●おかあさんと約束したの
10月2日のある寒い日、
可愛い女の子が生まれた。
母は、
「こんなに可愛いんだもん、この子、歌手になるよ。」
父、「可愛いな、歌手か、そうだな」
母親は何かというと、娘と歌を歌った。
娘は、母親の愛情を受け止めて言った。
「かちゅになる」
しかしある日、
そんな親子に医者は言った。
言語障害は一生続くでしょう。
母親は震えた。
「そんな・・・」
それに追い討ちをかけるように医者は続けた。
両上下肢機能障害により、だんだん体が動かなくなります。
それでも母親は娘と歌った。
「頑張って、そう、口を大きく開けて歌うのよ。」
「うまいわよ」
父親は、「言語障害で体が段々動かなくなるんだぞ、歌手?・・・フー」
やがて、父親は二人を置いて家を出て行った。
それでも母親は娘と歌った。
「大丈夫、お母さんがついているからね」
「うん。かちゅになる」
しかし、
ある日、母親は娘にあやまった。
「ゴメンね。あさみ」
「何であやまるの?」と目が語った。
「おかあさんね、・・・・・」
言葉につまって言えない。
「おかあさんね、ちょっと遠くに行かなくてはならないの・・・」
胃がんだった。
病院のベットの上でふたりは歌った。
泣きながら歌った。
かあさんは、最後に1つだけ、私にお願いした。
私にお願いなど、今まで1回もしたことないのに
私は、泣きながら言った。
「おかあさん、言って、何でもするよ。」
「あさみ」
「歌手になってね」
そう言うと、母は息を引き取った。
「かあさん!」
一晩中、動かぬ母の前で歌を歌った。
小さい頃、二人で歌った家にも住めなくなった。
上京しよう。
歌手になるんだ。
オーディションを受けた。
「はい、次の人」
「よ・ろ・し・く・おねがい・し・ま・す」
「あれ、君、車椅子なの?」
「あ・い」
「車椅子はまぁ、いいとして、言語障害でうまく喋れないのに歌手になりたいの?」
「あ・い」
「まあ、いいや、歌って見て」
あさみは頑張って歌ったよ。
かあさん、見てる?
「はい、ストップ」
「もういいよ、」
「車椅子だから面白いと思ったけど、あんた、歌、どヘタじゃない」
「笑わせないでよ、歌手なんて無理だな!」
「そんな夢、捨てちまいな!」
オーディションも20回目を過ぎたある日、友達は言った
「まだ歌手になりたいの?」
「おかあさんと約束したの。
果たせないとおかあさんが生きてきたことが無駄になってしまう」
しかし、オーディションは落ちた。
「ダメかな。・・私、 おかあさん」
初めて弱音を吐いた。
おかさんの慰霊を抱いて、泣きながら歌った。
これで最後のオーディションにしよう。
38回目だった。
「おかあさん。守って!」
オーディションは不合格だった。
「ごめんね、かあさん。・・・・・もっと私がうまく歌えれば・・・・
私、もうダメなのかなぁ・・・・・・・」
ある人が言った、「道端で歌えば!」
寒かった。
とても寒かった。
思った以上に道端は寒かった。
言語障害と体が動かなくなる病状は進行しているのだ。
いつまで歌えるんだろう。
寒さと病状は歌手には過酷だった。
車椅子の歌姫は下手だった。
でも、
数少ない暖かい人がカンパをくれた。
そのカンパで、あさみの唯一やりたことをやった。
通り過ぎる人はいるが、彼女に聞き耳をたてる人はまばらだったが、
震える声で続けた。
「今日は、母の命日です。」
「路上コンサートします」
2人、足を止めてくれた。
心を込めて歌いました。
「おかあさん。こんな歌手だけど、いいですか」
歌といっしょに涙が流れた。
PS.この子、1人じゃないよ。おかあさんと一緒に歌っているんだよね。
応援の意味でブログにしました。
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