●家出した






占いをしていると、


時々、動物探しの依頼が来るのが不思議だ。


猫がいなくなったというのが多い。










ある夏の日も、


そんな日和だった。


相談者は、高校生だった。










「どんなご相談ですか?」と尋ねると。


を探して欲しいんです。」という。






「猫?」





「はい。ミケなんですが、


 もう6年も飼っているんですが、


 2週間も帰って来ないなんて初めてなんです。」という。






私は、内心


来たよ、猫探しが。」









でも、依頼する方は、真剣だ、


少女としては、自分の子供がいなくなったのと、同じ心境なのかもしれない。







まぁ、近くなら一緒に探してあげてもいいんだが、




「どちらから、みえたのですか?」と聞くと、


「所沢です。」という。





えっ、ウソ、そんなに遠くから、


電車賃だけでも大変だ。




「ちなみに、どうして私の所へ?」


気になったので聞いてみた。









すると、


「先生、昔、所沢に住んでいたと聞いたので、」という。








確かに昔、所沢に住んでいた事がある、


誰から聞いたのかなっ?と思いつつも。


私は内心、


「なるほど、


土地勘があるという事で?


てか、土地勘があっても、探しにいけんでぇ!」






それとも、


昔の知り合いの子供かもしれんなぁ。








と色々な考えをめぐらせながらも、


「お力になれるかどうかは、分りませんが、


 とりあえず、お話を聞きましょう。」となった。








「その猫ちゃんの名前は、なんというのですか?」








トニートニー・チョッパー君です。」


「えっ、それはまた長いお名前で・・


 そのトニーチョッパー君?は、」


トニートニー・チョッパーです。」


「あら、トニーを2回言うんですね。」


「はい。トニートニー・チョッパーです。」


チョッパー君と呼んでもいいですか?」






トニートニー・チョッパーです。」


こだわりがあるようだ!


ちょっと面倒くさい。








「なるほど、じゃあ、


 そのトニートニー・チョッパー君についてお尋ねします。」






まず、猫探しで一番大切な事は、


近くの保健所は全部チェックする事である。


「保健所は確認しましたか?」


「はい。いませんでした。」


保健所に行って、保護届けを出しておく事である。


殺されたら終りである。


まずは、ここだけは抑えておくのが基本だ。






また、可哀想な想定であるが、


町の清掃局や近くの動物病院にも問い合わせておくことである。


猫が交通事故死した場合、誰かが動物病院に連れ込んだり、


役所の清掃事務所で遺体を回収している場合がある。


亡くなっているのに、ずっと探し続けるよりはいいのである。











次に、


猫が家出した日の出来事を、考える事である。



まず最初に私が聞いたのは、


家出する前日あたりの猫の具合である。









「その、トニートニー・チョッパー君は、


 家出する前日頃、具合悪くなかったですか?」







「具合が悪いって?」





「例えば、病院に連れてったとか、


 なんか病気にかかっていたとかないですか」






動物の中には、飼い主に自分が死ぬ所を見せたくないというケースがある。


そんな時、死期を感じた猫は、


飼い主に感謝しながら泣く泣く家出して、


誰にも見られない所で一人死を迎えるケースがある。









しかし、


トニートニー・チョッパーは、とても元気で、


 病院などには行った事もありません。」




「なるほど、元気そうな名前ですものね。」




私は彼女にはっきりと、


「名前が、長すぎて気に入らなかったんじゃねーか。」とは言えず、









「最近、引越したとかではないですよねぇ」


たまに、引越しが原因で道に迷って、帰ってこれなくケースが昔あったからだ。





しかし、


「いえ、引越していません。」という。


「えーと、トニートニー・チョッパー君はオスですよね?」


「はい。」


「去勢はされているんですか?」



「はい。」


発情期になると、オスはメスの匂いに刺激されて、


その匂いを追っかけて知らない間に遠くに行ってしまう時がある。


「家の近くは調べましたか?」


「はい。」


「近くと言っても、猫の場合、犬と違ってあんまり遠くへは行かないケースが多いです。


 例えば、メス猫の場合であれば、家の中心から半径50mを探すといいです。


 トニートニー・チョッパー君はオスですから、オス猫の場合は、


 家の中心から半径100mを探してみましたか?」


「はい。探しました。」


ちなみに、


トニートニー・チョッパー君は、あまり外に出ない猫だという事だったので、上の目安だが、


よく外に遊びに行く猫ちゃんであれば、


上の5倍が目安である。


つまり、


メス猫なら、家の中心から半径250m以内を探す。


オス猫なら、家の中心から半径500m以内を探す。








「ちなみに、何時頃、いつも探しましたか?」


「学校から帰ってからすぐです。」


「じゃあ、今度から、朝、明け方探してみてください。」


「はい。」


迷い猫は普通、昼間はじっとどこか隠れていたりする。


夕方とか明け方に動き出し見つかる場合が多い。


どこかの家の床下などに入ったら、昼間探しても出てこないだろう。


彼女は高校生だから、夕方よりも明け方の方が良いだろう。










「では、その頃、家に車で誰か尋ねてきませんでしたか?


 もしくは、
 
 宅急便とかお届け物は来ませんでしたか?」






お届け物の車に乗って、居なくなる時もある、


そんな宅急便とか来た記憶があるのであれば、


その控えを取り出し、そのドライバーに猫を見なかったか電話して聞くことである。







彼女は家に電話して母親に聞いてから、


「先月は特にお届け物はなかったそうです。」







「そうですか、


 ではその頃、どこかの猫とケンカしたという事はありませんか?」






希に、ケンカして逃げ回っていて迷子になったり、


怖くて家に帰れないという場合もある。




「ケンカしてるは見た事ないです。」



「では、トニートニー・チョッパー君が家出する前の数日に


 何か変わった事はありませんでしたか?」





「変わった事って?」




「そうですねぇ、例えば、怖がっていたとか、


 普段暮らしている人以外の人が家に来たとか、


 他の動物が来たとか」






家に新しい住人が来た時に、その新しい住人と合わず、段々不満が積もって家出する事がある。


新しく来た猫を飼い主が可愛がり過ぎて、


それにやきもちを焼いて家出した猫も過去にはいた。










色々話しを聞いているのだが、手がかりは無かった。






近くなら探してあげたいが、


所沢じゃ、遠すぎる。嫌じゃ。








しかし、










やがて、


ある不思議な現象


原因かもしれないというヒントが、彼女の口から飛び出すのである。









後半は、明日のブログへ続く。