黒いボールペンを怖がる坊や




これは私が、中学生の時の話である。





まだ、父が健在だった頃、


よく夏休みには、父の田舎に家族で泊まりに行ったものだった。








子供心に、夜行電車(寝台車)に乗るのはワクワクした。





これは、そんな田舎に行ったある夏の日に、


聞いたとても不思議な話である。








当時、田舎と言えば、



大家族である。





一つの家には、


4人家族の他に御爺ちゃん御婆ちゃんは勿論の事、


曾御爺ちゃん曾御婆ちゃんがいる家もざらだった。








私の父の田舎の家の、隣の隣も、


曾御婆ちゃんがいる大家族だった。





ただ、その曾御婆ちゃんはだいぶボケていて、


外で会っても会話が成り立たなかった。







そんなお隣さんの所にも、


うちと同じように、この夏休みを利用して、


大阪の孫達が泊まりに来ていた。





その大阪から来た孫には、


3歳になる坊やがいて一緒に田舎に来ていた。




曾御婆ちゃんからみると、その子はひ孫になる。







笑顔が可愛く、活発で元気な坊やだったが、


1つだけ不思議な性格をしていた。







普通、カエルが怖いとか、


ゴキブリが怖いとか、


人は何か怖い物があっても不思議ではない。




しかし、


その3歳になる坊やが、唯一怖いのは、



ボールペンなのだという。






特に、黒いボールペンを見ると、激しく泣きだすという。






机の上のペン立てに、黒いボールペンが入っているだけで、


その机には決して近づかなかった。






また、机の上に黒いボールペンが出しっぱなしになっていると、


見つけた途端に、泣きだす始末だった。






それを見る度に、周りの大人達は不思議がった。




あんな動きもしない物を怖がるなんて、何かあるのだろうか?





確かに、私もボールペンをいじっていて、


そのインクが手についてしまった時、


なかなか石鹸でも落ちないので、嫌な思いをした事はある。



でも、泣く事はないだろう。


そう思っていた。






そんな黒いボールペンに、どんな秘密が隠されているのか、


誰も分からなかった。











その不思議な現象の理由らしきものが分かったのは、



夏休み最後の日だった。










後半は、明日のブログに続く。