結婚占いをした、ある少女の人生


 


ある島に、

 

1人の女の子が住んでいました。




 

父親は一応貴族という称号を与えられていましたが、

 

実状はというと、農家でした。



 

貴族とは名ばかりで、

 

生活は貧乏だったのです。




 

彼女もサトウキビの収穫を手伝ったりしてました。


 

そんな少女時代でしたが、

 

やがて、彼女はお祖母ちゃんが住んでいる本土に行き、そこで暮らします。




 

そんなある日、

 

友達と一緒に、一番評判の高い占い師に占いしに行ったところ、


 

そこで不思議な事を言われます。






 

結婚運を占って下さい」




 

すると、

 

その占い師は、







 

「貴方の最初の結婚は、失敗します

 

と断言したのである。


 

「ええっ!」


 

「そして、不幸になります。


 

いやだぁ!!




 

彼女は占いした事を後悔しました。





 

でも、


 

その占いには、続きがあったのです







 

「貴方は苦労しますが、

 

 その後、女王以上の存在になるでしょう」




 


最初の結婚は失敗すんだぁ、


 

でも、

 

女王以上って、なんだろう?


 

その時はよく分りませんでした。






 

そして、16歳になった時、


 

御祖母ちゃんが、お見合い話を彼女に持ってきました。





 

相手はお金持ちで、

 

社会的地位もありました。





 

占いでは、最初の結婚は失敗するって言われたけど、

 

この人なら絶対大丈夫!! 

 

そう思って直ぐにお見合いを承諾。



 

そして、早々と結婚してしまったのです。


 

こうして、

 

彼女はあの嫌な占い結果から逃れたのでした。





 


その後、男の子と女の子が生まれます。



 


傍から見ると、とても幸せな人生を歩んでいる。

 

そう見えたかもしれません。





 


しかし、結婚後まもない頃から

 

夫とは喧嘩ばかりでした。




 

夫婦仲は最悪だったのです。




 

しかも、彼は彼女を強制的に修道院に入れてしいます。

 

「そこで少し修行してろ!!」


 


事実上の別居でした。



 

1年半という長きの間、彼女は1人修道院にいました。

 


でも、彼女はめげませんでした。

 

そんな修道院の生活の中で、

 

貴婦人としての修行を行い、

 

洗練された身のこなしを身につけ、魅力的な貴婦人となっていきました。



 

それでも、夫との関係は修復せず、

 

その後、2人は離婚。



 

子供2人は、彼女が引き取りました。





 

奇しくもあの占いは当たってしまったのです。

 


「でも、

 

 でも、占いには続きがあったはず、

 

 そうだ、頑張ろう。

 

 でもぉ、女王以上の存在って、何だろう?」






 

その後、子供2人を抱えて、生活に困り始めます。


 

彼女は、無一文でした。



 


島育ちで、早くに結婚した彼女。

 

そんなに教養はありませんでしたが、

 

島育ちでのんびりした性格。

 

愛想もよく、

 

無頓着と言われましたが、殿方には愛されました。




 

ある日、ある殿方から、


 

「オレの愛人にならないか?」と言われました。





 

無一文で、2人の子連れ。


 

もう30歳を過ぎていました。


 

占いで出た、女王以上の存在になるは、間違っていました。






 

自分はもう結婚出来ないだろう。

 

彼女は、子供の為、生活の為、

 

愛人になる事を決心しました。







 

彼は、政府の高官です。

 

きっと、生活には困らない。






 

しかし、愛人のお手当てには限界があります。

 

愛人をしながら、

 

生活費や養育費で赤字がでて借金する日々。





 


彼女が32歳になった時でした。


 

愛人になった彼の部下で、

 

公務員の1人の男性と知り合います。






 


彼は自分よりも、6歳も年下でした。

 

しかし、彼は彼女にひと目惚れ。



 


彼女にとっても、愛人という不安定な状況よりも、

 

国から定期的にお給料を貰っている公務員の妻になる方が良いに決まっています。





 

こうして、彼女は運命の2度目の結婚をします。



 

なんと

 

彼と会ってから4ヶ月で結婚というスピード結婚でした。





 

彼女の運命は時計は、

 

また結婚という新しい船出に動き出したのでした。






 

結婚したと言っても、まだ夫は下っ端公務員です。



 

そこで、彼女は夫の為に、

 

元の愛人で、夫の上司である政府高官である元愛人に取り繕って、

 

夫を昇進させていきました。





 


そのお陰で彼は若いながらも、どんどん出世していき、



 

新婚三日目で

 

イタリア方面軍の司令官に抜擢されたのです。


 

「ジョセフィーヌ。 喜んでおくれ、指揮官に任命されたよ!



 


そうです。

 

彼女の名前はジョセフィーヌ


 

そして、彼女が度目に結婚した相手こそ、


 

フランスが生んだ英雄、

 

ナポレオン1世だったのです。



 


その後、彼は連戦連勝。


 

1804年12月2日に即位式を行い、

 

フランス人民の皇帝」に就きました。

 

そして、

 

ジョゼフィーヌにも「フランス人の皇后陛下」の称号が与えられたのです。



 

フランス皇后になった彼女を誰もが、うらやましがった事でしょうが、

 

本音を言うと、

 

彼女は皇后など望んでいませんでした。




 


傍から見る世界と、

 

実際にそこに居る人とにはギャップがあるものです。




 

彼女はむしろ、夫にフランス皇帝にならないようにと、

 

それを阻止する動きをしていましたが、実りませんでした。






 


やがて、

 

彼女が危惧していた事が起こり始めます。





 


王位になった夫に対し、

 

回りからの助言がひっきりなしにありました。




 


それは、




 


世継ぎ。

 

 

 

 

姉さん女房のジョゼフィーヌは、

 

46歳になっていました。




 


フランスにとっての世継ぎを生まなくてはならない。

 

子どもがうまれなければ自分はどうなってしまうのか。





 


こうして、

 

ナポレオンは悩みに悩んだあげく

 

1810年、世継ぎが生まれないという理由で、

 

ジョゼフィーヌと離縁したのでした。





 

しかし、彼はジョゼフィーヌの事をまだ愛していました。

 

愛しながらも別れたのです。





 

その後、

 

妻だったジョゼフィーヌが1人暮らししても、困らないように、


 

多額の年金を支給させて、

 

死ぬまでナポレオン皇帝の妻として

 

ナヴァル女公皇后殿下」という

 

皇后」の称号を名乗る事を許されたのです。



 

また、

 

住まいは今まで住んでいたマルメゾン宮殿

エリゼ宮(現在の大統領官邸)が与えられ

 

独立した宮廷を維持することができるようにしてあげたのです。





 

その後、ナポレオンは、

 

ハプスブルク家のフランツ2世の長女、マリー・ルイーズと再婚し、

 

世継ぎを産みます。





 

ナポレオンは再婚しましたが、

 

生涯、愛したのはジョセフイーヌひとりだけでした。







 

彼は戦争に敗れて、セントヘレナ島へ島流しにされました。


 

そこで息を引き取る間際、




 

ナポレオン・ボナパルト、   

 

フランスの英雄


 

その最期の言葉は、
























 

ジョセフィーヌ・・・」  でした。



END