●中華料理
昼飯に中華料理に誘われた。
個室に通された。
丸テーブルである。
心理学的に言うと、
丸テーブルで食べると、
相手を優しい気持ちにさせ、
商談もスムーズに行いやすいという。
「どうぞ、お先に」
中華料理の丸テーブルの時、
一番入り口から奥の席が良い席とされているのだ。
「えっ、悪いね、何か一番良い席で」と私。
「当然ですよ。本日のお客様ですから」
まぁ、友達同士で行く分にはどの席も関係ないのだが。
「おっ、久しぶりの回転テーブル」
全員が座ると、ある人が、
「この回転テーブル、どっち回してもいいの?」とみんなに聞いてきた。
「どっちでもいいじゃないの」と他の子が言う。
その時、少しマナーのうるさい子が、
「回転テーブルは、右回り、つまり時計回りがマナーなんです!」と断言した。
「なんでよ!」と他の人が噛み付く。
「マナーなの!」
「左回りじゃなんでいけないのよ!
近い物を取る時、わざわざ一周させないといけないの?」
こうして話がこじれると決まって出る言葉がある。
「ねぇ、占いではどうなんですか? かやさん。」
来た来た、
内心。
占いの問題じゃないと思うんだけどぉ。
と思いつつも、
一応東南アジアで暮らしていた事がある私は、理由を知っていた。
「まぁ、中華料理の丸テーブルは時計回りがマナーだよね。
それには理由があって、
入り口から奥の席が一番良い席だって言う事は知ってるよね。
実はね、
2番目に良い席というのも決まっているんだよ。
それは、一番良い奥の席の左隣が次に良い席なんだよ。
中国では、次席は「左をもって尊しとする」と言われているんだ。
つまり、
心臓のある左の席を許せる相手だね。
だから、
国際会議なんかでも、主席の左隣がNo.2である場合が多いはずだよ。
そして、このNo.2の席が時計回りに影響している。
つまり、
主席がまず取って、次に左のNo.2が取れるようにテーブルを右に回す訳だ。」
「へぇー、そうなんだぁ」
その時、スープが運ばれてきた。
「ちなみに、回転テーブルは日本人が考えたものなんだよ。」
「わぁー。美味しそうなスープ!」
すでに、誰も私の話など聞いてなかった。
食事が運ばれてくると、話題は食べ物の事に・・・・
「あっ、これ知っている、
フカヒレでしょ、中国の三大珍味ぃ!!」
「三大珍味って、残り何?」
「ツバメの巣だよ」
「あと1つは?」
「アワビじゃない?」
すると、マナーの詳しい子が再び参上。
「中国の三大珍味は、フカヒレ、ツバメの巣、熊の手なの! 常識よ。」
「なんでだよ!
料理番組で、フカヒレ、ツバメの巣とアワビって言ってたぞ」
と他の人が噛み付く。
「熊の手って決まってるの!」
こうして話がこじれると決まって出る言葉がある。
「ねぇ、占いではどうなんですか? かやさん。」
来た来た、
内心。
占いの問題じゃないと思うんだけどぉ。
と思いつつも、
一応東南アジアで暮らしていた事がある私は、珍味の件も知っていた。
「中国三大珍味は、魚翅と燕窩と熊掌と言って、
フカヒレ、ツバメの巣、熊の手だよね。
熊の手は、昔、
時の女帝、西太后のために出された宮廷料理でも有名なんだけど、
その後、中国では、
熊の手に使われたツキノワグマが少なくなったので、
国家級保護動物に指定されたんだよ。
それでほとんど出回らなくなり、
出ても、熊の手の煮込みが18万円とか、熊の手ラーメンが10万円とか、
非現実的な料理の値段となったんだね。
そこで当時、海の珍味の1つで貴重だったアワビが、
熊の手にも似ている事もあって、
中国の三大珍味は、
フカヒレ、ツバメの巣、そして、アワビというのが主流となっていくんだ。
まぁ、食べられなければ珍味も何もあったもんじゃないからね。」
「そうなんだぁ」
その時、デザートが運ばれてきた。
「ちなみに、熊の手は、冬眠を終えたばかりの熊の右手が最高級品とされてて、
味は、豚の脂身に似てて高タンパクでコラーゲン豊富だという事だよ。」
「わぁー。美味しそうなデザート!」
すでに、誰も私の話など聞いてなかった。
食事会は楽しみの内に終わった。
しかし、
会計の時、なにやらもめている。
「どうしました?」
「いや、会社の経費かと思ったら、会社からは何も聞いてないって、
割り勘だって言うんですよぉ。」
「初めから割り勘のつもりで、誘ったんだよ。」
「ウソ!」
「ねぇ、占いではどうなんですか? かやさん。」
来た来た、
内心。
占いの問題じゃないと思うんだけどぉ。
と思いつつも、
「オレが払いましょうか?」
「えっ、すみません。いいんですか。
かやさんをこちらから誘っておいてぇ。ありがとうございます。」
「かやさんが、払ってくれるってぇ!!」
「ええー。ありがとうございま~す。」
「ごっそさんです。」
内心、
あれっ、ここだけスルーかよ。
まるで、ダチョウ倶楽部の「どうぞ、どうぞ」ギャグじゃないか!
しょうがないなぁ
「お会計、2万5千円です。」
「ギャーぁーーーーーー!!!!!」