●父の命日と、季節はずれの雪



ある時、


大学生が占いにみえた。




彼女は毎月、月命日には必ず、お花を持って

父親の墓参りに行くというのが常だという。





父親は生前、彼女をとても可愛がり、


いわゆる目の中に入れても痛くないという可愛がり様だったという。




そんな彼女が言った。











「実は、先日、


 父親の命日に墓参りに行けなかったのです。」




「父親は怒ってないでしょうか?」















まぁ、こういう時は、


私はまず、


行けなかった理由を聞いてみる事にしている。





「その日、どうして、行けなかったのですか?」








実は、お恥ずかしい事ですが、


車の鍵が見つからなかったのです。








いつも、ハンドバッグのわかり易い所に入れているのですが、



その日は、どのハンドバッグを探しても見つからないのです。




そして、


とうとう命日なのに墓参りに行く事ができませんでした。









「鍵はいつ見つかったのですか?」



翌日も見つからず、


結局3日後に、


晴れて洗濯をしようとした時に汚れた衣服を持ち上げたら、


ポトリと落ちたのです。


多分、


何かの服のポケットに入れてしまい、


ハンドバックに入れ忘れたのだと思います。







「3日後に、晴れてと言う事は、それまで雨だったでしたか?」



いいえ、


命日の日が、季節はずれの大雪で、洗濯ができず、



翌日も雪がベランダに残っていて干せない状態だったので、




結局、3日後の晴れの日、


雪が溶けた日に洗濯しようとして見つけたのです。









「なるほど、


 つまり、大雪の日は車の鍵が見つからず、


 鍵が見つかったのは、雪が溶けた3日後だったのですね。」




「はい。」









私が思うには、


車の鍵が、見つからなかったのは、




偶然じゃなかったと思いますよ。






普通、


命日には必ず墓参りに行かなきゃと思うでしょうが、


実は、絶対じゃないのですよ。








今回の様に、大雪だった時、



貴方のお父様は、きっとこう思ったのでしょう。










雪だから危ないよ。そんなにまでして来ちゃダメだ!


雪が無くなってからゆっくり来なさい。




きっと


お父様が生きていても、そう言ったはずですよ。




それは亡くなっても同じなのです。


父親の愛情は亡くなった後も変わらないのですよ。




「そうなんですか」




「お父さん」


「ありがとう」