ビートルズのラジオ番組といえば The Beatles Lover No.5 ザ・ビートルズ・ラバー・ナンバー・ファイブ
人気ラジオ番組が、読んで楽しめるテキスト版になりました。

ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線でビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく人気ラジオ番組「The Beatles Lover No.5」。
杉田裕(JAYWALK)とサミー小川(メディアプロデューサー)がナビゲートします。
475回【2026年5月2日〜8日】の放送は、アルバム『ハード・デイズ・ナイト』(A Hard Days Night)の楽曲をご紹介します。
【サミー】JAYWALKのツアーが始まりますね。
【裕】5月後半から全国各地に伺います。最初は四国からスタートします。四つの県全部を、レンタカーを借りてみんなでドライブして回るんです。
【サミー】楽しそう。
【裕】松山からスタートして、高松、高知に行って、徳島が最後になります。
【サミー】松山から高松の間は、かなり距離がありますよね。僕は以前、高松でレンタカーを借りて、日帰りで松山に行こうと途中まで行ったんだけど、遠くて断念したことがあります。
【裕】天気が良いといいなー。移動日には徳島・祖屋のかずら橋に行ったり、温泉にも行ってみたい。
【サミー】楽しみですね。さて、今週ご紹介する曲は?
【裕】今週はサードアルバム『ハード・デイズ・ナイト』のA面7曲目「キャント・バイ・ミー・ラヴ」(Can’t Buy Me Love)、B面1曲目「エニイ・タイム・アット・オール」(Any Time At All)をご紹介します。
【サミー】では担当する曲を「ビートルズじゃんけん」で決めましょう!「ビートルズじゃんけん」は、グーはジョン、チョキはポール、パーはジョージ、あいこの時はリンゴと言います。手の動きと口の動きを連動させるのが脳トレになりますよ!では、「最初はジョン」で始めるよ…。
オープニングテーマは杉田裕の「ビートルズなんて誰も知らない」
マーティンのアイデアをサビに反映した「キャント・バイ・ミー・ラヴ」(Can’t Buy Me Love)
【裕】ストレートなロックかと思いきや、若干スイングしているところがドライブ感を出している。
【サミー】ポールはブルースを目指して書いたと回想しています。
【裕】確かに。Aメロのところは12小節のブルース進行ですよね。
【サミー】ポールの回想は、おそらくAメロを指していると思うんです。ジョージ・マーティンに初めて聴かせた時は、Aメロしかなかったみたい。
【裕】そうなんだ。
【サミー】マーティンはその時に「サビが必要だね」と答えて、さらにサビのアイデアまで提示したようです。そのアイデアを取り込んでサビを作曲して、イントロに転用しています。
【裕】マーティンが作曲面に深く関与していたんだね。それがあったから、この曲は完成したんだ。サビがなかったら普通のブルースの曲。面白みのない曲になってしまう。初期の頃のビートルズは、ブルースの部分とポップスの部分が融合した斬新な曲を仕上げていますよね。
【サミー】そういう視点でこの頃の曲を見ると面白いよね。
【裕】ノリがカチッとしていないところがすごく良い感じ。この当時は、多少ミスってもドライブ感があって良い歌を歌ったらそれでOKさ、みたいなね。
【サミー】そう思います。
【裕】今の時代は、自分で作っているとちょっとミスしたらやり直さなきゃってなっちゃう。
【サミー】やり直しができちゃうからね、パソコンを使って。
【裕】話は違うけど、「レット・イット・ビー」のポールのピアノのミストーンを『ネイキッド』では直しましたよね。あれは何でだろうって、今ふと思い出しましたけど(笑)。
【サミー】ポールはずっと直したかったのでしょうね。でも、その後のリマスターやリミックスではミストーンは修正されていない。ミストーンを「あるがまま」に受け入れたのかな?
【裕】話は戻るけど、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のドライブ感は素晴らしいと改めて思います。
【サミー】マーティンは「出来の良いテイクよりも勢いのあるテイクを採用する」と言っていましたね。
【裕】その通りだと思います。
【サミー】この曲、結果的にはアルバム最初のレコーディングになったんですけど、この時点でアルバム用とか映画用という意識があったのか、それとも良い曲ができてスタジオも空いていたからた録音してしまおうという意識だったのか、どっちなんだろう?
【裕】ジョンの曲を1曲目にレコーディングするのが通常なのにね。
【サミー】パリ公演中にレコーディングされていますけど、ドイツ語盤「抱きしめたい/シー・ラヴズ・ユー」の録音が早く終わったので、これもこれもやっつけてしまおうと。
【裕】新鮮なうちにね。
【サミー】イギリスでは予約だけで100万枚超え(3週連続1位)、米国では発売1週間で200万枚(5週連続1位)となっています。
【裕】すごいな。桁違いだ。
ポールのパートで魅力がアップした「エニイ・タイム・アット・オール」(Any Time At All)
【サミー】1964年6月2日、3日にレコーディングされています。アルバムでは11曲目のレコーディングになりました。映画とは関係なく、アルバム収録だけを目的に録音されています。
【裕】カッコいい曲だよね。
【サミー】ジョンは「イット・ウォント・トゥ・ビー・ロング」のような曲を書こうとしたと回想しています。「CからAm、CからAmで僕がシャウトしている」とも言っていますけど、どこを指しているんだろう?
【裕】ジョンの声は確かにシャウトしてるけどね(笑)。
【サミー】ちなみにこの曲のキーはD、「イット・ウォント・トゥ・ビー・ロング」はキーEです。
【裕】あ、そうなんだ。それなのに…。
【サミー】Cで作曲したのかな?
【裕】勘違いかもしれないしね。
【サミー】ジョンはいろんな視点で発言しますから、我々凡人には、すぐにわからないことも多い(笑)。
【裕】サビはジョンの次にポールが歌うでしょ。その二人の対比がすごくカッコいい。
【サミー】レコーディング初日(6月2日)、最初はジョンのボーカルのみだったようです。夜にサビのポールのパートが完成しています。このパートは、ジョンが歌っていたメロディにポールが上ハモを付けて、それを採用したのでは?という説もある。いずれにしても、これによって曲のクオリティと魅力度がアップしていますよね。
【裕】そうだよね。
【サミー】歌詞は「オール・アイヴ・ゴッタ・トゥ・ドゥ」と共通する部分があります。「エニイ・タイム・アット・オール」には「all you gotta do is call」という歌詞が出てきますが、これは「オール・アイヴ・ゴッタ・トゥ・ドゥ」の「all I gotta do is call you on the phone」と同じような…。
【裕】なるほど。うまいこと使い回しているな(笑)。でも立派なオリジナルになっていると思います。
【サミー】この曲にもピアノが入っていますが、「テル・ミー・ホワイ」と同じような低音部分を中心に響かせる弾き方です。
【裕】そうするとこれもポールが弾いたのかな?
【サミー】『ザ・ビートルズ全曲バイブル新版』ではポールとしています。マーティン説をとっている人もいるようですけどね。
【裕】間奏もポール?
【サミー】そうだと思うんですけど、マーティンぽさもあると言えばある(笑)。
【裕】当時のポールでも弾けないことはないシンプルなフレーズだよね。
【サミー】ボーカルはダブルトラックになってますけど、ジョンの歌はそれがわかりやすいですよね、ズレるので(笑)。ポールはジョンほどわかりやすくない。
【裕】ポールはしっかり2回とも同じように歌っている。
【サミー】そこを聴き比べると面白い。
【裕】だからジョンはダブルトラックが嫌いになって、ADTの開発につながった(笑)。
【サミー】ステレオでは、終了間際(2分10秒頃)の「any」の歌い方を変えている部分は、一方のボーカルをカットしているためシングルに聴こえます。
【裕】エンジニアの苦労が偲ばれます。
今週の「ビートルズ・カバーズ」
【裕】ビートルズ曲のユニークなカバーをご紹介する「ビートルズ・カバーズ」のコーナーです。
【サミー】今週は「Can’t Buy Me Love」と「Any Time At All」を聴いてみましょう。
【裕】どんなバージョンかな?
【サミー】「Can’t Buy Me Love」はエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)。ロックをジャズに昇華した、ジャズ界大御所の王道カバー。1964年の音源です。
【裕】64年てことは、出てすぐのカバーだよね。すごいな。言うことなしって感じです。
【サミー】「Can’t Buy Me Love」をもうひとつ。サイ・タガート(Cy Taggart)によるカバーです。間奏のギターソロは完コピの後に独自のアドリブがついてナイスな仕上がり。ビートルズ曲のカバーアルバム『Beet The Meetles』(2008年)に収録されています。
【裕】シンプルな小編成のバンド演奏が小気味良いですね。
【サミー】「Any Time At All」はカナダのシンガーソングライター、ブライアン・アダムス(Brian Adams)。ビートルズ、ボブ・ディラン、ビーチ・ボーイズなど影響を受けたミュージシャンのカバー集『Track My Years』(2014年)収録。「Lay Lady Lay」「God Only Knows」なども収録されたアルバムです。
【裕】聴いた瞬間、ブライアン・アダムスだなってわかるよね。声って武器だよね。
エンディングテーマは杉田裕の「絶望してる暇はない」





