The Beatles Lover No.5 ザ・ビートルズ・ラバー・ナンバー・ファイブ

人気ラジオ番組が、読んで楽しめるテキスト版になりました。

 

ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線でビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく人気ラジオ番組「The Beatles Lover No.5」。

杉田裕(JAYWALK)とサミー小川(メディアプロデューサー)がナビゲートします。

321回【2023年5月20日〜26日】の放送は、アルバム「ハード・デイズ・ナイト(A Hard Day’s Night)」をご紹介します。

 

 

【サミー】今週も、ゲストに柳沢二三男さんをお迎えしています。

【裕】ようこそいらっしゃいました。

【二三男】おじゃましております。よろしくお願いします。

【サミー】二三男さんといえばビールという印象が強いですよね。

【二三男】はい、大好きです。

【裕】お酒は何でも好き?

【二三男】そうですね。でも、まずはビール。

【裕】僕と横浜フライデーでライブをやる時は、リハーサルが終わって本番が始まるまでの間に、いつも近くの焼き鳥屋さんに行って、ビールを一杯、二杯飲みます。景気付けにね。

【二三男】照れなくなるように飲むんです。

【サミー】今日は飲んでないので、ちょっと照れ気味?

【裕】ビールをご用意するのを忘れちゃって申し訳ありません(笑)。

【二三男】僕は何でも照れくさいんです…。

【裕】これまで僕は、ステージの前にお酒は飲まなかったんですけど、二三男さんと一緒にやるようになって、少し飲むことでリラックスできて、声が逆に出やすくなる。

【サミー】へー、出やすくなるんだ。

【二三男】だから僕は仕方なく飲んでいる(笑)。

【サミー】昔のミュージシャンは、ステージで酒は飲むは、タバコは吸うはで大変でしたよね。

【裕】クラプトンも昔はそうでしたよね。今は禁煙してるのかな?

【二三男】昔はギターのヘッドのところにタバコを差してましたよね。

【サミー】ひと月ほど前に、クラプトンをご覧になったそうですね?

【二三男】カッコ良かった。

【サミー】二三男さんもギターは弾くは、歌は歌うは、曲を書くはで…

【裕】目指せクラプトンですね。

【二三男】目指したいです。

【サミー】クラプトン的な展開を見せている柳沢二三男さんと今週も楽しくお届けしてまいります。さて、今週ご紹介するビートルズ曲は?

【裕】アルバム「ハード・デイズ・ナイト」より「キャント・バイ・ミー・ラヴ(Can't Buy Me Love)」、「エニイ・タイム・アット・オール(Any Time At All)」をご紹介します。

 

※柳沢二三男さんはソロアーティストとしての活動に加えて、矢沢永吉、パフィー、高橋真梨子、萩原健一、中村雅俊など多数のアーティストのライブ、レコーディングに参加されている売れっ子ギタリスト。息子さんの柳沢亮太さんはSUPER BEAVERで活躍中。

杉田裕の今週の紹介曲は「キャント・バイ・ミー・ラヴ(Can't Buy Me Love)」

【裕】見事なタイトルだと思います。“Money Can't Buy Me Love”、つまり「お金は僕に愛を買い与えることはできない」っていう意味なのかな?意味深なタイトル。いきなり出てくるキャッチーなサビと、Aメロは12小節のブルース進行なんですよね。ビートルズの良さはブルースやロックンロール的な進行の中に、ポップなサビを持ってくる。それがすごいインパクトを与える。まるで二三男さんのギターと僕の歌みたいな(笑)。自画自賛ですけど…(笑)。やっぱり、それが歌の幅を広げてるんだなって思います。

【サミー】Can't Buy Me Loveの“Me”なんですけど、以前、阿部卓二さんにお会いした時に、これはリバプール方言ではないかとおっしゃっていたような気がします。標準的な英語では所有格の“My”を使うところなのに、それを“Me”と言っちゃう。

【裕】ということは「お金は僕の愛を買うことはできない」という意味なの?

【サミー】そういうことなのかな?

 

サミー小川の今週の紹介曲は「エニイ・タイム・アット・オール(Any Time At All)」

【サミー】この曲からB面になって、映画では使用されなかった曲が収録されています。ところで、サビ、ありますよね。

【裕】曲の?

【サミー】そう、曲のサビ。このサビっていう言葉はどこから来ているのかなって思って、調べてみました。能の侘び寂び(わびさび)から来ている説、山葵(わさび)から来ているという説がありました。山葵は少量でも刺激的な味がするということから転じて、曲の中で最もインパクトがある部分をサビと言うようになったという説ですね。

【裕】そんなことは考えたこともなく、普通に使ってるけどね。

【二三男】英語だとコーラス(chorus)って言いますよね。

【サミー】この曲はサビから始まってますけど、二三男さんはサビから曲を書き始めることはありますか?

【二三男】あります。何曲かありますね。

【裕】僕もありますね。

【サミー】僕も詞先の時に、サビから始めてほしいなって思いながら詞を書くことがあります。サビって一番意識している部分でしょうかね?

【裕】やっぱり、一番聴いてもらいたいフレーズを先に出すことによってインパクトを与えるっていうのは、昔ながらの手法ではありますね。

【サミー】この曲は、サビから始まる歌い出しが素敵です。2度目に出てくる“Any Time At All”はポールが歌ってますけど、ジョンの声に似ていますよね。似せたのかな?それとも、ジョンとポールが一体化したのかな?って想像が膨らみます。

 

今週のビートルズ・ラバーは柳沢二三男さん

【サミー】ゲストを迎えてビートルズ愛を語っていただく「今週のビートルズ・ラバー」のコーナー。今週は柳沢二三男さんをお迎えしています。

 

【サミー】今週は曲作りについて語り合ってみたいと思います。

【裕】二三男さんの曲作りって興味深くて、以前ソロのライブを見に行った時に、実は今朝作った曲ですって言って演り始めたんです。詞もできてるんです。みんなワーって期待したんですけど、そしたら途中で止まっちゃった。あれ、忘れちゃったーみたいな感じで(笑)。それで、二回、三回とやり直したりして…(笑)。今朝できた曲が、どうやってその日のステージで反映されるのかを二三男さんに伺ってみたい。またどういう形で曲が浮かぶのかも聞いてみたいです。

【二三男】その時は、たまたま朝に曲が浮かんできて、家で歌ってたんです。あー、これはもうできたな、今日演ってみようかなって思って。ステージで演ってみたら、サビの部分のメロディが出てこなくなって…(笑)。

【裕】覚えてはいたけど、身体にしっかり入っていなかった?

【二三男】そうですね。もう一回歌ったら出てくるかなって思ったけど、二回目もダメで、三回目もダメで(笑)。

【サミー】朝起きて、曲を作るぞーっていうモードで浮かんだ曲なんですか?

【二三男】いつも朝は、コーヒーを飲みながらギターを弾くんですけど、曲ができるかもって思ったらiPhoneのボイスメモを押すんです。そんな感じでできたんです。昔はラジカセでやっていましたけどね。

【裕】メロディと歌詞も一緒に出てきた?

【二三男】歌詞は後ですね。テキトーな英語もどきで歌う。

【裕】ラララではない感じでね。

【サミー】杉田さんは、作るぞっていうモードにならないとできない?

【裕】そう。そうやってピアノに向かう。あと、忙しい時に街を歩いている時に浮かんでくることがある。

【二三男】ありますね。

【裕】それを記録する術が、なかなかないんです。車に乗っていればiPhoneに録音することはできるけど、歩いているときはできないことが多いので、一生懸命記憶する。でも家に帰ると忘れちゃう(笑)。

【二三男】寝ていて、朝方、起きそうになった時に、メロディが浮かんで飛び起きて録音したことがあります。

【サミー】「イエスタディ」みたい。ポールが朝起きたら頭にメロディがあって、この曲は誰か別の人の曲を思い出しているんだろうと最初は思ったそうです。そしたらオリジナルだった。

【裕】みんなに聞いたら、初めて聞く曲だよって言われた。

【サミー】二三男さんはポール化していますねー。

【二三男】まだ眠いのに、なんとか起きて録音した曲を、今回のアルバムに入れようとしています。

【サミー】朝の方ができます?

【二三男】それは分からない。

【サミー】杉田さんは?

【裕】仕事は朝型ですね。僕はラジオの編集は朝5時くらいから始めます(笑)。

【サミー】僕が起きると音源が届いていることが多い(笑)。

【裕】朝の方が頭が冴えているかなって感じがします。二三男さんは、四六時中、曲のことが頭にあるから、ちょっとした隙間にそれが出てくるんでしょうね。

【二三男】夜、飲んでいる時に浮かんできて、急に録音することもあります。

【サミー】僕は詩を書くときは、夜が多いですね。寝られないで飲んでいる時の方が浮かんできます。

【裕】翌朝、読むと小っ恥ずかしい(笑)。

【サミー】それはありますね(笑)。「眠れない夜」はそれが上手くいったケースですね。

【二三男】詞は大変です。僕は詞をつけようと思って机に向かわないと、メロディに乗る詞ができない。言葉が出てこない。

【裕】でもね、二三男さんの世界観があるんですよ。それが素晴らしい。

【サミー】日常の生活でテレビを見たり、本や新聞を読んだり、街を歩いたりしているときに、引っかかる言葉がありますよね。そういうのをできるだけ覚えておくようにしますけど、忘れちゃうことが多い。

【裕】松本隆さんはそういうのをノートに書き留めてるみたいですよね。

【二三男】メモっておく。

 

 

【裕】ビートルズは天才的だからねー。「ゲット・バック」をポールが作っていくシーンは印象的ですけど、ああいう場面でもどんどん出来ていくのがすごい。

【サミー】全ての曲がものになるということもなくって、ボツ曲もありますよね。ビートルズもボツ曲が結構あったんだと思うんです。

【裕】それは絶対あるでしょうね。

【サミー】今週ご紹介した「ハード・デイズ・ナイト」にはポールの曲が3曲しか入っていない。きっとポールはもっと作っていたんだろうけど、表に出てこないボツ曲があったんだろうなって思います。

【裕】ジョージもたくさん作っていたけど、なかなか採用されなくて、解散の頃になってドッと出てきた。

【サミー】ところで、ビートルズっぽさを、ふと感じる曲ってありますよね。

【裕】以前、根本要くんがゲストで出てくれた時に、4度マイナーを入れるとか、CだったらB♭のコードを入れるとかって言っていた。確かに、特徴的な部分があるよね。

【二三男】僕が感じるのは、フレンチだったりヨーロッパの違う世界観が入っているように思う。ロックンロールだけじゃなくって、ジャズやクラシックの要素もある。そこがビートルズはすごいなって思うところ。1940年代、50年代に音楽の全てがあるってポールが言っていたのを、インタビューで読んだことがあるような気がする。

【裕】ポールはお父さんの影響があったのかも。

【二三男】それをずっと聴いていたから、そこにビートルズの音楽の素がある。

【サミー】良い話ですねー。

【裕】音楽を遡ってみたくなりますよね。

【二三男】今の話、採用ですか?

【裕&サミー】採用ー!

 

【サミー】さて、今日は二三男さんと杉田さんにスタジオライブをお願いしたいと思いますが、曲は何を?

【裕】僕のソロ・アルバム「WALK of LIFE」収録した『風に抱かれて』を聴いていただきます。二三男さんのギターが入ることによって、ワイルドで良い感じに仕上がりました。

 

 

↓「風に抱かれて」収録のアルバム

エンディングテーマは杉田裕の「絶望してる暇はない」