●ビール瓶の霊障
これは、
たった1本の、
ビール瓶(ビン)が、
霊障(災い)を起こす事もあるというお話である。
このお話は、
本当は書きたくない事である。
なぜなら、
せっかく相談者が来て頂いたのに、
私の力不足で、
その人の助けになれなかった
苦い思い出の1つだからだ。
季節は春一番がふく頃だった。
一人のご婦人が、みえた。
怪我をして、
病院の帰りだと言うそのご婦人は、
ややビッコをひいていて、
やっと椅子に座った感じだった。
しかし、
彼女は、座るなり、
言った。
「おかしいと思われるかと思いますが、
私、ビール瓶に呪われているんじゃないかと思うんです。」
私は聞いた。
「もしかして、
その怪我もビール瓶が原因ですか?」
「ハイ。」
「今日、道に転がっていたビール瓶を踏んでしまい、転んだんです。」
彼女の話を要約するとこうだ。
彼女はお酒を含めアルコール類は飲まない。
従って、ビールも飲まないから、
家にはビール瓶は無い。
彼女の家族構成は、
未亡人で、
長男1人と一緒に暮らしていた。
後々になって分るのだが、
この未亡人という事が1つのキーポイントであったが、
この時は不覚にも、見過ごしてしまっていた。
異変が起こったのは、
元旦からだったという。
お正月で、長男と一緒に実家に帰った時である。
ご両親と久しぶりの食卓で、
父親がビールを飲むので、
彼女が父親のコップにビールをついであげようとしたその時だった、
そのビール瓶が手から滑って、
父親の洋服にぶちまけてしまったのだ。
しかし、
それ以前に、食卓にビール瓶が出てきた段階で、
ビール瓶を見た瞬間から気持ちが悪くなって吐きそうだったという。
それだけではない、
実家から帰った日の事だった。
買出しにスーパーに行った時、
棚にあったビール瓶を見て、
急に気分が悪くなって座り込んでしまったという。
彼女は言った。
「私、ビール瓶に呪われているんでしょうか?」
しかし、
ビール瓶は生き物ではない。
従って、ビール瓶に呪われることはない。
これだけは言える。
ビール瓶が呪っているのではない。
なぜなら、
災難を及ぼしているビール瓶は、どれも違うビール瓶だからだ!
例えば、
1つの人形が毎回関係していれば、その人形が元凶だと分るが、
今回のケースは違う。
実家にあったビール瓶も、
スーパーにあったビール瓶も、
そして道端に転がっていたビール瓶もどれも違うものだ!
逆に、これは何を意味しているのだろう。
私には分らなかった。
父親にビールをこぼしたのも、
ビール瓶を踏んで怪我したのも、
普通に考えると、偶然にみえるが、
偶然起きたことでないことは感じた。
なぜなら、彼女は、
それらの事が起きる以前からビール瓶を見て気持ちが悪くなっている。
ビール瓶が関係している何かがあると感じられた。
霊的な何かが・・・
「何か、実家でビール瓶に関係する何か変な事はしませんでしたか?」
「もしくは、去年末付近にビール瓶に関係して おかしな事はありませんでしたか?」
こういう時は、
おかしな事があった、少し以前に何かしら、
悪い事を起す原因をおこしている場合が多いので、
彼女に聞いた。
しかし、
彼女に思い当たる事はいっさい無いということだった。
結局、分らなかった。
彼女を安心させる事も出来なかった。
料金は頂かなかった。
それよりも、
ビッコをひきながら、帰っていった彼女に申し訳なかった。
やがて、
夏になり、
お盆の時期になった時、
1本の電話が来た。
そして、
この怪奇な謎は、
急転直下、解決するのである。
後半は、明日につづく。