●隣の夏みかん



ある日、


友人が私に言った。



「実は、隣の家の庭に夏みかんの木があるんだけど、


うちの庭に枝が入ってきてるんだよねぇ。


なんか頭くるよねぇ。」と友人。




私は、


「頭にくるんなら、


君の庭に入ってきた枝を切ってくれるように、隣に頼んだらどうだい」




「あれ?勝手に切ったらダメなの?」


「ダメ、ダメ、訴えられても文句いえんぞ!」




「そうなの、でも切らないよ。


 その枝に実が生りそうなんだよね。


 夏みかんが、なったら当然取って食べていいんだよね?」




「それも、ダメなんだよ。


 なっても隣に返さないとダメだな」




「うそぉ」



「ホント、ホント」




「じゃあ、


その夏みかんを隣が取らないで、


 重さでこっちの庭に落ちたら、取っていいんだろ?」





「それも、ダメだな、隣に返さないと。」


「うそ、なんで?」




「考え方としては、


 君の家の前の空き地


 子供達が野球をしていたとしよう、


 その子供が打ったホームランのボールが君の庭に入った。


 でも、


 そのボールは子供達のもので、君のものにはならない


 それと、夏みかんが君の庭に落ちたのと同じなんだよ。」




「かや、お前詳しいな、」


「実は、一時期、弁護士になりたくて法律を勉強した事あるだよね。」



「基本、日本の法律っていうのは、


 どこの土地から生えているかというのが問題なんだよね。


 だから、隣の土地から生えてきた夏みかんはどこまで行っても隣の物なんだ。」



「へぇ~」


「だから、こういう事も言える。


 
 隣の竹の子が伸びてきて、君の庭で竹の子が出たとする。



 その竹の子は君の土地から生えたので、


 勝手に食べていいし、


 伸びてきた根っこを切ってもいいんだ」





「法律的には分ったけど、 


 霊的にはどうなの?」




「霊的に言うと、


 隣との境に食べれる実が生るのは、良い事なんだよね。


 特に、その実を隣にも分けてあげるとなおいいんだけどね。」


 でも、君、隣と仲いいんだろ。」



「うん、確かにいい。」



「ある例で、不思議な話があるんだよ。


 隣同士の境に、やっぱり夏みかんが植えてあったんだ。



 そこに女性が住んでいた。


 女性は夏みかんを大切に育てていたんだね。




 そんなある日、


 女性の隣が急に引越して、


 かわりに、とても感じの良い青年が引越してきたんだ。




 彼女はその隣に引越してきた青年を好きになったんだけど、


 恥ずかしくて声もかけられない。



 そこで、


 その分、いつも手入れしてる夏みかんの木に、


 青年と友達になれるように毎日お願いしていたんだ。



 そしたら、ある日、


 青年が夏みかん美味しそうですね。って声をかけてきたんだ。



 その後、ふたりは結婚した。」




 土地のにある、実が生る木は、


 時に、願いを叶える手伝いをしてくれる事があるんだよ。