広島湾岸トレイルのTWARガイドライン | 広島湾岸トレイルオフィシャルブログ

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『市民の市民による市民のためのトレイル』広島湾岸トレイルは、市民が立上げ開発し、公的補助を受けずに自立した活動を実現している日本では稀有なロングトレイルです。「HWTをもっと知りたい」「歩き&走りたい」「活動に参加したい」方への役立つ情報を発信します!

広島湾岸トレイル協議会は、各公民館での講座をはじめ、さまざまな形で「安全登山推進」活動を行っています。

コロナ禍において、対面での情報発信の機会が限られているなか、

広島湾岸トレイル(陸路291.9km)での山歩き(WALK)、トレラン(RUN)をより安全に歩く、走るためのガイドラインをまとめました。

 

TWARとは、TRAIL(T)、WALK(W) AND(A) RUN(R)の頭文字からの造語です。

 

ぜひ熟読いただき、

ご活用くださいませ。

 

尚、このガイドラインは、

長野県登山安全条例に基づく「登山を安全に楽しむ為のガイドライン(長野県登山ガイドライン検討会作成)」をベースにして作成させて頂いています。

 

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▲▲▲広島湾岸トレイルのTWAR(trail walker & runner)のガイドライン-20201201  

 

(1)TWARする前の心構え

 

 山域(自然界)には電気、水道、公共交通機関、病院など街に当たり前にあるライフラインや社会インフラがない。TWARは、衣食住に必要な装備品などを持参し、すべての行動を自己責任で行うという意識を 持つことが必要である。 

 

 ① 普段から健康管理をして、自分の体調を把握しておくこと。 

 ② 山は安全が保証された場所ではなく、すべて「自己責任」の上で行動するという意識を持つこと。 

 ③ 遭難は他人事ではなく、自分も遭難する可能性があるという意識を持つこと。 

 ④ TWARはスポーツであるという認識を持ち、長時間の運動負荷に十分耐えられる体力を身につけること。 

 

(2)リスク回避 

 

 TWARによる様々なリスクを軽減し、危機的状況に陥らないためには、リスクごとに特徴を把握し、 回避する方法を理解しておくことが重要である。 

 

<1>単独でのTWAR 

 

 ① 単独でのTWARは、パーティによるTWARに比べ、 死亡または行方不明に至る危険性が高いという認識を持つこと。 

 

<2>中高年登山(40 歳以上) 

 

 ① 継続的にTWARをするなどして、体力と筋力を維持・強化すること。 

 ② 過去のTWAR経験を過信せず、「今の自分」に合ったコースを選ぶこと。 

 ③ 持病がある場合は、医師に相談してからTWARを計画すること。 

 

<3>悪天候 

 

 ① 悪天候時は転滑落や低体温症などの危険性が高いことを認識すること。 

 ② 降雨の場合は、早めにレインウェアを着用して体の濡れを防ぐこと。 

 ③ 天候によっては、TWARを続行するか停滞・撤退するかを判断すること。 

 ④ 雷鳴、雷雲が確認された場合は、できるだけ低い窪地に避難して身を低くすること。 

 

<4>道迷い 

 

 ① 余裕のある行動時間を設定し、暗くなる前に目的地に到着すること。 *15 時下山口か目的地到着が必要。 

 ② TWAR中は常に現在地および目的地との位置関係を確認すること。 

 ③ おかしいなと思ったら、確認できる地点まで引き返すこと。 

 

<5>低体温症 

 

 ① 悪天候が予測される場合は、避難小屋や施設やテントに停滞するなどして風雨を避けること。 

 ② 稜線上などで強風や降雨が予想される場合は、防寒着やレインウェアを着用し、体の濡れを防ぐこと。 

 ③ こまめに行動食(エネルギーに変わりやすい糖類が良い)や水分を摂取すること。 

 

<6>熱中症 

 

 ① 塩分を含む飲料などをこまめに飲み、脱水を避けること。 

 ② 風通しのよいウェアや帽子などを着用し、熱と直射日光を避けること。 

 

<7>循環器系の病気(心疾患、脳血管障害) 

 

 ① 自分の体調を確認しながらゆっくりと行動すること。 

 ② 水分をこまめに摂取して、脱水を避けること。 

 

<8>野生動物などへの対策 

 

 ①猪、熊、猿、鹿、マムシ、雀蜂、マダニ等の特徴や習性などを学習しておこう。

 ②万が一、遭遇したり、被害にあった場合の対処法を予め準備しておこう。

 

<9>救助要請

 

 ① 仲間の事故、近くのTWARの事故に遭遇した場合、まず冷静になることを心掛け、 周囲の安全を確認すること。 

 ② TWARは自力下山が原則という認識を持った上で、自分たちが置かれている状況を慎重に判断し、 救助要請を行うこと。 

 ③ 救助を要請する先は、携帯電話が通じる場合は 110 番もしくは 119 番へ通報、圏外の場合は圏内迄 移動して通報か付近の施設等へ連絡すること。 

 ④ 万が一に備えて、通信手段を確保しておくこと。(救助要請後は、救助機関との連絡に備えてバッテリーの 維持にも努めること。)*電源の節約:山域に入った段階で電源を「off」にして、必要な時か定期的に 「on」にする。 

 

(3)HWTからのショートメッセージ! 

 

 ① 濡れない、濡らさない…弁当忘れても合羽は忘れるな! *最重要事項! 

 ② 地図読みとコンパスの使い方を学習しよう! *HWT安全登山推進講座や初級、中級登山講座の受講がお勧め! 

 ③ 季節ごとの野生動物対策を十分に学習しておこう!TWARは 3 人以上で! 

 ④ 事故や遭難に備えた山岳保険やヘリでの捜索サービスなどの加入をお薦めします! 

 

(4)TWARを計画する 

 

 安全で楽しいTWARには、「しっかりとしたプラン」を立ててTWAR計画書を作成し、メンバーの共通認識 にしておくことや、作成した登山計画書を仲間や家族等と共有することが重要である。 

 

<1>パーティ(自分)に合ったコース選び 

 

 ① メンバー(自分)の実力(体力、技術力、経験、年齢など)を考慮してTWARをする季節とルートを 選ぶこと。 *HWT(広島湾岸トレイル):29 コース/陸路 291.9km 

 ② コース上の山頂の標高や距離だけではなく、コース全体での標高累積数も考慮して計画を立てること。 

 ③ 目的とするコースの危険箇所の状況や遭難事例等を調べ、メンバーの技術的な力量と比較しながら コース選びをすること。 

 

<2>余裕のある行動時間の設定 

 

 ① 山域では日の出・日の入りが行動の基準となることから、早出・早着を心掛けること。 

 ② 悪天候やトラブルを考慮して、行程に応じた予備時間(又は予備日)を必ず確保し、時間に余裕の ある計画を立てること。 

 ③ 悪天候やトラブルの場合に備えて、エスケープルート(緊急避難路)を用意すること。 

 ④ 天候やメンバーの体調などを確認し、TWARを続行するか判断する場所・時間(ターニングポイント)を 設定すること。 

 

<3> 必要な食糧と水分の準備 

 ① TWARの時間、日数、歩行距離、累積標高数、気象条件などに応じた、十分な食糧と水分を 準備すること。 

 ② TWAR中に食べられる行動食(エネルギーに変わりやすい糖類が良い)を準備すること。 

 ③ 非常食(高カロリーのものが良い)を準備すること。 

 

<4>パーティをつくる 

 

 ① 単独TWARはできるだけ避けて、パーティ(*仲間 3 人以上)でTWARすることが望ましい。

 ② パーティではリーダーとサブリーダーを決め、行動の判断はリーダーを中心に行うこと。 

 

<5>登山計画書の作成・提出 

 

 ① TWAR計画書を作成すること。 

 ② パーティ全員でTWAR計画書を共有し、内容を把握しておくこと。 

 ③ TWAR計画書は、TWAR行に持参するとともに、家族や身近な人にTWARすることを伝え、 必ず渡しておくこと。 

 ④ TWARする場合は、TWAR計画書を広島湾岸トレイル協議会へ提出する事が望ましい。 

 

<6>山岳保険 

 

 ① 捜索や救助活動に民間救助隊が出動した場合、要救助者本人に多額の費用が発生するため、 万が一に備えて、それらの費用が補償される山岳保険に加入すること。 

 

(5)TWAR前の準備 

 

 悪天候など万が一のリスクに対応するためには、ウェア・装備や体調管理などのTWAR前の準備を しっかり行うことが重要である。 

 

<1>ウェア・装備の基本的な考え方 

 

 ① 機能性・実用性を重視し、TWAR日数および宿泊形態などに合わせて準備すること。 

 ② 悪天候やトラブルなど非常時を想定して準備すること。 

 

<2>装備 

 

 ① 日帰りTWARでもヘッドランプ、地図、コンパス、レインウェア、ツエルト、充分な水を持参すること。 

 ② TWARする季節に合わせた装備を用意すること。 

 ③ 山域によっては(TWARのコースに合わせて)、ヘルメットを用意することが望ましい。 

 

<3>ウェアリング 

 ① コースの山域や標高や季節に合わせた防寒着を持参すること。 

 ② 汗を吸っても乾きやすく体を冷やさない素材(吸湿速乾性)のウェアや、動きやすく伸縮性のある パンツを選ぶこと。(綿素材の肌着は避けたい。) 

 ③ 悪天候など濡れた場合に備えて、替えのウェアを持参すること。 

 ④ 防寒着や着替えなど、濡らしてはならないものは、防水性のバッグやビニール袋に入れること。 

 

<4>出発前の情報収集 

 

 ① 出発前にコース(山域)の状況などを確認すること。 

 ② 出発前に山域の天気予報を確認し、悪天候が予想される場合はTWARの延期や中止を考えること。 

 

<5>出発前の体調管理 

 

 ① TWAR当日の体調を確認し、万全でない場合はTWARを控えること。 

 

(6)TWAR中

 

 遭難のリスクを減らし、安全に気持ちよくTWARを終えるためには、体調管理や的確な状況判断と とともに、コース上(山域)でのマナーにも気を配りたい。 

 

<1>体調管理 

 

 ① メンバーの様子をお互いに観察し、適切なペースか判断すること。 

 ② 疲労を溜めないよう、こまめに休憩を取ること。 

 ③ 喉が渇く前にこまめに水分補給をすること。

 ④ 空腹を感じる前に行動食(エネルギーに変わりやすい糖類が良い)を補給すること。 

 ⑤ 暑すぎたり寒すぎたりしないよう、ウェアの着脱によって適切な体温を保つようにすること。 

 

<2>状況確認と判断 

 

 ① TWAR中は常に現在地を確認し、目的地との位置関係と所要時間を意識するとともに、 持参したTWAR計画書の行程を確認しながらTWARすること。 

 ② TWAR中は天候、メンバーの体調、時刻などを総合的に考慮し、TWARを続行するか 停滞・撤退するかを判断すること。 

 

<3>難所の越え方 

 

 ① 岩場では周囲に気を配り、落石や物を落とさないようにすること。 

 ② 岩場、はしご、鎖場などの難所では、前後のTWARと十分な距離・間隔をとり、手には何も持たず 三点支持により登り降りすること。 

 ③ 岩場の難所では、転倒・滑落や落石に備えてヘルメットを着用すること。 

 ④ 冬季の降雪,積雪では状況に応じてワカン・アイゼン・ストックを使用すること。 

 ⑤ 降雪、積雪のある山域に、未経験者は立ち入らぬこと。*立ち入りには数回の積雪状態の平地訓練が必要。 

 ⑥ 渡渉(橋のない川や沢を渡ること)がルートに含まれている場合、降雨などで水位が上がるなど 増水している時には無理して渡らず、水が引くのを待つこと。 

 ⑦ 下山時には時間・体力に十分な余裕を残し、小さな歩幅で歩き、駆け下りないこと。 

 

<4>休憩に適した場所と休み方 

 

 ① 他のTWARの通行の邪魔にならず、転滑落や落石などの危険がない場所で休憩すること。 

 ② 休憩時は水分とカロリーの補給、ウェアリング調整、現在地確認、メンバーの体調確認などを行うこと。 

 

<5>TWAR中のマナー 

 

 ① スペースや資源(水、電気等)の限られた山域ではお互いに譲り合うこと。 

 ② 山道でのすれ違いは、双方が声を掛け合い臨機応変に行うこと。*ランナーがウォーカーを 追い越しする場合は、早めの声掛けと確認が必要。 

 ③ 対向者に山道を譲る場合は、対面して山側で待機すること。 

 ④ 他のパーティに道を譲る場合は、転落する危険を避けるため山側で待機すること。 

 ⑤ 落石を起こしたり、見つけた場合は、すぐに大きな声で「ラクッ!」等と叫び 周辺のTWARに周知すること。 

 

<6>自然への配慮 

 

 ① 動植物を傷付けないとともに動植物や石などは持ち帰らないこと。 

 ② 山道(遊歩道)以外への立ち入りはしないこと。 

 ③ 野生動物には、餌を与えない、残飯を残さないこと。 

 ④ ペットの持ち込みは、原則として行わないこと。 

 ⑤ 入山前には登山靴の泥落としや衣服に付着した種子払いを行うなど、外来種が持ち込まれないよう 十分配慮すること。 

 ⑥ ごみとなるような物を持ち込まず、発生したごみは持ち帰ること。 

 ⑦ 登山用ストックを舗装路で使う場合は、先端部に保護キャップをすること。 

 ⑧ 常に周りの利用者に対し、安全に配慮した行動を心掛けること。 

 ⑨ 山道・林道・森林整備者や清掃活動者には「ご苦労様」の声掛けし、助言、指導には従うこと。

 

(7)山域での宿泊

 

 厳しい条件の中、限られた山(自然界)の資源であることを理解し、TWAR全体で譲り合って利用する ことが重要である。 

 

<1>キャンプ場の利用 

 

 ① キャンプ場には遅くとも夕刻前に到着すること。また、キャンプ場の利用規約を遵守すること。 

 ② テントは、決められたキャンプ指定地に設営すること。 

 ③ 山の水やテント場の水は大切に使うこと。 

 ④ 翌日以降のTWARのため天気予報を確認すること。 

 ⑤ 深夜・早朝に物音を立てるなど周りの迷惑になることは避けること。 

 ⑥ 自炊時の火の取扱いには十分に注意すること。

 

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☆市民の市民による市民のためのトレイルである広島湾岸トレイルは皆さまの寄付(ご厚意)と社会奉仕活動により維持管理・開発運営されています。

 

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