俺の仕事 | hitorigoto 4

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思ったことをただ書くだけです。


仕事の関係で中東の地に住んでるのに、今まであまり仕事について書いたことがなかったので、俺の仕事について、少し書きたい。


俺の所属する会社は、国内外の石油会社や石油化学系の生産設備を設計・建設する業種で、当然だが、そのような仕事は、サウジアラビア等の産油国向けが多い。


で、仕事、俺たちはプロジェクトと呼ぶのだが、そのプロジェクトを獲得するためには、石油会社ならば、ガソリンや軽油・灯油、石油化学会社ならば、プラスティックの原料などを実際に生産し、販売するお客さんの近くで、計画初期から情報を収集し、俺たちの会社が得意な分野か、儲かりそうな案件か、受注の確率はどうなのか等の情報を集める必要がある。


世の中には、契約しても金払いが悪いお客さんもいるし、中国や韓国企業が多い入札では、彼らに価格面で勝つのは難しいし、プロジェクトによっては、契約後に資材価格が値上がりし、うちの会社が損害を被るリスクもあるわけで、世界中の現地駐在員は、現地で色々な情報を集めては日本の本社に送り、本社でのプロジェクト選別・案件絞り、入札参加検討の材料を提供するわけだ。


入札とは、俺の会社のような業者が見積書をそれぞれ作成し、お客さんに提出、お客さんは技術的に優れて、かつ値段の安い業者を審査・選択し、その業者にプロジェクトを発注、その業者と契約を行うことだ。


なんでもかんでも手当たり次第に入札すれば、そりゃあ何かは受注出来るだろうが、プロジェクトによっては、見積書作成期間は半年を超え、その契約額は数千億円にもあり、大勢の会社のスタッフをそれに向かわせるのだから、良質なプロジェクトかどうか、受注の確率というのが、当然大切になる。


見積書作成にかかわる人件費だけでも五億円を超えることもあり、受注出来なかった場合は、それを一円も回収出来ないわけだから、受注確率の度合いは、本社決定の大切な鍵となる。


そして、上述したように、受注できても儲からなければ意味はなく、そういった意味では、競合相手の情報、儲かる仕組みはないかなどの情報も、会社にとっては大切だ。


そういった情報を、現地で集めているのが、俺だ。


めでたく入札で勝ち、プロジェクトを受注・契約できた場合には、最初の設計期間こそ日本や外国で遂行するが、最終的には設備を産油国現地で建設するわけだから、プロジェクトの半ば以降は、大勢の建設スタッフが現地にやってくる。


建設スタッフと言っても、俺の会社の人は、現場を管理するだけで、実際の現場工事は、現地に強い建設会社を下請けし、そこが雇ったインド人やパキスタン人の肉体労働者が担う。


とは言え、数千億円のプロジェクトとなると、現場管理だけでも200名を超え、現場労働者の数も、一万人近くとなり、彼らの労務・生活管理、下請契約の管理だけでも、大きな仕事となる。


そういった業務は、専門スタッフを現場事務所に駐在させるので、俺がそれに集中するわけではないが、当然、それらはその国の法律に従う必要があり、複数のプロジェクトがあれば、最新の情勢をまとめて、各建設現場に発信する役も求められるわけで、俺がそのセンター的な立場となる。


営業的な役割が主な任務である俺は町に駐在し、専門スタッフを含めた建設チームの面々は、そこから遠く離れた建設現場に駐在するのだが、俺も時々は現場に顔を出す。プロジェクトの進行具合を見聞きし、必要であれば、そこにいるお客さんの幹部と面談し、次の案件探しに向けたヒントを得るためだ。


こうしたプロジェクトは、今や、石油化学だけの世界ではなく、水関係、発電関係、太陽光関係、住宅関係、加えて、設計・建設だけではなく、プロジェクトへの投資、さらには、日本企業が現地に投資し、工場を建設する際のコンサルタントなど、多岐に及び、それらあちこちに顔を出し、情報を取ってくるのが、俺の任務だ。


要するには俺の仕事は、現地での情報収集だ。


だから、時には、政府関係者にも接触するし、マスコミと仕事することもあるわけだが、それらについては、別の機会に紹介する。