強制送還 | hitorigoto 4

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思ったことをただ書くだけです。


結局、フィオーナは強制送還となった。


ベイルートから戻ったところでバーレン空港の入管に拘束され、空港内で2日間過ごし、3日目の夜に中国に帰国した。


拘束2日目には、俺のバーレン人の知人にお願いし、パスポートオフィスや入管との交渉をしてもらい、最後は俺自身が入管との直接交渉まで行ったが、駄目だった。


結局、最後まで問題となったのは、ブラックリストだった。


パスポートオフィスや入管は、ブラックリストの内容を明かさない。


もちろん、これを明らかにすることは出来るかもしれないが、中国大使館やバーレン警察まで関与させることになり、そうなると話はさらに面倒になり、いったいいつになったら彼女が解放されるか分からない。


それよりもまずは母国に帰国し、リラックスした方がいいのではないか、2日目の晩には、俺はそう考えるようになった。


しかし、電話の向こうの彼女は、あくまで身に覚えがないと言い張り、中国人だから不当に扱われていると主張し、泣き叫ぶばかりだった。


そして、最後は俺が入管と直接交渉し、空港内で俺が彼女を説得し、その晩の中国への帰国を決断させた。


結局、今の段階でも何が問題だったのかは明らかになっていないが、時間をおいて、ブラックリストの内容は調査してみようと思っている。


しかし、これだけは言える。


結局のところ、売春という仕事が、全てのネックだった。


外国人が外国で長期滞在し、働くためには、その国での身元保証人が必要となる。


これは、日本で働く外国人にとっても同じで、それが全ての基礎となる。


それが、法律だ。


彼女は、売春婦故に、保証人を持つことが出来なかったのだ。


彼女たちは知っている、もしも保証人を見つけることが出来たとしても、売春という仕事をダシに、法外な請求を受け、ゆすられることを。


だから彼女たちは、観光ビザ期限ギリギリまで滞在し、いったん国外に退去、そして再び戻るということを繰り返すのだ。


しかし、そこには、今回のようなリスクが常にあり、実は初めから危ない選択だった。


フィオーナは、身元保証人制度の悪い部分を主張し、入管の不当を抗議していたが、最後の最後に、俺から言ったのは、「売春婦が何を主張しても無駄なんだ」という言葉、、、


冷酷な言葉だったが、これで彼女は諦めた。