The Beatles Lover No.5 ザ・ビートルズ・ラバー・ナンバー・ファイブ
人気ラジオ番組が、読んで楽しめるテキスト版になりました。
↓ビートルズを愛するすべての人に!↓COMING SOON!
ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線でビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく人気ラジオ番組「The Beatles Lover No.5」。
杉田裕(JAYWALK)とサミー小川(メディアプロデューサー)がナビゲートします。
371回【2024年5月4日〜5月10日】の放送は、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band)の楽曲をご紹介します。
【サミー】新緑のきれいな季節になってきました。
【裕】花も咲いたりしてね。
【サミー】私は春になると故郷の山梨に桃の花を見に行くんです。桜よりも1週間から10日くらい後に咲くんですけど、盆地一面がピンクの絨毯を敷いたようになるんです。
【裕】中央高速から見えますよね。
【サミー】同じくらいの時期に他にもいろんな花が咲いて、最高の季節を迎えます。杉田さんの故郷の熊谷には、そういうのはありますか?
【裕】桜堤って言うんですけど、荒川沿いの土手に桜並木があって、開花の時期は菜の花の黄色と一緒になってとってもきれいなんです。
【サミー】そうでした。有名な場所がありましたね。
【裕】今年は熊谷のスタジオに行った帰りに見てきました。
【サミー】日本全国、時期が少しずつズレながら花が咲いていくのが素晴らしいです。
【裕】良いですよね。
【サミー】ところで、今週ご紹介する曲は?
【裕】今週から、1967年発売のアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』A面7曲目の「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」(Being For The Benefit Of Mr. Kite!)、B面1曲目の「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」(Within You Without You)をご紹介します。
【サミー】では担当する曲を「ビートルズじゃんけん」で決めましょう!「ビートルズじゃんけん」は、グーはジョン、チョキはポール、パーはジョージ、あいこの時はリンゴと言います。手の動きと口の動きを連動させるのが脳トレになりますよ!では、「最初はジョン」で始めるよ…。
オープニングテーマは杉田裕の「ビートルズなんて誰も知らない」
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杉田裕の今週の紹介曲は「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」(Being For The Benefit Of Mr. Kite!)
【裕】このアルバムは長いタイトルの曲が多すぎます(笑)。いろんなサウンドが詰まった個性的な曲ですよね。
【サミー】確かに。
【裕】イントロは凝っているし、間奏も変化しているし。4トラックしかない時代に、よくこんなサウンドを作ったなって感心します。
【サミー】すごいことですよね。
【裕】イントロでは、ジョージ・マーティンがハーモニウムを弾いて、ニール・アスピノールとマル・エヴァンスがハーモニカを吹いているとされていて、摩訶不思議な世界を出しています。
【サミー】ハーモニカはバスハーモニカという種類ですね。『ザ・ビートルズ全曲バイブル』の初版で読んだ記憶があります。
【裕】間奏はサーカスを表現したサウンドですけれど、マーティンが弾いたオルガンを録音したテープを切って、それを切り貼りしてエフェクト的な効果を出している。
【サミー】あー、なるほどね。
【裕】曲のイメージは、レコーディング初期からジョンの頭の中に出来上がっていたのかなって思います。参考までに、2017年の『サージェント・ペパー』スーパー・デラックス盤にテイク7が収録されていますので、聴いていただきましょう。
【裕】この段階ですでに曲の輪郭はできていますよね。曲っていうのは、リズムとテンポ、バッキングのノリとボーカルがあったら完成してしまうようなところがある。あとはどんな風に味付けしていくのかになるんだけれど、そういったことがレコーディングの過程で上手く行ったんだろうと思います。
【サミー】そうかも。
【裕】ジョンの歌も雰囲気を出している。
【サミー】ちなみに、この曲のエンディングはモノとステレオで違いがあるんです。
【裕】あー、そうなんだ。
【サミー】聴き比べると明確に分かりますけど、モノはバッサリ切られていて、ステレオは少し音の余韻があります。意図したのはどっちなんだろう?
【裕】A面をバチっと切って終わりたかったのかも。
【サミー】こういう違いもビートルズの面白さにつながりますよね。
サミー小川の今週の紹介曲は「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」(Within You Without You)
【サミー】このアルバムをアナログレコードで聴くと、「ミスター・カイト!」でA面がバッサリ切れて終わって、B面にひっくり返すと全く違う世界が待っている。遊園地からインドに一気に飛ぶ。
【裕】すごい構成ですよね。
【サミー】この曲はセッションの13曲目、1967年3月15日にレコーディングが開始されています。1ヶ月前にレコーディングした「オンリー・ア・ノーザン・ソング」がボツになったのを受けて、ジョージが気合を入れて作ってきたのがこの曲なんです。
【裕】なるほど。
【サミー】本格的にインド音楽に挑戦した曲で、ジョージ以外のメンバーは参加していません。
【裕】そうなんだ。
【サミー】いろんなインドの楽器が使われています。持続音(ドローン)を鳴らす弦楽器であるタンブーラや、打楽器のタブラ、卓上のハープのようなソードマンデル、弓で弾く弦楽器ディルルーバ、そしてシタールといったものです。これらは、当時ロンドンにいたアジア音楽サークルのメンバーが演奏したとされています。
【裕】ふむふむ。
【サミー】2017年の『スーパーデラックス版』に収録された第1テイクから、当初は曲の構成が違っていたのが分かります。Aメロ2回とサビ1回の「パート1」、続いてAメロ1回とサビ1回の「パート2」、最後に完全な5拍子(5/8拍子)の間奏「パート3」という順で録音されている。これが編集段階で「1」、「3」、「2」の順に組み替えられている。
【裕】出来上がった音源は編集されたものなんだ。
【サミー】そうですね。ですから、通しで演奏したというわけではない。レコーディングの段取りの都合なのかもしれませんが、思い切って構成を変えていく決断力がすごいと思います。
【裕】確かにそうですね。
【サミー】ジョンはこの曲のことをすごく褒めていて、「ジョージのベストソングの一つ。彼の心も音楽も澄み切っている。あれがあいつの持っていた才能だ。あれだけのサウンドをまとめられたんだから」と言っています。
【裕】「澄み切っている」という言葉が良いですね。
「目指せ!レノン=マッカートニー」のコーナー
【サミー】作曲家・杉田裕と作詞家・サミー小川が、レノン=マッカートニーを目指して、番組内で曲を作り上げていくというコーナーです。
【裕】お久しぶりのコーナーです。レノン=マッカートニーを目標にしたいですね。
【サミー】これまでに、いろんな曲を作ってきました。
【裕】オープニングテーマの「ビートルズなんて誰も知らない」、エンディングテーマの「絶望してる暇はない」もこのコーナーから生まれた曲です。
【サミー】今回は、ソングライティングチームとしてのレノン=マッカートニーについて考えてみたい。
【裕】 二人の共作の仕方も色々ありますよね。途中まで作ったんだけど、サビはどうなのかな?とかいう感じで一緒に作り上げていくケースもあります。 一人で作った曲を後で聴いて、アレンジ面で意見を出し合うようなこともある。
【サミー】作詞に困って、相談するようなケースもありますよね。先ほどご紹介した「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」はジョンの曲と言われていますけど、ポールは自伝の中で、ジョンの家でポスターを眺めながら一緒に作ったと言っています。ポールの最近のライブでも欠かせない曲になっています。
【裕】 大好きなんでしょうね。
【サミー】ポールの貢献度は結構あるように思います。
【裕】 メロディラインにポールがどこまで関わったのかは分からないけれど、アレンジの面ではポールがいろんなアイデアを出しているのでしょう。間奏のギターもポールが弾いていますけど、ジョージからは出てこないようなアイデアに思える。サウンドエフェクトはジョージ・マーティンの貢献が大きいけれど、二人からアイデアを出していたんだろうな。
【サミー】この二人は、顔を合わせて最初から一緒に作っていくようなケースもあります。
【裕】 そういう時は、お互いの心を開いて作り上げないと上手くいかない。
【サミー】 ソングライティングチームの話はとても面白いので、来週も同じテーマで続けましょう。最後に、このコーナーからできた曲を聴いてみましょうか。
【裕】 この季節にぴったりな「風に抱かれて」を聴いていただきましょう。僕のアルバム『WALK OF LIFE』に収録しています。
↓「風に抱かれて」を収録した杉田裕のオリジナル・アルバム↓
↓ビートルズを楽しもう!サミー小川も執筆してます↓NEW
エンディングテーマは杉田裕の「絶望してる暇はない」
杉田裕の「Here Comes The Sun」好評放送中!
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