●DV
このお話は、一昨日のブログ(幽霊屋敷)の続きです。
従って、一昨日のブログ(http://ameblo.jp/hirosu/entry-10916572326.html )
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
私達が、幽霊屋敷に着き、
ドアのベルを押すと、
不気味な雰囲気を持つお婆さんが出てきた。
そして、私達を「ギロッ」っと睨んだ。
「あっ、渡河と申します。
安川さんの奥さんいらっしゃいますか?」
「少々お待ち下さい。」
そう言うと、お婆さんは奥に消えた。
「お祖母さんかな?
話、通ってないみたいだね。」
私達が待っている玄関は、やや広いが、
暗かった。
ゲタ箱の上に、
壷やら熊の置物や猫の置物が置いてあった。
「招き猫だね。」と渡河が言った。
「これは、メスだ」と私。
「オイオイ、どうしてこの招き猫がメスだって分るんだい?
オレにはオスにも見えるぞぉ。」と渡河。
「この招き猫、自分の左手を上げているよね。」
「ああ、だから招き猫だろ。
お金が儲かるんだよね。」
「いや、違うな、
昔から、
猫が自分の左手で招いているのは、メスで、
人を呼んでいるんだ。
京都では、夜の商売向けとして売られているんだよ。
君が言う、金儲けの招き猫は、
猫が自分の右手を上げて招いているもので、
お金を呼び込むお守りとして、
京都でも昼間の商売向けとして売られているんだ。
そしてオスなんだよ。」
その時、奥さんが、小走りにやってきた。
少し時間がかかっていたのは、
多分、
私達の事をお祖母さんに説明していたのだろう。
「お待たせしました。
わざわざすみません。どうぞ、お上がりください。」
私達は、玄関のすぐ脇の応接間に通された。
これまた暗い応接間だった。
亡きご主人は、間接照明が好きだったのだろう。
玄関近くのうっそうとした木々が、
日光を遮断し、
玄関の隣にあるこの応接間を、より暗くしていた。
奥さんが、
「どうぞ、お座り下さい。」と言って、またどこかに行こうとしたので、
私が、
「ああ、おかまいなく、
私達、訪問先では何も飲まない食べない事にしているので・・」
「あら、どして?」
「前にお茶を頂いた時に、
合わなくて霊感が落ちた事があったので、それ以来です。」
「突然ですが、・・・
私がまず聞いたのは、
「息子さんは、どこで幽霊を見たのですか?」
「あ、はい、
こちらです。」
私達は、また一旦廊下に出て、隣の部屋に案内された。
そこは畳の部屋だった。
床の間があり、8畳ほどの部屋だ。
「息子さんは、何回くらいここで霊を見たと言っていますか?」
「3回見たと・・・」
「他に何か言ってましたか?」
「ただ、女の人が、自分の方を見ていたと・・・
息子に言われて、来て見ると、そんなものはいませんでした。」
「では、
夜中に聞こえた声は、どんな事を言っていましたか?」
「声というよりは、痛みで苦しんでいるような感じの声でした。」
「そうですか。
では最後に、
お祖母さんと話がしたいのですが、いいですか?」
「はい」
奥さんが、お祖母さんを呼びで出た。
「この家、全体的に照明が暗いね。」と渡河。
「多分、全体的にワット数を控えているんだろう。
もしくは、
亡くなったご主人が暗い雰囲気が好きだったか。」
「トントン」お祖母さんが入ってきた。
「すみません。いきなりお邪魔しまして。」
「少しだけお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。」
すると、お祖母さんは、
「どうぞ、
嫁が無理なお願いをしたようで、すみません。」
玄関で出会った時の不気味な雰囲気とは打って変わって、協力的で助かった。
「この家に御住まいになられて、もうどのくらいですか?」
「もう20年以上になります。」
幽霊が出たのが5年前、しかし、
ここには20年以上住んでいる。
このことからも、土地に死体が埋まっているとかの霊障ではなさそうだった。
私はお祖母さんに単刀直入に聞いた。
「この部屋で亡くなった人はいませんか?」
すると、
急にお祖母さんの口は重くなり、
お祖母さんは黙ってしまった。
誰が見ても、何か心当たりがありそうな様子だ。
「お墓には入れてあげたけど、主だった供養はしてあげていない。
そんな女性の仏様はいませんか?」
お祖母さんは黙ったままだ。
「もし、そんな人がいれば、
可哀想だとは思いませんか?
知っていれば、教えてくれませんか?
供養の仕方を教えます。一緒に供養してあげましょう。御母さん。」
「・・・・・・」
「お孫さん、お祖母ちゃんの事、大好きなんですよね。
ここで亡くなった人を供養してあげれば、
息子さんの病気治ると思いますよぉ」
すると、
お祖母さんは、重い口を開き始めた。
少し涙目だった気がする。
お祖母さんの話を、要約するとこうだった。
今の奥さんは、
2度目のお嫁さんだという。
最初に向かい入れた長男(亡くなった夫)の嫁は、
人は良かったが、
料理が下手でよく長男とケンカしたという。
長男は長男でケチで、嫁の無駄使いを許さず、
何かと言えば、節約、節約、
旅行などもってのほかで、
家の電球も暗く節約し、エアコンもなるべく使わせなかった。
その点でも、二人の間にケンカの種は耐えなかったという。
ケンカは次第にエスカレートし、DV化したという。
口答えすると殴ったという。
やがて、
嫁の肋骨を折るという重傷を負わせてしまう。
結局、そのDVが原因で亡くなってしまったのだ。
そして、その亡くなった所が病院ではなく、
息子が霊を目撃したという畳の部屋だったのである。
私達はお祖母さんと奥さんに、
心を込めて亡くなったその最初の奥さんを、供養してあげる事を勧めた。
「今回のように、霊障として現れてしまった場合は、
今日からまる1年は供養を続けてくださいね。」
お花とお水と熱いお茶と、お線香、
それに、その奥さんが好きだったものを月命日には必ずあげてくださいね。
供養する時は、
「その奥さんの名前を言ってあげて、
どうか成仏してくださいね。
これから1年間供養いたしますので、
どうか子供を助けてください。」と言ってください。
1時間後、
私達は車中にいた。
「よくお祖母さん、話してくれたよね。」と渡河が言った。
「ああ、孫がやっぱり可愛いんだろうな。
あと、
畳の部屋で聞いただろ?」
「ああ、それが?」
「前の嫁が亡くなった場所では、ウソつけないだろ?」
「そんな計算があったのかい?」
「いや、なんとなく、あの部屋で聞いたら、
亡くなった彼女が、きっと後押しして、
お祖母さんに話させてくれるかもしれないと思ったんだ。」
「実際どうだったんだろうね。」
「子供の病気治るかな?」と渡河が心配した。
「多分、毎日供養してやってあげれば、
49日以内には快方に向かうと思うよ。」
「ところで、かや」
「どうして、何も罪の無い子供が病気になるの?」
「理不尽に思えるかもしれないけど、
結果的に言えば、
それによって、供養してくれた訳だ。
家族の中で一番弱い人が影響を受ける事はよくあるんだよ。
それに、息子さんは霊を見ただろう。
つまり、理解して、
供養してくれるかもしれない、頼れる人物だと思ったのもあると思うよ。」
私達がオフィスに着いて、別れる時、
渡河が、
「最後にもう1つ聞きたいんだけど、いいかい?」と聞いてきた。
「いいよ。」
「なんで5年前から霊は出たんだろう?」
「こういうケースはよくあるんだよ。」
「こういうケースって?」
「最初に嫁いできた妻が亡くなる。
夫は、その後再婚する。
しかし、最初の妻は、嫁にいっているから実家の方では供養されず、
またこっちでは再婚したので、
新しい妻の手前、供養してあげない。
そして子供もいないので、誰も供養してくれず浮いた存在になってしまう。」
「そうなんだぁ」
「それでも、彼女はいつか、
いつか、夫は気がついて自分を供養してくれると
ずっと待っていたんだろうな。
でも旦那はさっさと新しい嫁を向かい入れた。
そして、ある日。
新しい嫁に、
自分には出来なかった
子供が出来きて、とても幸せそうだった。
そんな幸せそうな彼を見て、
もう自分の事は、
忘れ去られてしまったと思って悲しかった事だろうね。
ならば、
せめて、
せめて供養だけでもして下さいって。
その頃から霊障として訴えていたんだろう。」
「だから、子供が出来た5年前から霊障が起きたのかなぁ
でも、
奥さんだけに幽霊の声が聞こえたのは不思議だよね。」
「いや、亡くなった旦那にも、聞こえていたと思うよ。
多分、お祖母さんにも・・・
そして、
それが誰の霊の仕業かもしれないというのも分ったと思うよ。」
「そうなんだぁ
きっと、
亡くなった奥さん、
子供がいる笑いの耐えない家庭を夢見て、嫁いだんだろうな。
なんか、可哀想だね。
供養してもらって、
今度生まれて来る時は、
子供と幸せな家庭をもてる人になって欲しいよね。」
「そうだね。」
「じゃあ、また」
その後、
夜中にするという女性の声はしなくなり、
息子さんの病気も1ヶ月もした頃、
不思議と治ったという。