●ちぎれた縫いぐるみ




これは知り合いの娘さん(めぐみちゃん)に起きた、不思議な現象である。






娘さんに物心がついたある誕生日に、


ご両親は、クマのぬいぐるみを買ってあげた。







めぐみちゃんは、とても喜んで可愛がった。



寝る時は一緒なのは当たり前で、


食事する時もそのクマのぬいぐるみと一緒に座って食べ、


お母さんとお使いに行くときや、トイレに行く時も常に一緒に持っていき、


めぐみちゃんには、無くてはならないものになっていった。




めぐみちゃんは、そのクマのぬいぐるみに「ロロ」と名付けて可愛がっていた。



こうして何年も、一緒にいる内に、


クマのロロも段々と汚れていった。


毛も剥げ落ちている部分も少しあった。






そんなある日、



そのぬいぐるみのが取れた。



家中を探しても、見つからなかった。






そこで、お母さんは、めぐみちゃんに、


こんなに汚れて、目も取れて無くなった事だし、


耳や手足も一部取れそうになっているので、


新しいぬいぐるみを買ってあげるから、古いのはもう捨てましょうね。と言った。





ところが、


めぐみちゃんは、ロロは絶対捨てないで、とお母さんに訴えた。


新しいのじゃダメ、ロロじゃないとダメよ。と。


そういうと、部屋に閉じこもってしまった。





やがて、何時間かして、


お昼ごはんなので、部屋に呼びに行くと、





なんと、



めぐみちゃんは部屋にいなかった。


見るとぬいぐるみのロロも無い。





ビックリしたお母さんは、すぐに表に出ると、


めぐみちゃんを探した。





公園とか保育園、友人の家にも行ったが、どこにもいなかった。


心配した保育園の先生も一緒に探してくれた。






やがて、めぐみちゃんは、


お母さんとよく行くスーパーの近くで見つかった。





めぐみちゃんは、お母さんの姿を見つけると駆け寄ってきて、



泣きだすかと思ったら、


お母さんに、ボタンみたいな物を渡し、


「ロロの目があったの。付けてね。」と言ったのである。





何時間も昨日母親と歩いた所を探していたのだった。


「これで、ロロは捨てないでいいでしょ。」



「そうね。」


あきれたお母さんは、そう言うしかなかったという。





また、こんな事があったという。


ある時、ロロの右足の一部がほつれて、中の綿が出てしまっていた。


お母さんは保育園に行っている間に直しておくと約束して、


めぐみちゃんは、保育園に行った。





ところが、



お母さんは掃除と洗濯をしている間に、


すっかりロロを直すのを忘れていたという。





そろそろ、めぐみちゃんを迎えに行こうかと丁度思っていた頃、


保育園から電話があった。





その内容にビックリしたという。





それは、




めぐみちゃんが転んで、右足を怪我したと言う。



偶然かもしれないが、この時お母さんは、


娘とロロが一体になっている様に感じたという。






そして、その年の夏の事である。


めぐみちゃんはお父さんと町営のプールに行ったのだが、


その夜、急に具合が悪くなり、


翌日、病院に連れて行くと、


急性肺炎にかかっている事がわかった。



即日入院となり、


呼吸不全も起こしていたと言う。





命の危険もあると言われた。






そんなめぐみちゃんは、ベットの上で、


うわ言で、「ロロ」と呼んでいるのに気が付いたお母さんは、





近くに住んでいた姉に、家からクマのぬいぐるみを持ってきてくれるように頼んだのである。



お姉さんは、電話で頼まれると、


玄関の側のひまわりの植木鉢の下にあった家のカギで、中に入り、


めぐみちゃんのクマのぬいぐるみを探した。





すると、


寝室のベットに寝ているぬいぐるみを見つけたと言う。



そのクマのぬいぐるみは、まるで人の様に頭の下に小さい枕があり、


体には、ちゃんと布団がかけられていたという。





他にはクマのぬいぐるみは無かったので、


これだと思い、お姉さんは急いで、そのクマを持ち上げた。




しかし、



ここで予期せぬ事が起こったのである。












クマにかけてあった布団の重さもあったのかもしれないが、





なんと、




クマの手がちぎれたのである。







その瞬間、お姉さんは、



とても不吉な予感がしたという。





「もしかして・・・・・」













後半は、明日のブログに続く。