●男性が妊娠?
神奈川県からやって来たというその男は、
やや痩せているのに、
お腹だけがプクっと大きく膨れていた。
メタボ腹とは、明らかに違ったお腹である。
入ってきた瞬間、
妊婦さんだと思ったその人は、男だったのだ。
男性が妊娠するということがあるはずがなかった。
2008年、男性が妊娠したというニュースが世間を駆け巡った事があった。
しかし、蓋を開けてみると、
正確には、
元女性だった男性が妊娠したというものだった。
でも、目の前には、
そんなお腹が大きくなった男性が、相談者として来ていたのである。
その青年が言うには、
医者に行ったが、原因不明ということだった。
原因不明=霊障ではないかと疑う人は多い。
彼もその一人だった。
霊障には、大きく2つに分けられる。
1つは、
供養して欲しいが為に、霊が霊障を起す現象。
そして、もう1つは、
怨みによる霊障である。
怨みとは、
復讐や同じ目に合わせてやりたいという怨念だ。
この2つの違った霊障にも、1つの共通点がある事が多い。
その共通点とは、
霊障を起している霊や怨念が、
自分の存在を分らせようとしている時がよくあるのだ。
例えば、
供養して欲しくて霊障を起す霊は、
目的が供養して欲しい訳だから、
自分に供養して欲しいが為に、
霊障を起しているは私ですよという事を、何かしらの形で表している時が多いのだ。
また怨みや復讐で霊障を起している場合も、
その霊障はオレがやったんだぞ、反省しろっと自分を明らかにしてアピールする時が多いのだ。
従って、
私の目の前にいる青年を見ていると、
その答えは明らかに見えた。
お腹が大きい青年は、一見して妊婦のようだ。
つまり、
霊障を起している霊か怨念があるとすれば、
それは妊婦の霊によるものではないか?
という疑念である。
私の経験上、
霊障の判断はまず、
こうして見た目から入るのが近道なのである。
私は彼に聞いてみた。
「今まで分かれた女性の中に、
妊婦だった人はいませんか?
もしくは、
誰か妊婦さんから怨まれるような事はありませんか?」
青年は少し考えてから、
「別れた女性は1人いますが、
妊娠はしていなかったと思います。」
しかし、
彼は念の為、
友達に頼んで、
別れたその彼女の事を電話で聞いてもらった。
少ししてから、
その友達によって、
別れた彼女の近況が分った。
現在、
別れた彼女は、
レストランの店長と結婚していて、一児の母となっていた。
そして今は、結構幸せだということが分った。
結局、
他に別れた女性はなく、
妊婦に怨まれるような事も無いと言うのである。
見た目から元凶が分ると思ったが、
今回のケースは、そう簡単では無かったようだった。
では、
彼の妊娠のようなお腹の膨れは、どうしてだろう?
妊娠という先入観から離れて考えてみた方がよさそうだ。
妊娠でないとすれば、何に見える?
お腹が大きくなる霊障?
う~ん。
だめだ。
一度、妊娠と思ってしまうと、頭の中が妊娠で一杯だぁ。
分らないなぁ。
一杯水を飲んで、
一息入れた。
私は、
洋服をめくってもらい、彼のお腹を見せてもらった。
「病院では、なんと言われたんですか?」
「肝のう胞の疑いはあるものの、
はっきりした原因は分らないと言われました。」
「膨れたお腹の中は、なんだと言われましたか?」
「水だそうです」
「水?」
水なんだぁ。
「水かぁ」
「そう言えば、
貴方は神奈川県から来られたという事でしたが、
ご自宅は、海か川か湖の近くですか?」
「はい。海の近くです。」
「海?」
「海には、釣りに行ったり、泳いだりはよくするんですか?」
「は、はい。」
彼の顔が少し曇った。
何かありそうだった。
そして、この「水」のキーワードから
男性を妊娠のようにさせた
霊障の正体が、明らかになるのである。
後半は、明日につづく。