私は、週に3~4回、半日の仕事をしています。早番と遅番があって、早番の時は、朝7時から仕事が始まります。ある早番の日、いつものように10分ぐらい前に事務所に行き、休憩室でテレビを見ながら待機していた時のことです。チャンネルを変えながらボーッとテレビを見ていたら、たまたまEテレにチャンネルが合ったのですが、その時、番組で「次はロス・プリモスの歌です」と言いました。私は「えっ、なんでEテレで、しかも朝早くにロス・プリモスの歌なんだ?」と思いました。「ロス・プリモス」と言えば、昭和の時代に大流行した「ムード歌謡」の大御所のグループで、「ラブユー東京」という大ヒット曲を持っています。「ムード歌謡」というのは、進駐軍(古いですね)相手にハワイアンやジャズを演奏していたバンドなどが、「夜」の世界を独特の世界観で甘く歌うようになり、1960年代に一大ジャンルを形成しました。有名なグループとしては、「鶴岡雅義と東京ロマンチカ」、「敏いとうとハッピー&ブルー」、「ロス・インディオス」、「和田弘とマヒナスターズ」などがあり、「黒沢明とロス・プリモス」も大変な人気バンドでした。

 話は逸れますが、その頃こどもだった私は、「へえ、映画監督の黒澤明って歌も歌うんだー」と思っていました。もちろん同姓同名の別人です。ああ、勘違い。

 話を戻します。それで、目が点になりながら、そのEテレの番組を見ていたら(この番組は、毎日の帯番組で「6:55」というそうです)、「曲名は『さらば下呂温泉』です」とアナウンスがあり、曲が始まりました。ミュージックビデオみたいな作り方で、歌が流れながら、ある男が失恋する様子が描かれます。歌の途中までは普通のムード歌謡で、ロス・プリモスも正統派のムード歌謡の雰囲気で歌っています。ところが、一番の後半の3分の2ぐらいからガラリと歌詞が変わり、「何だこの歌は。面白い」と思ってしまいました。その日一日、この歌が頭の中で鳴っていました。

 

 

 この歌の歌詞を以下に書かせてもらいます。

 

足湯めぐりで はしゃいでた さっきの笑顔は まぼろしか

めぐみは消える 湯気の中 岐阜県下呂市 下呂温泉

もうこの街にも 来ないだろ 列車に乗って 下呂を発つ

見知らぬ景色 流れてく ふっと見上げた その先に

『上呂』もあるのね 下呂だけじゃないのね 上呂駅

上呂と下呂の間にあるのね ああ『中呂』

 

岐阜県下呂市下呂温泉 日本三名泉の一つです

上呂と下呂は奈良時代からの道の駅

中呂だけが後からできたの

岐阜県下呂市の 上呂 中呂 下呂

 

 この歌詞の歌を、ロス・プリモスが全くの正統派のムード歌謡の歌い方で歌うのです。本当に面白い。同じシリーズで、「さらば高円寺」と「さらばアムステルダム」もあるようです。

そういえば、はるか昔になるのですが、「オレたちひょうきん族」というお笑い番組で、ロス・プリモスが、大ヒット曲「ラブユー東京」の替え歌の「ラブユー貧乏」という歌を大真面目に歌っていたのを思い出しました。

 

 

 

※ ツイッターに画像を投稿しました(2023.1.28)。

https://twitter.com/sasurai_hiropon