●取り返しのつかない、母へのひどい一言。
その電話は、葬式の式場からでした。
そう、
まさに故人の葬式をやっている真っ最中に、
私に相談の電話を掛けてきたのです。
彼女はある事で悩んでいました。
彼女の母親が突然の交通事故で亡くなってしまったのです。
もちろん、
それは大変な悲しみではありますが、
それ以上に、
彼女を苦しませていた事があったのです。
ホントは大好きだった母なのに、
ホントは世界一好きな母なのに、
朝、家を出る時、
母親とちょっとした言い争いをして、
言わないでもいい一言を、言ってしまったのです。
「母さんなんて、大嫌い、
母さんの子に、生まれてくるんじゃ無かったよ。」
そう言い捨てて、大学に行ってしまったのだ。
そして、謝ることなく、
その日の午後に、
彼女の母親は交通事故で亡くなってしまったのである。
母親に謝る機会を一生失ってしまった。という無念。
今まで育ててくれた母親に、
最後にひどい事を言ってしまった後悔。
なんであんな言葉を言ってしまったのだろう。
彼女はどうしたらいいのか分らず電話をかけてきたのでした。
こういう場合、
方法は決まっている。
それは、
素直に、謝る事である。
私は彼女に言いました。
「貴方の今の気持ち、お母さんに素直に伝えてあげましょう。」
「お母さん、ホントはすごく愛しています。
ごめんなさい。
朝、言った事は、本心じゃないんだよ。
ホントは、世界で一番大好きだよ。」って。
「はい、
そうしたいです。
でも、
どうやったら・・・」
「そこに、まだお母様の棺にあるのですね?」
「はい。」
「では、急いで、お母様宛てに、
手紙を書いてください。
便箋に書き、封筒には入れないで
そのまま折るだけで、棺に入れて下さい。
ちなみに、
書く内容は、
●謝りたい事。
●感謝の気持ち。
●楽しかった思い出
●残された家族について安心させる言葉。
●色々なお礼。
●成仏を願う言葉。
●来世で再会したい気持ち。
等です。
また、一緒に、
●家族やペットの写真も棺に入れてあげましょう。
書かない方が良い事は、
●お願い事。
●亡くなった事を責める言葉。
●残した家族を心配させるような言葉。
●返事が必要な質問。です。
「棺に入れた手紙は、必ず読んでもらえます。
だから、大丈夫。
貴方の本当の気持ちは、お母様に伝わりますよ。」
それを聞くと、彼女は安心したように、
ありがとうございます。と言って、電話を切られた。
大抵の場合、
亡くなったばかりの霊は、葬儀場に来ている。
だから、
自分の棺に入れてくれた写真や手紙は分ってくれて読んでくれるのである。
きっと2人は、許し合い、
そして、
また来世で一緒の人生を歩むことだろう。