歌手の「イルカ」さんと言えば、「なごり雪」という大ヒット曲で有名です。

 イルカさんは、1975年にセカンドアルバム「夢の人」をリリースしました。このアルバムにはとても素敵な歌がいっぱい収録されていて、「なごり雪」のアコースティックバージョンも歌われています(リードギターは石川鷹彦さんだと思います)。

 私は、このアルバムに収録されている「キタギツネの歌」という曲が、何十年も前から好きです。

 この歌の主人公は、オスのキタギツネです。歌の歌詞を引用させていただきます。

「ひたすら僕は走るよ白い荒野を 恋する君の姿追いかけて でも君はすでに恋してた 僕を好きにならなくてよかったね だって僕はこんなに弱虫 こどもの頃を思い出しても 日陰ばかりを歩いてた いつもおなかをすかせて 母さんに言われたあの言葉は 今でも忘れちゃいないはずなのに 強いものだけが生き残れるなんて 信じたくはないけど 信じたくはないけど」。

「母さんに言われたあの言葉」とはどんな言葉だったのでしょうか。「ネズミをたくさん獲れなきゃ生きていけないよ」でしょうか。

 

 

 この世界を作った存在は、なぜ「食物連鎖」という仕組みを作ったのでしょうか。この世界に生きるものにとっては、「弱肉強食」は定めなのでしょう。本当に神様は罪作りです。

 それでは、「愛」とは何か。例えば、YouTubeなどで、犬を飼っている家に子猫が仲間入りした時に、その犬が子猫をとても可愛がっている動画がアップされています。自分が生き残り子孫を残すことが生き物の目的であるなら、このような行動は全く無意味のように思えます。どうしてそのような行動をするのでしょうか。

 人類は、他の生き物とは全く異なった優れた能力を持っていますが、多くの他の生き物を絶滅させたり、また、今でも同じ人類同士で争いが絶えません。人類は、「弱肉強食」で生きていくしかないのでしょうか。何のために優れた能力を持っているのか、よく分からなくなります。

 イルカさんは、国際自然保護連合(IUCN)の親善大使を務めておられます。「私たちは皆、この地球という大きな生き物に住む、細胞同志である」。イルカさんのメッセージです。

 今の世界の状況を見ると、人類は、しょせん、神様の気まぐれで生まれた地球のがん細胞なのか、と、自虐的に考えてしまいます。