●姫とゆで卵


「爺! ジィ!」


「ハイ、ハイ、姫様
台所で何をなさっているのですか?」


「卵をゆでているのじゃ」


「ほう、卵を、姫様が・・・・」


爺が不思議そうに姫様の顔を覗き込んだ


「今日、学校で得意な物を書くらんに料理って書いたのぉ、

そしたら、先生がどんな料理って聞かれて答えられなかったの!」


「ほう、そんな事が・・・」


「ちょっと、ジイ」


「うちのゆで卵は学校のよりむきにくいわよ!!」


「そりゃあ、そうでございます。
うちの卵は超新鮮・今朝農家で生まれたものを、
毎朝オートバイ便で届けさせているのでございます。
ゆで卵は卵が新鮮なほど、むきづらいのでございます。」


「なんでじゃ?」


「生まれたばかりの卵には、炭酸ガスが入っており、
それをゆでると、炭酸ガスが膨張することにより、
卵白が殻に押し付けられて、隙間がなくなって殻がむき難くなるのでございます。」


古い卵は、何日か置いておくことによって炭酸ガスが徐々に抜けていくのでございます」


「爺、姫はむきやすい卵のほうがよいぞ!」


「だいたい一週間後くらいの卵が一番向きやすいのでございます。」
「運転手に買ってこさせましょうか?」


「もうゆでてしまいました。」


「姫、ゆでる時、お酢はいれましたか?」


「入れてないわよ」


「大さじ2杯くらいのお酢を入れると、割れた時、白身が出にくいのでございます。
また、殻も少し柔らかくなりますのでむきやすくなります」


「姫、お塩はいれましたか?」


「多分いれてないわよ」


「・・・・・・」お互い無言。


「それでは・・・


卵がゆであがったらすぐに氷水につけておくとむき易くなりまする。」


「うずら卵のように小さい卵はどうしたらいいのじゃ」


「うずら卵など小さい卵はコップなどに2・3個入れて、カチャカチャふって、

細かい割れ目を入れてからむくとむき易いかと思います。」


「それじゃ、普通の卵もか?」


「はい、普通の卵もおたまの裏とかでコツコツ叩いて、細かい割れ目を入れてから水の中でむくと
むき易いのでございます。」


「爺、こうか?」

お玉の裏で卵をたたく姫


「爺!何回叩けばよいのじゃ?」
「結構重労働なのねぇ」
「爺、何かもっと良い方法は無いのか?」


「それでは、卵をタッパウェアに入れてふってみますか?」


「それ先に言ってよ、もう叩き終わったわよ。
 腕が疲れたわ!」


「それで、水の中でむくのね!」


「そうでございます。
水が殻と薄皮の間に入って、むき易くなるのでございます。
また、水の中だど、薄皮も見えやすいのでございます。」


「あっ、姫、むく時は、卵のとがっていない方、
つまり太くなっている方からむくとよいですぞ」


「なんで?」


「太くなっている方に、白身と殻の間に空間があるからむき易いのでございます。」


「爺、むけたわ、簡単じゃない!」


「でも、爺、私のゆで卵の黄身がやけに外の方にあるわねぇ。
 黄身が透けて見えるわ」


「姫、ゆでる時に時々たまごを裏返しにしたり、転がしたりしましたか?」


「そんな事しないわよ、早く言ってよ!」


「でもこれで得意料理が先生に言えるようになったわ!」


「ほう、姫様、どんな得意料理でございますか?」


「決まってるじゃない、
 ゆで卵よ!」


「姫様・・・
 それは、むしろ言わない方がよろしいかと・・・」