●ギャル曽根は?



うちに、


甥っ子が遊びに来た。








というよりは母親のいつもの気晴らしか。




「なにぃ、突然来るから、びっくりしたわ!」


「電話くれれば、駅まで迎えにいったのに!」




「前に来てるから、散歩がてらに・・・。気にしないで」



「ひとちゃんも大きくなってぇ!」


「こんちわ」


「こんにちは」



母親同士が話している間、


子供は犬と戯れていたが、



それに飽きると、テレビを見始めた。


今時の小学生はテレビっ子だ。


よくテレビの事を知っている。












30分ほどした時、



母が、


「博史、ひとちゃんにケーキあげて!」



「はーい」


母は話しに夢中になっていたので、


私がひとし君ケーキをあげる事になった。






飲み物何がいい?」



すると、ひとし君は、


「カフェオレ!」



「カフェオレ? ねぇよ! 牛乳でいいね。」



「なんだ無いのか!  牛乳で我慢するよ」



ちょっと生意気である。










「はい、どうぞ!」


「あっ、チーズケーキだ! おいしそう!」





「高そうだね、いくらしたの?」




「ん~。


 300円くらいだったかなぁ」






「ウッソだぁ。


 シャトレーゼのベイクドチーズケーキでしょ! 189円だよ!」




「知ってるんかい!」


そんじゃなぜ聞いた? 生意気である。







その時、


私はある事を思い出した。



「あれ!母さん!このケーキ もう仏壇にあげたの?」



実はこのケーキは亡き父の為に買ってきたのだった。




「まだだわ」


「ごめん、ひとし君!  


 そのケーキちょっと待って!」



私は、そのケーキをひとし君から取り上げると、仏壇に供えた。


ちょっと逆襲の気分だ!





ひとし君は、「ウソ、マジ!」



「悪いね、一個しか買ってないから」


「えっ、仏壇にあげると、いつ食べられるの?」





よく相談者に聞かれることである。


お前は相談者か?と言いたくなるが、


「そうね。あげる相手による というのが正解だと思うよ」



食べるのが早い人には、ケーキ1つなら10分でいいと思うし、


まんじゅう1個なら5分でいいかもしれない。


生前の故人を考えて、


そこに実際に居るとして、振舞えばいいのである。



翌日まで置いておいて、ダメにしてはもったいない。


無駄を嫌う故人であれば、むしろ怒られそうである。



すると、


突然ひとし君が、


「じゃあ、ギャル曽根は?」



「ギャルソン? 誰それ? フランス人?」



「ええー?  ギャル曽根知らないのぉ?」


「知らん!」


「フードファイター! 大食いの女王だよ!」


「あっそう、大食いの女王だったら、1分もあれば十分じゃない」


「1秒だよ!絶対!」


知ってるなら聞くなと言いたい。




結局10分後に、ケーキをひとし君にあげた。


これはお墓参りでも同じである。





故人の食べるペースを考えて、


この人だったら、このくらいの時間があれば十分食べ終わるという時間置いてから


持って帰る。


生前、食べるのが遅い人でも、


実際に食べる訳ではないので、15分もあれば十分だと考えられる。



寒い日の墓参りであれば、5分でもあっても分ってくれると思う。



要は、自分の為に買ってきてくれたという心遣いを食べるのである。