●余命3ヶ月



占いに来る方は、パッピーな方だけとは限らない。




いや、むしろ、悩みを抱えた人や、


将来に不安を抱えた人の方が多いのかもしれない。











ある女性がみえた。


母親がガンで、医者に余命3ヶ月と言われたそうだ。




母には、とても伝えられない。





悲しい毎日で、


家に居られなくて、つい足が占いに向いたという。







父親は、3年前に家を出て行ったという。


母一人、娘一人の母子家庭。






そして、


今、母親が余命3ヶ月なのだ。




3年間、母が昼夜働いて、


私を大学に入れてくれたんです。





どうしてこんな不幸が・・・・







彼女は泣いていないが、


心の中は、土砂降りだろう。













そんな時、


たかが、占い師などに何が出来ようか。


















何も出来ないのだけど・・・

















私は彼女に、目をつぶってもらった。












「目をつぶって、そして頭の中でイメージしてください。
 
 貴方は、今から半年後にいます。






 お母様の葬式も終え、貴方は家に独りでいます。






 仏壇には母親の写真が飾ってあります。







 その時、貴方はどんな気持ちですか?」








すると、


彼女は、






「すごく淋しいです。


 どうしたらいいか分らず、仏壇の前で泣いています。」












「たった一人で家の中。


 それは淋しいですね。悲しいでしょうね。


 今まで一緒に暮らしてきた母親がいない家ですから。」









「では、その時、


 神様がたった1つだけ、





 貴方の願いを叶えてあげると言ったら、






 どんな事をお願いしますか?」










「淋しいです。母に会いたいです





 もっと、親孝行しておけば良かったです。」














「目を開けていいですよ。」










半年後、お母様はいないかもしれません。





でも、





今はいます。







今、家に帰れば、


お母様は、笑ってくれ、


貴方を見てくれ、話しかけてもくれ、


貴方の作った物も食べてくれます。






一緒にテレビも見て、


一緒に寝る事もできます。




そして、今なら、


親孝行も出来ます。







お母様が亡くなった後の事を少しでも考えると、




「今、この3ヶ月は、


 本当は貴方にとって、幸せな時間なのですよ。」






「今なら、母親に会えるのです。


 決して不幸な時期ではありませんよ。」






後にどんなに望んでも、


戻ってこない時間の中に貴方はいます。





どんなにお金を積んでも、


戻れない貴重な時間の中に貴方は今いるんですよ。






「この3ヶ月は貴方が神様にお願いした唯一の願い。


 もう一度、母親に会いたい。というのが叶った時期です。



 悲しんでいる時間はもったいないですよ。


 母親に会える幸せな時間です。


 後で悔いが残らないように、思った事を全てやりましょうね。」





すると、彼女は、




「この近くに、


 母さんの好きなヨウカンが売ってるんです。


 2つ買って帰ります。


 あと、ディズニーランドに一緒に行きます。


 今まで、一度も行けなかったから・・」





彼女はそう言って帰っていった。









後から考えてみて、


本当は、とても貴重な時間である時期を、



不幸だと思って過ごしてはもったいないのである。










いっぱい、いっぱい甘えて


いっぱい、いっぱい親孝行する。


きっと、そんな母娘の3ヶ月になるだろう。