちゃんが、彼女の手首を引っ張り助けたと思われた。





彼女には、


お婆ちゃんに、あの時は助けてくれてどうもありがとうと、


お礼をよく言う様に言った。



お礼を言う事によって、また次も助けてくれるからである。







最後に、彼女が、


「普段私は霊感などまったく無いのに、


 どうして、こんな体験をしたのでしょうか?」と聞いてきた。






「風呂に入る前に、何か体から外した物はありますか?」


「体から外したって、何ですか?」




「例えば、時計とかネックレスとか」



「ああ、


 時計とネックレスを外しました。」



「ネックレスは金属製ですか?」



「今もしてますが、金属の部分もあります。


 なぜですか?」





「まぁ、人にもよるんだけど、


 時計やネックレスとかブレスレット、アンクレット、指輪など、


 金属の物を沢山持っていると幽霊に会いにくい、見にくいんだよね。


 だから、貴方が風呂に入るというのもあって、


 体から貴金属を外したのも、そういう体験をした1つの要因だったと思うよ。」






ちなみに、


普段外で歩いている時に、


人からよく道を聞かれたり、


写真を撮ってくださいなどと全く知らない人からよく声をかけられる人も、


ひょんな場所で霊から頼られたり、


不思議な現象に遭いやすいと言える。


END