●死に目に逢う
長い間、占いをしていると、
お客は必ずしも未来だけを気にしている人だけでない事が分る。
過去に起きた忌わしい出来事から立ち直れない人もいる。
過去のある時期から、
ずっと、
時間が止まっているのだ。
ある女性が、友達に連れられてきた。
若いのに未亡人だという。
お友達は、彼女がいつも一人で家に居るのはよくないと感じて、
気晴らしをかねて、彼女を外に連れ出したのだ、
よい友達とはいいものである。
半年前の出来事だったという。
まだ新婚生活も始まって間もないふたり。
最愛の夫は、
トラック運転手。
はやく2人の新居を立てようと、よく残業していたという。
待ちうけには、まだ最愛の夫の写真が微笑んでいた。
奥さんは今でも彼の生前のメールを大事とってあった。
「これから一生、2人で楽しく生きよう。
君を幸せにするよ。」
そんなふたりに悲劇が起きたのは、夏のある日だった。
彼の乗ったトラックと乗用車が正面衝突。
彼の時計が7時15分で止まっていたことから事故は7時15分と推測された。
即死状態だったという。
その後、30分後の7時45分に警察から彼女に事故の電話が入ったという。
人が死ぬ時、その場に居合わせること。
人はそれを、「死に目に逢う」という。
しかし、
その瞬間に、
遠い場所にいたり、
仕事で駆けつけられない時だったりしたら、
死に目に逢えなかったら・・・・
愛する親や、恋人の死に目に逢えなかったら、
人は、親しい人の死に目逢えないことで、
その後、そのことが悲しみを重くすることもある。
なぜ、間に合わなかったんだ、
なぜ、仕事が入っていたんだ、
なぜ・・・・・
ひとり残された彼女も、
最愛の彼の死に目に立ち会えなかったことを悲しんでいた。
そんな彼女に対して、
ひとつだけ携帯を見て、気がついた事を言った。
「最愛の彼を失った失意を補うことでできませんが、
死に目に逢えなかったという、貴方の残念な気持ちだけは、救えます。」
なぜなら、
「貴方は彼の死に目に逢っています。」
そう言うと、
彼女に、当日の携帯の履歴を指さして言った。
ここに、
非通知で、空メールが1通来てるでしょ。
「はい」
この空メールこそ、貴方の夫からですよ。
なぜ非通知で、なぜ即死なのに電話できたかは分らない。
最愛の妻への愛の力としか言えないものだった。
それを聞くと、彼女はその携帯を抱き寄せて泣いた。
それは、たかが空メールだったが、
からの中には、まるで、
「君に出会えて幸せだったよ。ありがとう。」
という文字があるように感じられる時間が刻まれていた。
発信時刻:
「7時15分」
http://www.youtube.com/watch?v=PDdvdCStC3g&NR=1&feature=fvwp