●姫と新型インフルエンザ


「爺!爺!」


「姫様、こちらでございます。」と台所から声がする。


「おお、爺、台所で何をしてるのじゃ?」


枝豆を作っておりまする。
枝豆だけはコックよりも爺の方が上手なのでございますよぉ」


「爺はのん気でいいわね、
 それより大変よ、隣町で新型インフルエンザで子供が死んだのよ!!」


「はい、今朝のニュースでやっておりました。」


「もう、姫は学校に行きたいの!でも、怖くて外にも出れないわよ!」


「姫様、予防さえしっかりしていれば、大丈夫でございます。」


「予防って?、どうするの?」


「はい、まず、新型インフルエンザは人から人へ感染と騒がれておりますが、
 実は、正確には、手から手への感染が多いのでございます。」
「沢山の人が触った所はなるべく避けるか、触った後は、手を洗うことでございます。」


「通勤・通学などでは、会社や学校についたら、手を洗う。
学校では、休み時間ごとに手を洗う、
家に帰ったら、手を洗う。のでございます。
特に、ドアノブや電話機、釣り銭など、注意でございます。」


「ちょっとぉ、沢山の人が触ったものが危ないなら、
先週人気のバックを買ったけど、怖くて使えないじゃないの!」


「物についた菌は2日たてば、死にますので、先週なら大丈夫でございます。」


「あと・込み合っている所はなるべく行かない方がいいかもしれませんね」


「無理!無理!
 明日、美香子と映画見に行くもん。マル9も行くわよ、電車も乗るわ」


「それでは、電車がもし混んでいたら、マスクをして、
 なるべく座らずに立っていたらどうでしょうか、
そしてつり革やポールなど触った後は、手を洗う」


「姫は立っているより、座った方がいいわ」


「はい、でも座っている人の方が低いので、飛まつ感染しやすいのでございます。
それに、姫様は運動不足ぎみですから、
足を鍛える運動のつもりで立っていた方がよろしいかと思いますが・・」


「そうなの・・・
でもぉ、そんなに頻繁に手を洗えないわよ、
手を洗うの忘れやすいし・・・」


「それでは、姫様、手袋をなさいませ、
先日買った、薄い肌色の手袋がよろしいかと、
実は、爺の孫には、外出する時は、手袋をするようにと言ってあります」

「子供は直ぐに手で目を擦ったり、
手を口に入れたりするので、その防止にもなりまする。」


「でも、咳している人とかが側に居たらどうするの?」


「どんな人でも、2m離れていれば、大丈夫でございます。」


「2mねぇ」 なにげに爺から2m離れる姫


「どうしました?」と爺


「別に!」


「・・・・・・」


「今日の夕食はなーに?」


「はい、新型インフルエンザ予防にも役に立つようにと、
今日は、キノコの野菜サラダとニンニクたっぷりのステーキでございます。
キノコとニンニクが免疫力を高めるのでございます。
ニンニクは最高でございますよぉ。
豆類とうなぎ、青魚も良いと聞いております。
姫の嫌いな納豆もいいのでございますよ」


「ゴホッ!、ゴホッ!」咳き込む爺


「どうした?爺、   爺?」


「ゴホッ!、ゴホッ!」苦しそうな爺。



ひどく咳き込む爺を見て、姫はびっくりしたように叫んだ!

「ギャー!!!!」



「誰かぁ!誰かぁ!爺がインフルエンザじゃ!!!!!」


「誰か!霊柩車じゃない、救急車を呼んでー!!!」


「ひ、姫~」と爺。


「近づくな爺!、2m以内に近づいたらクビじゃ!!」



「ひ、ひ、姫・さま」



「な・なんだ爺、遺言か?」



「姫様、枝豆が喉につかえただけでござりまする」