天国と地獄をいっぺんに味った一日だった。大げさかもしれないが、間違ってはいないと思う。
順調に治療を進めていたはずの虫歯がにわかに疼き、急きょ歯医者さんに駆け込んだ。行かない時は平気で何年もご無沙汰するくせに、なまじっかきちんと通い出すと、少しでも気になると放っておけないたちらしい。
診断の結果、どうやら虫歯の下にあらたな膿が溜まっていたそう。そして、次の瞬間、凍りついた。なんと、麻酔して歯肉を切開して膿を取り出すというのだ。
マジかよ!!!
こんなとき、心中の言葉遣いはとことん汚ない。膿は見えても素性が見えないのはありがたいが、気分はまさにまな板のうえの鯉だった。
麻酔の何が嫌って、麻酔そのものが激痛なのである。今回もまた、麻酔の針が歯茎に刺さった瞬間、
イッッッッ、、テー!!!
と、心中で叫んだ。
こんな時、言葉は話せなくても眉間のシワや手の握り具合などの絶妙な動きで、何かが歯医者さんにも伝わるのだろうか。心配そうに、「痛みますか?」と時折り声をかけてくださる。私は、いつどんな一撃に襲われるかわからないので常に表情の緊張感は崩さないようにしているのだが、だからといって麻酔をふたたびかけられては堪らないので、「あいおううえす(大丈夫です)」とすかさず答える。
しかし、痛みと恐怖は不思議な関係にある。痛みはたしかに痛みなのだが、一度味ってしまえば、そこには小さいけど確実な「安堵」が訪れるのだ。ようするに、痛みの程がわかるので、おのずと恐怖のたかが知れてくる。ただただ未知の痛みに怯えるというよりは、やや理性的に怯えるようになる。痛みの恐怖は、痛みで乗り越えられるのだ。まあ、どっちにしても辛いのですが。
そんなこんなで治療を終えたら、麻酔で左の口角がほとんど閉まらなくなってしまった。コーヒーを飲んだら、いつのまにか膝元にこぼしてしまう始末。この後マッサージにいったのだけど、麻酔のインパクトが圧倒的すぎて記憶が薄い。天国と地獄というより、地獄に飲まれた天国というかんじですね。
歯医者とマッサージは、別々に行かれることをお勧めします。
長くなりましたが、今日のごはん。の後の一食(冷凍肉まん)
