皆さんはHAL(ハル)9000」というコンピュータをご存じでしょうか。このコンピュータは実在のものではなく、映画「2001年宇宙の旅」(原題は「2001:A Space Odyssey」)に登場した、木星探査のために旅立った宇宙船ディスカバリー号に搭載され、この宇宙船の全機能を制御するコンピュータという設定でした。

 「2001年宇宙の旅」は、1968年(今から55年前です:2023年現在)にスタンリー・キューブリック監督により製作されたSF映画です。物語は非常に哲学的な内容で、公開された当時は、バラ色の宇宙旅行を描いた映画と思って鑑賞したものの、その内容の難解さに「理解ができない」という人が多かったようです。

 先日、DVDを購入し久しぶりにこの映画を見たんですが、「この映画が本当に55年前に作られたのか」と信じがたい思いでした。そのストーリーはさておいて、宇宙ステーション、月面基地、連絡船、探査船ディスカバリー号などの造形が全く古くなく、むしろ現在のSFXが陳腐に見えるほどのリアリティを持っており、宇宙ステーションなどの中にある機器やそれらの中で活動する人々の動きなども完璧なリアリティを持っているのです。それらの造形は「ダグラス・トランブル」という人が行っていて、この人は、後に「未知との遭遇」、「スタートレック」などの特撮(現在の「SFX」)を手掛けました。この点について話し出すととめどがなくなってしまいますので、YouTubeなどでこの映画の素晴らしさを垣間見ていただけたらと思います。

 

 

 

 簡単にこの映画のストーリーをご紹介します(簡単ではないかもしれません)。

 この映画が公開された年から少し未来(と言っても2001年は、今となっては既に過去ですが)の、宇宙ステーションとの往来や月面基地での活動などが当たり前になった時代の話です。月面で正体不明の長方形の板(以下「モノリス」と言います)が発見されます。どう見ても人工的に作られたものです(→誰が作った?)。このモノリスは木星の方向に強い電磁波のようなものを発信しています。探査のために宇宙船ディスカバリー号が木星に向けて旅立ちます。木星まではかなりの歳月を要するため、この宇宙船には「低温睡眠」(と思われる)の装置があり、乗務員は2人ずつ交代で覚醒して長い旅を続けて行きます。この宇宙船の全機能はコンピュータHAL9000が維持しています。このコンピュータは人間と対話できるほどの高度な機能を持っており、HAL9000が言う(?)には「私は完璧であり絶対に間違わない」とのことです。

 ある日、HAL9000が「船外の通信アンテナが72時間内に故障するので修理が必要です」と指示を出します。船長のボーマンは船外活動用のポッドに乗り、交換が必要と思われるユニットを回収します。船内に戻り、同乗のプール飛行士とともにこのユニットをチェックしますが、異常が見当たりません。HAL9000に「異常はないぞ」と話すと、HAL9000は「おかしいな」と戸惑っています(こんなふうに人間のように対話するのです)。地球の管制センターの調査により「HAL9000が故障予測を過った」との信じられない結果が出ました。HAL9000の性能からすれば、このようなことは絶対にありえません。HAL9000にそれを伝えると、HAL9000は「原因は明らかで、人間のミスです」と言い、自分のミスだと認めません。

 とにかくユニットを元の位置に戻して様子を見ようということになり、プールが船外作業用のポッドに乗り、通信アンテナのところまで行き、ユニットを元に戻す作業を船外で開始しました(宇宙服を着ている)。船内でその作業を監視していたボーマンは、回転しながら宇宙空間を遠ざかっていくプールの姿を見ました。船外作業用のポッドが勝手に動き出して、作業用アームでプールを跳ね飛ばしたのでした。ボーマンはもう1台のポッドに乗り込み、遠ざかっていくプールに追いつき、作業用アームでその体を確保します(緊急事態なので宇宙服を着ていない)。プールは、酸素供給用のチューブが切れたため既に息絶えています。

(続く)

 

(アドレス)

 

※ 「X」に画像を投稿しました(2023.9.9)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon

 

(以下次回→時期は未定)