●死の思い出




このお話は、一昨日のブログ(恐怖のプラモデル)の続きです。




従って、一昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-11250052760.html




を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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彼は主に長距離を多く担当するトラック運転手。そんな彼の唯一の趣味はプラモデルの制作だった。


一応どんな模型も作っているが特に好きで一番多いのは、やはりトラックのプラモデルだった。


彼が作るプラモデルは本格的で、ただ作るだけでなく塗装をしならが組み立ててゆく、


だから完成した時には、ちょっとした本物に近い色と重量感があるそうである。


そんな彼の奥さんも、夫の唯一の趣味なので、何も言わなかった。


ところが先月、大阪に行ってからそのご主人に事故が頻繁に起きるようになったといって、


奥さんが相談に見えた。


それまでは無事故無違反だったのに、先月、大阪に行ってからは、車を車庫にぶつけるわ、


荷物を積み忘れて後輪で壊してしまうわ、ガードレールに後部ライト付近をぶつけて壊す。


挙句の果てに、


トラックから降りる時にドアに引っかかって頭から路上に落ちて怪我してしまったのである。


それは、まるで今までの幸運が逃げていくような感じだったという。


現在、ご主人が顔の治療で入院しているという時に、相談に来られたのだった。


当然だが、私の質問も大阪でいったい何があったのかだった。


なにやら穴場のプラモデル販売店を見つけたと言って、プラモデルを20箱も買ってきたという。


夫がそんなにまとめて買ってきたのは初めてで、それ以来、夫の事故が起き始めたと彼女は言った。


彼女いわく、その20箱のプラモデルの中に縁起の悪い物や、


祟られている物が含まれているのではないかというのだ。


一度そう思ってしまうと、彼女ひとりで家に居るのも気持ちが悪いという。


しかし、気持ちが悪いからといって、


夫が入院している間に、それらのプラモデルを捨てる訳にもいかず、


前に二度診た事がある私に相談に来たという訳である。


人を呪うようなプラモデルがあるのだろうか?


私はさっそくその日の午後に、お宅にお伺いすることになった。


「散らかってますが、どうぞ。」そう言われて、玄関から上がると、


確かに散らかっている。紐で縛ってある新聞紙や雑誌の束が玄関に置いてあった。


買ってきた20個のプラモデルは、全て旦那が書斎に使っている部屋にあるという。


旦那が入院してから、その書斎はいっさい開けていないという書斎は一番奥にあった。


廊下を静かに歩いて、書斎のドアの前に立つ。やや離れた後ろから、見守る奥さん。


2日間、締め切った書斎の中に、問題のプラモデルが入ったきりだ。


もし、それに悪い霊が付いていたものだったりしたら、


書斎の中は霊気が蔓延しているかもしれない。


こういう場合、ドアを開ける瞬間が一番大切である。


なぜなら、開ける前の空気と、


開けて書斎の中から出てくる空気を比べる事が出来る唯一のチャンスだからである。


私はゆっくりと書斎のドアを開けた。























もちろん、2日間締め切った部屋だったので、


空気は違うだろうが、





もし霊が関係していたりするなら、


ただの寒気やむし暑さではなく、


それ以上に、全身がゾクゾクッとする様に鳥肌が立ったり、






また、霊には臭いがある霊もいるので、


例えば生前、納豆が好きだった人の霊が傍に来ると、


納豆の匂いがしたり、納豆を食べたくなったりする。







また、お線香の臭いがする時もあるが、


お線香の臭いがする時に傍にいる霊は、良い霊である場合が多い。


なぜなら、


お線香は大抵は供養して欲しいという貴方へのアピールである場合である。




つまり、


お線香をあげる間柄となる。


よって、亡くなった親族とか、祖先である場合であるから、


そんな時は、お線香とお水をあげて早い成仏を祈って合掌してあげると、


良い事が起こったりする。







しかし、


この家の書斎のドアをあけても、


特に陰気な感じや空気はしない。


ゾクゾク鳥肌がする悪寒も無い。






でも、ここは書斎というよりも、


プラモデルの展覧会場のようだった。




あちこちにプラモデルのトラックやら戦車やら、スポーツカーが飾られている。


いくつか飛行機のプラモデルが天井から吊るされている。


「あのう、すみません。」


私は奥さんを呼んで、どれが今回大阪で買ってきた20個のプラモデルかを聞いた。





「それです。」


ドア付近から指差す奥さん。中に入って来ない。



「これですか?」


「そうです。その棚の中のと、上に乗っている物全部です」






さっそくそれらを見てみる。




ご主人が好きだというトラックのプラモデルは2つだけだった。


あとは、戦車とかクラッシクカーと飛行機。


あとお城のプラモデルが2つだった。





これが大阪から買ってきたというプラモデルかぁ。


特に気持ちが悪いという感じはしない。






だいたい、初めから思っていた事だが、


既製品で未使用な物には滅多に念は憑いていない。


つまり、機械で大量生産されている物には作った人の念は入っていない。


未使用や未開封であれば尚更だ。





プラモデルにも念が入っている場合も、かつてあった。


でもそれは、


完成した飛行機のプラモデルをとても大切にしていて、


何度も何度もそれと遊んでいた少年が、亡くなってしまい。


その子の念が入っていたケース位である。







今回のケース、



どうやらプラモデルが原因じゃないようだ。








振り出しに逆戻りである。











私は奥さんに、


「プラモデル以外で、何か大阪から持ち帰ったものとかはありませんか?」





すると、


奥さんは、無いという。




「夫はプラモデル以外は、あまり興味が無い人ですから」と。









困った。






私が考えあぐんでいると、


奥さんがこんな事を言った。







「もう、家中プラモデルでいっぱいで困っているんですよぉ。」








そういえば、ここに来る間にも、


廊下とかにプラモデルがいっぱい飾ってあった。










「その20個のプラモデルを買って来たのだって、


 そのしわ寄せは、


 そこに飾ってあったプラモデルを別の部屋に移動させて、


 また他の部屋がプラモデルで埋まっていくんですよぉ」




とボヤいた。









奥さんとしては、


夫の趣味が家全体に影響するのが我慢の限界を超え始めているのだろう。








私は、なにげなく聞いてみた。








「元はここに何があったんですか?」


「大きい飛行機が飾ってありました。」









「大きい飛行機ですかぁ。何だろう。


 ジャンボ旅客機ですかねぇ。」





「いえ、旅客機じゃないと思いますよ。見ますか?


 仏壇の部屋にあります。」







「仏壇の部屋?」


何かピンと来る物があった。








大阪に行った後、


ここにあった物を仏壇の部屋に移動させた。


そして悪い事が起き始めた。と考えられなくもなかったからだ。







さっそく仏壇のある部屋を見せてもらう事にした。


そこは畳の部屋で、立派な床の間もあった。








そして、大きな飛行機は、


その床の間に飾ってあった。







私はそれを見て、感じるモノがあったので聞いてみた。





「奥さんかご主人のご先祖に、


 第二次世界大戦で、空襲で亡くなった方はいませんか?」





すると、


ご主人の曽祖父と曾祖母、それにその家族が


東京大空襲で亡くなっているという。









私はそれを聞いて、


ああ、これかもしれないと思って、





彼女にアドバイスした。








床の間のプラモデルを全部、すぐに他の部屋に移動させて、


仏壇にお線香をあげて、


飛行機を床の間に飾った事を謝って下さい。






そして、出来れば、


ご主人が退院したら、


庭でこの飛行機を壊して燃やして下さい。





最後に、


玄関にあった新聞紙や雑誌の束を私の車に乗せて、


私が代わりに捨てて来てあげる事にして、


彼女の家を後にした。







その後、ご主人は燃やして、


それ以来、事故は起きていないという。








第二次世界大戦中の1944年から45年にかけて、


東京は、100回以上空襲を受けて多くの人が焼け死んだ。



世に言う、東京大空襲である。







空から大量の爆弾と焼夷弾の雨が降ってきて、一般市民8万人以上が焼死んだ。


そして、それを落とした飛行機こそ、



彼女の家の床の間に飾ってあった



アメリカの大型戦略爆撃機、B29だったのである。







逃げ惑う子供たちを殺し、自分の命をも奪ったB29



それを仏壇の部屋の床の間に飾られた事で、


今まで守ってきたのを止めたのかもしれない。




自分の部屋に飾るならいいが、


仏壇の部屋とか床の間に飾ったのが良くなかったと言える。



初めに彼女が、「幸運が逃げていくよう」と表現したのが当たっていた。





自分や子供の命を奪ったものは、


いつまでも覚えていて恐怖や不快に感じる事もある。







PS.余談ではあるが、



空軍力の勝利 」という


ウォルト・ディズニーが作ったアニメがある。



1943年に制作されたものだが、



2年後の




東京大空襲を予言したと思わせる場面が終盤にある。と言われている。