●おばあちゃんと、こユリ




この話は、私の知り合いの方から聞いたお話です。












私は病院に向かっていました。


私には、


昔、一緒に暮らした事があるおばあちゃんがいます。



私がOL時代に、2年ほど下宿させてもらったのです。


今は、一人暮らししているおばあちゃん。








そんなおばあちゃんが、


公民館で倒れたという一報の電話が入ったのです。








まさか!





先月、孫を見せに行った時は元気だったのに・・・





私が病院に着いた時には、


もう僅かな息しかしていませんでした。







「おばあちゃん!
 
 恵子です。


 おばあちゃん!」





夫はこの急変を知ってから、


幼稚園に寄って、息子を連れに向かっていました。





「おばあちゃん、


 孫が来ますからね、待っててね。」






おばあちゃんは頑張っていた。


公民館で倒れた時に、一時心臓が止まったそうだが、


奇跡的に息をわずかにふきかえしたのです。






やがて夫と息子が来た。


おばあちゃんは、無事まだ息がある内に孫と会えました。





しかし、


おばあちゃんの小さな心臓は、まだ頑張っていました。







お医者さんは、信じられないといった感じでした。








私達は、おばあちゃんの手をさすったり、


声をかけたりしました。







その時、ふと、


何故か、


おばあちゃんが飼っている猫の事が、頭に浮かんだんです。







そういえば、


一人暮らしだった、おばあちゃんは、


猫と暮らしていたんだ!




とても可愛がっていたなぁ。




猫の こユリ




どうしているのかなぁ。



こんな状態の時に、なぜ猫の事が気になったのでしょうか。





それは分りません。


でも、





おばあちゃんが、今もこんなに頑張っているのは、




まさか!


いや、でももしかしたら、


「先生、あとどのくらい持ちますか?」




この脈じゃあ、もういつ事切れてもおかしくなです。という。





おばあちゃんの家まで、往復30分はかかる。


絶対無理だぁ。







でも、





もしかしたら・・・・






私は、急いで車を飛ばし、


おばあちゃんの家に向かいました。




家に着くと、


家の中から、猫の泣き声がします。





「ミャー!ミャー!」





ドアを開けると、


猫のこユリが、すぐドアの前まで来て鳴いていました。



いつも鳴いていた事など見た事など無いのに、




「お前、まさか?


 知っているだね?


 知っているんだね。こユリ


 おいで、こユリ!」




病院を出てからもう30分は経っていた。




多分、おばあちゃんはもう・・・・


ダメかも。






こユリをバックの中に入れて病室にかけ込んだ。





すると、








生きていた!!


おばあちゃんはまだ、生きていた!!




おばあちゃんは、虫の息でまだ頑張っていたのだ。





こユリ


 さあ、おばあちゃんだよ!」






すると、


こユリは、ぴょんとベッドに飛び乗り、


おばちゃんに向かって鳴いた、



「ミャー。ミャー」






それはまるで、


こユリが、おばあちゃんに向かって、





「母さん、こユリが来ました。


 こユリが来ましたよ。




 こユリはここにいます。


 こユリはここにいますよ。


 母さん?


 こユリです。」


と泣いているようにも聞こえた。






そして、こユリが、


おばあちゃんの頬をペロっと舐めると、




気のせいか、


なんと、


おばあちゃんの目にうっすら


涙が浮かんだように見えた!




そして、こユリが来てからわずか5分して



おばあちゃんは、静かに息をひきとったのです。






その時、私は思いました。





やっぱりおばあちゃんは、


こユリを待っていたんだ。



お医者さんが、


15時35分お亡くなりなりました。と言った後も、




こユリは、天井の方を向いて


何度も、何度も鳴いていた。





「ミャー。ミャー。」と、








それはまるで、


こユリが、おばあちゃんに向かって、





「母さん、


 こユリをおいてかないで


 こユリをおいていかないでください。」


と泣いているようにも聞こえたという。