どうにもこうにもやるせない時がある

声を掛けようにも掛けられない
文句の一つも言えやしない
向こうの声が、聴こえない

あの時こうしとけば良かった
ああ言っとけば…

そんな事を思っても
そんな事を話しても
全く意味がない

意味がない事を
思ってしまう
話してしまう

去年のこの時期ナニしてたっけなぁ…

振り返ると
4人とシュシュで年を越してる

年越しそばは4人分
毎年作ってた
自分でやりだしたのだ
毎年毎年家族に作ってた
喧嘩しても何しても
年越しそばは作ってた

昨年11月に転移を告げられ
延命治療しかないと宣告され

本人は覚悟をしていたんだなぁ
恐怖と戦っていたんだなぁ
来年の正月
また迎えたかったよなぁ
迎えるつもりだったよなぁ

苦しかったんだなぁ

分かった気になって
何も分かってなかったんじゃないかなぁ
何一つ出来なかったんじゃないかなぁ
オレは

時間は取り戻せない
巻き戻せない

なんだこの
胸をかきむしられるような感覚は
叫び出したい衝動は

今年は年始から舞台の稽古だったんだ
2月に二公演あったから
勝負の公演だったから

舞台、舞台…だった

自分にはそれしかないと思ってたから

刺さってる
深く深く刺さってる

この矢は自分に向けて
自ら放ったのだ

決して抜ける事はない
一生抜ける事はない
楔だ

取り込んでやる

全てを取り込んで
全てを呑み込んで

前へ進む

生きてるんだから…

弱いな
弱い