●戒名(かいみょう)
一般に、戒名とは、
亡くなった時に、故人をたたえ、
仏弟子として浄土に往生するために、
葬儀を取り仕切る僧侶に授けてもらうもと理解されていると思います。
名前が変わるから「改名」だと思っている人は間違いです。
人が仏教徒となり、
仏門に入ったことの証しとしていただく名前のことです。
戒名には、宗派によって色々なものがありますが、
戒名と言えば、
まず一般の人が、一番気になるのは値段ですね。
では、一般的なもの値段についてみてみましょう。
(あくまで参考です。色々あるでしょうから)
下の3人の戒名を見て、どう思いますか?
●白蓮院妙容日苑大姉
●瑞雲院法道日長居士
●天真院九心玄聲居士
まあ、普通の人が見てもよくわからないでしょう。
でも見る人が見ると、
高い良い戒名だということが分ります。
まず、
戒名が高いか安いかを1発で発見するには、
院が入っているかどうかです。
●白蓮院妙容日苑大姉 (鈴木その子)
●瑞雲院法道日長居士 (いかりや長介)
●天真院九心玄聲居士 (坂本九)
3つのいずれにも「院」が入っていますね。
まあ、通常50万以上の良い戒名と言えますね。
ただ、この上の戒名もあります。それは、
●国泰裕松院殿霊山俊龍大居士
●安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士
上の2つのように、「院殿」が入った戒名です。
これになると通常100万円以上の最上級の戒名となります。
●国泰裕松院殿霊山俊龍大居士 (豊臣秀吉)
●安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士(徳川家康)
●惣見院殿贈大相国一品泰巖尊儀 (織田信長 )
●文鏡院殿孤山康成大居士(川端康成)
●貫天院殿純義誠忠大居士(近藤勇 )
●叡光院殿徹誉明徳素匯大居士(吉田茂)
●大義院殿誠忠長陵大居士 (山本五十六 )
つまり、「院」以上が入ると高い戒名となるわけです。
一般に「院号付き」と言われています。
次に、
最後の2文字で男か女かが分るのですが、
この2文字の男女の書き方で値段が違います。
高い男子の描き方は、「大居士」です。
高い女性の描き方は、「清大姉」です。
つまり、「院」が無い場合、次に高いのは、「居士」や「大姉」です。
●泰裕松霊山俊龍居士 (男性)
●蓮妙容日苑大姉 (女性)
まあ、通常30万円以上の良い戒名となります。
一般的な戒名というのもあります。
つまり、「院」が無く、「信士」や「信女」です。
●泰裕松霊山俊龍信士 (男性)
●蓮妙容日苑信女 (女性)
通常10万円以上の戒名となります。
ここまでで大体の高い順位が分ります。
○○院殿○○○○大居士 (100万以上)(男)
○○院殿○○○○清大姉 (100万以上)(女)
○○院○○○○大居士 (80万以上)(男)
○○院○○○○清大姉 (80万以上)(女)
○○院○○○○居士 (60万以上)(男)
○○院○○○○大姉 (60万以上)(女)
○○院○○○○信士 (50万以上)(男)
○○院○○○○信女 (50万以上)(女)
○○○○居士 (30万以上)(男)
○○○○大姉 (30万以上)(女)
○○○○信士 (10万以上)(男)
○○○○信女 (10万以上)(女)
次に、戒名を作る人は、
その人の生前の様子や貢献などを考慮して文字を加えます。
ここに作る人の才能が現れます。
例えば、
美空ひばりさんなら、「唱」を入れてあげる。 …… 茲唱院美空日和清大姉
田中角栄 さんなら、「政」を入れてあげる。 …… 政覚院殿越山徳栄大居士
小池重明 さんなら、将棋の名人という意味で「棋」を入れてあげる。…… 棋勝院法重信士
鈴木その子 さんなら、「白」を入れてあげる。 …… 白蓮院妙容日苑大姉
川端康成 さんなら、「文」をいれてあげる。…… 文鏡院殿孤山康成大居士
手塚治虫 さんなら、「蟲」をいれてあげる。…… 伯藝院殿覚圓蟲聖大居士
このようにして、
生前の様子を表した良い戒名ですね。となる。
ちなみに、現在は戒名にも値段革命の波が来つつある。
インターネットで調べれば、
戒名を3万円で作ってくれる寺を探すのは容易かもしれないし、
私の父の様に、立正佼成会で戒名を作ってもらうと、
顯生院法智春徳信士 のように「院」がつきながら、1万円でした。
まあ、高額な戒名には、
お布施という普段お世話になっているお寺への寄付という意味あいもあるだろうから、一概に反対とは言いがたい。
ちなみに、子供だと、最後に下のような文字を付けます。
十五歳未満の子供には「童子・童女」
十五歳未満の子供に高いものを付けるには
「善童子・善童女」や「大童子・大童女、清童子・清童女、禅童子・禅童女」とする。
子供(二~三歳)には「孩児(孩子)・孩女」
乳飲み子には「嬰児(嬰子)・嬰女」
水子には、「春夢」「夏雲」「露命」「清光」などいろいろ。
また水子で戒名をつけない場合は、
「〇〇家の水子の霊」
「〇〇〇の水子の霊」
とする。
最後に、
差別戒名についても書いておこう。
昔、部落民や乞食など文字がよく分らなかった人に、
差別的な戒名をわざと作ってあてがった。
つまり、戒名に悪い字を使うことで、バカして、この家の代々を差別するためであった。
文字の読み書きが出来ない事に付け込んで、
戒名に被差別部落民の墓だと分かる特定の文字や形式を用いるのである。
今でもそう墓石に刻まれたものがある。
●「幻露非女」
●「道秋禅畜男」
など、
「婢」「隷」 「畜」「賤」「ト」「草」「朴」「僕」「非」「閂」
「革」「鞍」「似」「皮」「栴陀羅」「屠」「奴」 という文字を入れるのである。
また、昔は、朝鮮、韓国人には「朝」遊女には「遊」アイヌには「夷」などと書いていた。
これも差別に当たるだろう。
文字の分らぬ人達は、坊さんから頂いたとしてありがたく墓石に刻んでしまった人もあろう。
こういう戒名は記録保存され、つい近年まで、その子孫の結婚や就職に不利な扱いの原因にもなった。
平等を歌う坊さんがやって欲しくないことであると同時に、
現在でも密かに引き継がれている所があると聞くのも残念な事である。