●たった一言だけの占い

 

 

長い間占いをやっていると、色々なお客さまが来る。

 

その中でも特に忘れられない女性がいる。

 

 

 

 

 

 

 


ある日のこと、

 

まだ歳も若いと思われる母親がみえた。

 

椅子に座る時に、ちょっとよろけたので、私が

 

 

「大丈夫ですか?」と声をかけると、

 

 

彼女は、

 

「実は私、医者から余命があと3ヶ月と言われているんです」と語り始めた。

 

病院で入院中だが、散歩中に抜け出てきたという。

 

命のことはあきらめがついていますが、

 

娘の事を考えると涙だが出てきて、眠れないと。

 

 

話を聞くと、

 

5歳の娘さんがいて、

 

その子の成長を見守ってあげられないのが本当に心残りで、心残りで、

 

片親という負い目をずっと背負って生きていくじゃないかと考えると

 

 

 

 

悔しくてと切々と語った。

 


しかし、

 

こんな時の占い師は無力だ。

 

たかが占い師の私に何が出来るというのだろう。

 

これから死にゆく者を目の前にして、どんな占いが出来るというのだ。

 

彼女に、どんな未来を語ってあげられるというのだ。

 

そう自問自答したが、答えは出なかった。

 

 

 

 

結局、私は、たった一言の占いしかしなかった。

 

いや、それしか出来なかった。

 

 

 

それは、

 

「娘さんがとても喜んでいるのが見える」という言葉だけだった。

 

 

 

病院を抜け出てまで来てくれた人に、

 

たったこれだけの鑑定?

 

なんと冷たい占い師だと思われたかもしれない。

 

でも、これから死にゆく者に、気休めの言葉はかけられなかった。

 

 

 

たった一言の占いだった。

 

しかし彼女には何か得たものがあったのか、喜んで病院に帰っていった。

 

それだけが私には救いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3ヶ月が過ぎた。

 

 

 

 

忘れかけた頃に一通の手紙が来た。

 

彼女からだった。

 

 

 

 

 

「拝啓、かや先生、

 

 先日はありがとうございました。

 

 先生はあの時、

 

「たった一言の鑑定だから、お金なんかいらない」

 

 と言ってくださいました。

 

 でもあの時から、私はどんなにか忙しく、どんなに楽しかったことか、

 

 先生のおかげです。

 

 鑑定料はぜひ受け取ってください。」

 

 

 

手紙には、ちり紙に包まれた鑑定料が一緒に同封されていた。

 

 

 

 

 

 


「あの日、

 

 私が、娘の結婚式にも出られないと泣いた時、

 

 先生は優しく言ってくれました。」

 

 

娘さんの結婚式に

 

 貴方も一緒に参加しましょう。ね」

 

 貴方が参加したら、きっと娘さんも喜びますよ。」って

 


 先生が手紙は直筆の方がいいとおっしゃっていたので、

 

 手紙は全部直筆で書きました。

 

 だから字もだいぶうまくなったんですよ(エヘッ)

 

 先生が言った、手紙とプレゼントを決めるのが結構大変で、

 

 でも結構楽しかった。

 

 娘が、

 

 小学生5年生になって、どんなプレゼントがいいのかな、とか、


 中学生になったらどんなプレゼントがいいのかなぁ、とか


 彼氏に振られちゃった時、どんな言葉をかけてあげたらいいのかな、とか


 就職祝いはこれで喜んでくれるのかな、とか

 

 

●二十歳(はたち)までの毎誕生日
●入学式・卒業式
●就職祝い
●ボーイフレンドができた時、
●彼氏に振られた時(万が一)
●結婚式
●子供が生まれた時

 

 

先生が言った上のものに、

 

婚約したお祝いの時も追加しゃちゃいました。
娘の婿になる人にも書いておきたいし。

 

 

 

夫は寡黙(かもく)な人だけに、私が居なくなっても大丈夫かしら、

 

と心配になります。

 

 

でも、

 

 

夫が手紙と一緒に指定したプレゼントを娘に渡してくれる時のことを思い浮かべると、とても楽しかった。

 

 

貴方をこんなにも愛した母親がいたということが娘に少しでも伝わるでしょうか。

 

 

先生が言った

 

「娘さんがとても喜んでいるがの見える」っていう言葉を支えに頑張りました。

 


そして書いているうちに、

 

娘が喜ぶ顔が、私にも見えたんです!!

 

 

私も、もっと生きていられたら占い師になれたかな?(エヘッ)
(きっと成れましたよ。私より立派な!)

 

先生、

 

娘が結婚式でバージンドロードを歩いてるんですよ。

 

スクリーンの私は娘に祝辞を読み上げています。

 

夫と、

 

私に、

 

祝福されている娘。

 

私に似て(?)とっても綺麗!

 


それから

 

孫が生まれ、お婆ちゃんからのプレゼントだよって。

 

 

りっぱな娘になって


本当にりっぱな娘に・・・・・・

 


・・・・・・

 

 

一緒にいてあげられなくてゴメンね。

 


・・・・・

 

手紙の文章はここで切れていた。

 

 

遺族の方が私に送ってくれたのである。

 

 


いまでも、彼女にもらった鑑定料は使えないままでいる。

 

 

そしてこの話が


私のブログのタイトル名「占い師の一言ブログ」の由来になっている。

 

END