The Beatles Lover No.5
ディープなファン目線、そしてサウンドメーカー目線で
ビートルズへの愛💖と共に楽曲を紹介していく
The Beatles Lover No.5。
杉田裕(JAYWALK)と
サミー小川(メディアプロデューサー)が
ナビゲートします。
272回【2022年6月11日~6月17日】の放送は
「ザ・ビートルズ」(ホワイトアルバム)を紹介します。
今週もゲストに広田寛治さんをお迎えしています。
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【サミー】ポール・マッカートニーの北米ツアーのセットリストを、2018年10月31日の東京公演と比較してみました。
【裕】2018年というと、僕らが行った公演かな?
【サミー】曲数は、本編が31曲から30曲へ、アンコールは6曲のままと、大きな変化はありません。
オープニングは「ア・ハード・デイズ・ナイト」から「キャント・バイ・ミー・ラブ」に、
アンコール1曲目は「イエスタデイ」から「アイヴ・ガッタ・フィーリング」に変わっています。
「イエスタデイ」の扱いに注目していましたが、このツアーでも演奏されてませんね。
それから、「ゲット・バック」が本編に入ったのは映像作品公開の影響、
「バック・イン・ザ・U .S .S .R .」が外れたのは時節柄ということでしょうね。
また、「アビイ・ロード」収録の「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」、「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー」が新しく本編に入りました。
【裕】また日本に来てくれるかな?
【裕】さて、今週は「ホワイトアルバム」最後の曲「グッド・ナイト」を杉田裕が、
C面、D面を総括する曲として「バースデイ」をサミー小川がご紹介します。
杉田裕 の今週の一曲は「グッド・ナイト(Good Night)」
【裕】D面の6曲目、「ホワイトアルバム」の最後を飾る曲です。
いろんなトライをしたアルバムの最後を締める曲、ビートルズの幅の広さを感じます。
これはポールみたいな曲ですけど、ジョンが書いた曲。
最初にジョンがリンゴに歌ってきかせたのが感動的だったとポールは言っていますが、音源がないので想像するしかないですね。
アレンジはジョージ・マーティン、優しいオーケストラの音、ゆったりとした中でリンゴが朴訥と歌うのがピッタリです。
イントロの高い音は一瞬テルミンみたいに感じますが、後半に出てくる女性コーラス「マイク・サムズ・シンガーズ」の一人が高い声を出したんじゃないかと思います。良い感じですよね。
エンディングのリンゴの優しい語りは後年「きかんしゃトーマス」のナレーションをやるのにふさわしい。
【サミー】なるほど、そこにつながるんですね。
サミー小川 の今週の一曲は「バースデイ(Birthday)」
【サミー】綱引き、ありますよねー。
【裕】運動会とかでやるやつ?
【サミー】綱引きは1920年のアントワープ・オリンピックまで正式五輪種目だったんです。
現在、国際綱引連盟はIOCに加盟していて、五輪復帰に向けて活動をしているそうです。
1チーム8人、体重別階級制になっていて、インドアとアウトドアで階級の分け方が違います。
シンプルなルールの競技ですが、一人でも手を抜くと簡単に負けてしまったり、事故につながったりするそうです。
そういえば、ポールには「タッグ・オブ・ウォー」という作品がありますね。
【サミー】この頃のビートルズはジョンとポールを中心としたパワーバランスの綱引き状態でした。
だけど、「ホワイト・アルバム」の素晴らしい部分は、メンバーが一緒になって演奏してグルーブを作り上げたところに現れていると思うんです。
「ホワイト・アルバム」はそれぞれの面に特徴があって、
■A面はビートルズらしいポップさの面。実験要素もあるけど、うまくポップに包んでいる。
■B面はアコースティック・サイドと呼んでますけど、「ブラックバード」「アイウイル」「ジュリア」などの面。
■C面はハード・サイド。バンドとしてまとまった感のある曲が多い。
■D面はアバンギャルド・サイド。「レボリューション9」に象徴されます。
「ホワイト・アルバム」の中でバンドのグルーブを出している面の象徴として「バースデイ」を聞いてみたいと思います。
「今週のビートルズ・ラバー」広田寛治さんが、ビリー・プレストンの証言を明かします
ゲストを迎えてビートルズ愛を語っていただく「今週のビートルズ・ラバー」のコーナー。今週もゲストは、広田寛治さんです。
【サミー】広田さんは、映像作品「GET BACK」に出てくる主要人物8人にお会いになった経験があるので、これらの人々と「Get Back」との関連などについてお聞かせください。今週お話いただけるのは?
【広田】ビリー・プレストンです。
【広田】ビリー・プレストンとは1995年のリンゴ・スター・アンド・ヒズ・オール・スター・バンド来日時に会いました。
とにかくハイテンションな人。ビリーだから、暗いゲット・バック・セッションの雰囲気を一気に明るくできたと思います。「Get Back」では、偶然アップルに来たことになってるけど、1995年にビリーに聞いたら、ジョージがレイ・チャールズのコンサートに来てくれて、その時にアップルに来るようにメモを残してくれたと語っていました。今はジョージもジョンもビリーもいないので、映画制作時には真実は分からなかったのではないでしょうか。だけど、ビートルズ側は覚えていなくても、言われた方のビリーは覚えているはずです。彼らの関係性で考えると、言った側は忘れるけど、言われた側は覚えてるものですよね。
【サミー】その後、ビリーはアップルに入りますけど、ジョンが誘ったようですね?
【広田】ジョージは面白いものを見つけてくる、それを使うかどうか決めていたのはジョンという関係だった。
【広田】ビリーに4人の印象を聞いてみたら「昔と変わらない面白い奴らで、冗談ばっかり言っていて楽しかったよ」と言ってました。
・ジョンは当時ヨーコに夢中で、他のメンバーとギクシャクしていた。でも良い奴だよ。
・ポールは、とにかく音楽に没頭していた。音楽以外は頭になかったのでは?
・ジョージは優しい人。スピリチュアルで控え目で、無口な人。
・リンゴはリンゴさ。面白くておおらかで、何も悩んでいないんだよね。
【裕】ビリーがいなかったら、アルバム「レット・イット・ビー」は発売されなかった?
【サミー】発売されなかったどころか、あそこまでセッションが続かなかった。
【広田】どこかの時点であきらめて、アルバムは出なかったでしょう。ビリーが来てポールが一番救われた。セッションではサウンドに満足していなかった。何か違うと文句を言っていたけど、ビリーが来て目を輝かせていた。
【サミー】表情が一変して、すごく嬉しそうでしたね。
【広田】ポールは好き嫌い関係なく、良い音を出してくれれば良かったんでしょう。
【サミー】ビリーにちなんだ曲を一曲選んでください。
【広田】ビリーが来て最初にやった曲「アイヴ・ガッタ・フィーリング」がふさわしいと思います。
エンディングテーマは「絶望してる暇はない」
広田寛治さんとサミー小川の対談が掲載されている特別付録が注目されました