皆さんは「小坂忠(こさかちゅう)」(以下「小坂さん」と言います)というミュージシャンをご存じでしょうか。日本のロックの黎明期に、細野晴臣(敬称略:以下同じ)、松本隆、柳田ヒロと「エイプリル・フール」というバンドを結成し、その後も、地味ながら日本のロックが定着する過程で重要な役割を果たした方です。もしかしたら、あの伝説のバンド「はっぴいえんど」に参加していたかもしれないそうです。

 しかし、今回お話しするのは、ロックをやっていた若き日の小坂さんのことではないのです。

 小坂さんは、ある出来事がきっかけで、1976年(28才の時)に洗礼を受けクリスチャンになりました。

 ある出来事とは以下のとおりです。小坂さんには2才になる可愛い娘さんがいました。ある日、娘さんが、テーブルに置いてあった熱湯が入った鍋をひっくり返して、頭から熱湯を浴びてしまい、全身に大火傷を負ってしまったのです。医者には「火傷の跡が残るかどうかは時間が経ってみないと分からない」と言われたそうです。悪い想像しか浮かばない小坂さんを見かねて、奥様の祖母の方が小坂さんをキリスト教の教会に連れて行ってくれて、小坂さんは牧師や信徒の人とともに祈ったそうです。それから1か月後、娘さんのひどい火傷は奇麗に癒されました。この時、小坂さんは「神様が祈りに答えてくれたんだ」と思い、クリスチャンになったとのことです。

 小坂さんは、その後、ゴスペル(教会で歌われる音楽)シンガーとして活動し、1991年には牧師となりました。

 私は、若い頃から小坂さんの音楽をほとんど聞いたことがなく、ロックミュージシャン時代の代表曲である「しらけちまうぜ」もそれほどいい曲とは思っていませんでした。

 

 

 

 小坂さんは、2013年に「NOBODY KNOWS」というアルバムをリリースしているのですが、それに合わせて、坂崎幸之助さんの「K’S TRANSMISSION」というラジオ番組にゲスト出演し、坂崎さんといろいろな話をしているのを聞いて、想像していたのとは違い「穏やかな人なんだな」という印象を受けました(ロック時代の小坂さんしか知らず、牧師でいらっしゃることも知らなかったので)。

 この番組で、アルバムNOBODY KNOWS」から数曲オンエアされたのですが、それを聞いて私は魅了されてしまいました。すぐにアルバム「NOBODY KNOWS」を買って聴いてみると、どの曲も素晴らしいものでした。

 

 

 

 

 

 

 このアルバムの表題曲であるNOBODY KNOWS」という曲ですが、皆さんは、新約聖書の最後に配された「ヨハネの黙示録」という聖典をご存じでしょうか。なお、余計なことかもしれませんが、私はキリスト教の信者ではなく、どちらかと言うと既存の宗教に批判的な考えを持っているということをお断りしておきます。

 この「ヨハネの黙示録」は予言の書であり、ヨハネが神に見せてもらった未来の光景について述べられています。戦乱、飢饉、疫病、大地震などのあらゆる災いが起こることが予言されており、また、天使と悪魔の戦いや「最後の審判」の様子も記されています。

 最後の審判とは、世界の終末にキリストが天から降りてきて、天国に行く者と地獄に落ちる者とを振り分ける、というもので、この「NOBODY KNOWS」という曲は、最後の審判をモチーフにしている曲です。

 現在の私たちを取り巻く状況、つまり、いつまでたっても国同士の争いはなくならず、地球の気候さえおかしくなっているなどのことを見た時に、全く違う形であろうとは思いますが、私たち人類に「最後の審判」が下されてもおかしくないと思ってしまいます。

 以下、この歌の歌詞を引用させていただきます。

 

 

 

NOBODY KNOWS 誰も知らない 彼が雲に乗ってくる日を

NOBODY KNOWS 油断するなよ ノアの時の想像を超えた雨

その日 多くの人の愛は冷えて 国と国が争い合う

NOBODY KNOWS その日が君の 悲しい時にならないようにと祈る

 

NOBODY KNOWS 誰も知らない イエスが君を迎えに来る日を

NOBODY KNOWS その日のために 君が備えることは一つ

その日 ラッパの音が響き渡り 天にしるしが現れたら

NOBODY KNOWS 油断するなよ イエスと顔を合わせる時は近い

 

その日 ラッパの音が響き渡り 天にしるしが現れたら

NOBODY KNOWS 油断するなよ イエスと顔を合わせる時は近い

 

※ Xに画像を投稿しました(2024.1.18)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon