●見えない鎖(くさり)
ある日、サラリーマンと思われる男性が相談に来られた。
平日の昼間に、男性が来られるのは珍しい。
つい、営業か?サボりか?と思ってしまう。
胸に社章か何かのバッチを付けている。
どこかある程度大きい会社の社員だろう。
ちなみに、私の場合、お客が帰った後で、
彼の会社が何か気になった時は、下記などで調べる事がある。
昼間に訪ねて来る男性は、仕事の相談が多いが彼は違った。
また、普通、私の所へ相談に来られる方は、
今こんな事が起きた困っている、
今こんな奇妙な現象で悩んでいると来られるのだが、それでも無かった。
彼の悩みは、
将来に起きるかもしれない祟りを心配しての事だった。
彼は言った。
「田舎で暮らしている母を、
東京の自宅に呼び寄せて一緒に暮らしたい」のだと。
最初は、ごく普通の親孝行息子の相談に思えた。
てか、私に相談する必要もなかろうが。
「奥さんが反対されているとか?」
「いえ、妻は賛成です。
一週間前に、母が自宅で転んで足を怪我したんです。
それで独り暮らしで、日常生活にも不自由になったので、
呼び寄せる事には賛成してくれました。
以前正月に、実家に里帰りした時、妻と母とは意気投合して、
仲良くやれていたのも幸いしたようでした。」
「なるほど、
じゃあ、田舎のお母様がこちらには来たくないと?」
「いえ、母も出来れば私と一緒に住みたいと言っています。」
ニャルほど、じゃあ、いよいよ私の出番は無いニャ。と内心思った。
しかし、彼の相談の本丸はここからだった。
一緒に暮らしたいという息子と、
息子と一緒に暮らしたいという83歳の母。
ただ「こちらに引っ越して来る」が出来ない事情。
それは、
墓。
彼の母は言う。
今、私がご先祖様の墓を守っているのよ。
ひいお爺ちゃん、ひいお婆ちゃん、お爺ちゃん、お婆ちゃん、
15年前に亡くなった夫、事故で亡くなった長男など、
相談に来られた彼以外に、親戚はいないという。
つまり、彼の母親が東京に引っ越して来たら、
誰がご先祖の墓を守っていくのかというのだ。
また、彼の母は、呪いの様なものを恐れていた。
それは、実際に起きた事だと言う。
母親の3軒隣のお爺さん家も同じような事情で、
村を捨てて、息子が住む大阪に移り住んだと言う。
しかし、その1年後、
そのお爺さんは突然の心筋梗塞によって、亡くなったという。
また呼び寄せた息子さんも自動車事故を起こして、重症を負ったのだ。
村の人は、墓守を放棄した人への村の呪いだと噂した。
噂では、ひと昔前にもその様にして、村を捨てた人が直ぐに死んだと言ったという。
こうして、相談者の母親は、
◆墓守を放棄する事からくる村の呪い。
◆ご先祖様にすまない。
という理由から、東京で息子と暮らしたいと思いながら、
田舎を離れらないという、見えない鎖につながれていた。
そんな難しい問題に、彼も仕事が手につかないという。
私はつぶやいた。
「村の呪い」か・・・
さて、もし貴方だったら、
彼になんと言いますか?
(考えてみるだけで、コメントしなくていいですよ)
後半は、明日のブログに続く。