The Beatles Lover No.5

ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線で

ビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく

The Beatles Lover No.5。

 

杉田裕(JAYWALK)と

サミー小川(メディアプロデューサー)が

ナビゲートします。

 

274回【2022年6月25日~7月1日】の放送は

「アビイ・ロード」のB面を紹介します。

 

今週もゲストに広田寛治さんをお迎えしています。

 

 

 

【サミー】先週に引き続いて今週も「アビイ・ロード」のB面をご紹介しますが、この面はメドレーの面です。

【裕】素晴らしいですよね!

【サミー】まさに圧巻な感じです。この番組は一曲づつご紹介するのを基本にしていますが、曲のつながりを重視してこのB面は2~3曲をカップリングしてご紹介していきます。

 

【サミー】ところで杉田さんはメドレーのような曲を作ったことありますか?

【裕】作ったことはないけど、ライブでは何曲かをメドレーでやったことあります。キーの合わせ方とか難しいですよね。

 

【裕】さて、今週は「アビイ・ロード」B面から、「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」をサミー小川が、「サン・キング」「ミーン・ミスター・マスタード」を杉田裕がご紹介します

 

サミー小川の今週の一曲は「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー(You Never Give Me Your Money)」

【サミー】フランスにエマニュエル・トッドという学者がいます。

【裕】「エマニュエル夫人」なら知っていますけどw・・・。

【サミー】「エマニュエル夫人」はリメイクされるようですけど・・・我々の世代には特別な思い入れがある映画ww。

 

【サミー】エマニュエル・トッドは歴史人口学者、家族人類学者です。経済現象と人口動態を軸に人類史を捉える研究をしていて、英国のEU離脱やトランプ政権誕生を予言したことでも有名です。

 

【ブログ管理人のひとりごと】

未来を考えるとき、人口の見通しだけは確かなんですね。ちなみに日本の生産年齢人口(15歳~64歳)はピークの1992年(70%)から1200万人以上減少して60%を切っています。このままだと2060年には50%になると予測されています。抜本的な手を打たなかったツケが回ってきています。人口が減少して需要が減って供給過剰の状態ですから、景気も良くはなりませんよね。

 

【サミー】マネジメントは冷静に将来を見通して需要予測することが重要なんですね。

さて、この頃のビートルズのマネジメントがどうなっていたかというと、アラン・クラインが接近してきたり、ブライアン・エプスタインが遺したNEMSが買収されるなどの動きがありました。また、ディック・ジェイムスがノーザン・ソングスの持ち株を売却しました。ちなみにノーザン・ソングスはジョンとポールが同じ株数を持っていたはずなのに、ポールがピーター・ブラウンに命じて密かに株を買い増していたことが発覚、ジョンは激怒したそうです。ポールの持株数は75万1000株、ジョンは64万4000株だったとされています。

 

かくもお金にシビアだったポールが、お金にまつわる不満を書いたのがこの曲。曲はYou Never Give Me Your Money、Out Of College、One Sweet Dreamの3つのパートに分かれています。You Never Give Me Your  MoneyはB面9曲目の「キャリー・ザット・ウェイト」にもモチーフとして出てきます。アビイ・ロード・メドレーのさきがけとなっている曲です。

 

杉田裕の今週の一曲は「サン・キング(Sun King)」「ミーン・ミスター・マスタード(Mean Mr. Mustard)」

【裕】ジョンの作品。このアルバムのコンセプトにあまり賛成していなかったジョンが提供した曲です。

サン・キング」は、「ドント・レット・ミー・ダウン」に似た、ジョンがこの時期に好きだったリフからスタートします。そして「ビコーズ」のような綺麗なコーラスで転調してボーカルが出てくるところが素晴らしい。途中のイタリア語、スペイン語、ポルトガル語のような意味のない言葉も説得力を感じさせる。強引だけど、アレンジと歌が素晴らしい

そしてリンゴのフィルがきっかけとなって「ミーン・ミスター・マスタード」につながります。ポールのファズっぽい、ブラスが混ざったような感覚のベースの効果が大きい。これが重要な役割ですね。エンディングの♪Such A Mean Old Man♪のフレーズは、最初は4拍子のままだったのに次は12分の8になる。ちょっとした変化がニクイ。やるなって感じです。

【サミー】ジョンの好きな変拍子が効果的ですね。

【裕】このメドレー2曲は同時に続けてレコーディングされました。演奏力の高さを感じます。

 

 

「今週のビートルズ・ラバー」広田寛治さんが、ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンを語ります

ゲストを迎えてビートルズ愛を語っていただく「今週のビートルズ・ラバー」のコーナー。今週もゲストは、広田寛治さんです。

 

【サミー】広田さんは、映像作品「GET BACK」に出てくる主要人物8人にお会いになった経験があるので、これらの人々と「GET BACK」との関連などについてお聞かせください。今週お話いただけるのは?

【広田】ジョージ・ハリスンです。ゲット・バック・セッションの悲劇の主(笑)。

【サミー】一方の主役ですね。

 

【広田】ジョージ・ハリスンとは2回会いました。

1991年の来日時にキャピトル東急の紅真珠の間での記者会見と、1993年にアビイ・ロード・スタジオで行われた赤盤・青盤のCD発売の記者会見に飛び入りでやってきた時です。この時はお香に火を付けてAll You Need Is Loveと言って去っていきました。カッコ良かった。「Get Back」でもお香が焚かれているシーンがあります。ルーフ・トップ・コンサートを終えてモニタールームに戻ってきた時です。ジョージは、1969年の頃からお香を焚いて場を清めていたことが確認できました。

 

【ブログ管理人のひとりごと】

キャピトル東急の紅真珠の間は、1966年のビートルズ来日時に記者会見を行った会場ですね。

 

【広田】1991年、日本に来た時の記者会見はクラプトンと一緒にやりました。ジョージもクラプトンもマスコミが大嫌い。その二人が並んで記者会見をやったというのが奇跡。もちろん二人でコンサートをやったというのも奇跡です。

東京公演の終了後にバックステージに行くチャンスがありました。ジョージは出てこなかったけど、クラプトンはうろうろして、日本刀で遊んだりしていました。

ゲット・バック・セッションにおけるジョージ脱退の原因の一つがクラプトンだったと思います。ジョンは「辞めたいなら辞めろよ。代わりにクラプトンを入れるから」って言ってましたよね。クラプトンを連れてきたのはジョージなので、ジョージは自分で自分の首を絞めてしまったことになります。

 

【サミー】ジョン一流の皮肉な物言い?

【広田】ジョンは辞めたいなら辞めていいよと言うタイプ。ハンブルク時代もポールに対して、スチュが嫌だったら辞めても良いというような突き放し方をしていた

ビートルズの解散は「ホワイト・アルバム」から始まっています。リンゴが一度脱退してます。この頃から、ジョージにとってクラプトンが心の支えになってきた。レノン=マッカートニーに代わって、ジョン=ヨーコ、ポール=リンダ、ジョージ=クラプトンという関係に変わっていって、解散に向かった

 

【サミー】「Get Back」を見ると、パティは一度しか出てきません。

【広田】パティは寂しそうな感じがしました。ジョージは仕事の場に連れてくるのがイヤだったのか、辛い状況になっているのを見せるのがイヤだったのか分かりませんが。日本公演の時も、日程の半分を過ぎてオリヴィアを呼んでいる。そういうシャイで気を遣う人だった

 

エンディングテーマは「絶望してる暇はない」