私のこどもの頃から青年の頃にかけて、テレビでは、クイズ・ゲーム番組が人気がありました。

 思い出してみれば、「連想ゲーム」、「アップダウンクイズ」、「クイズタイムショック」、「クイズダービー」などなど、面白いクイズ・ゲーム番組がいっぱいありました。その中で、今でもよく覚えている「がっちり買いまショウ」について話したいと思います。

 「がっちり買いまショウ」は、1963年12月から1975年3月まで放送されていた「買い物ゲーム番組」です。毎回、視聴者の夫婦3組が出場し、司会は、上方(関西)の人気漫才コンビ「夢路いとし・喜味こいし」さんが務めていました。番組のスポンサーは、1971年まではオリエンタルカレーの「株式会社オリエンタル」で、1972年以降は「江崎グリコ」のグループでした。

 どういう番組かというと、出場者が、会場に並べてある商品を制限数以上買って、その合計金額が基準をクリアーすれば買った商品を全部もらえる、しかし、クリアーできなかったら残念賞(スポンサーの商品の詰め合わせ)に終わる、というゲームでした。

 買い物を開始する直前に、喜味こいしさん(だったと思います)の顔がアップになり、「5万円コース、3万円コース、1万円コース、運命の分かれ道!」と早口でまくし立てるのが面白くて、毎回笑っていました。

 話は横道にそれますが、番組が始まった1963年は、昭和で言えば昭和38年で、日本経済が、戦後の貧しい時期からようやく豊かになる兆しが見えてきた頃で、電気洗濯機や電気冷蔵庫などの最新の家電製品が庶民の羨望の的になっていた頃です。ですから、この番組に出演し、あこがれの家電製品を手に入れるということは、まさに庶民の夢を手に掴むということで、出演者はもちろんですが、番組を見ている人たちも、我がことのようにワクワクして見ていました。

買い物の金額は、番組開始時には「5万円・3万円・1万円」でしたが、後に「7万円・5万円・3万円」、「10万円・7万円・5万円」とアップしていきました。

 決められた金額以内に収めることはもちろんですが、既定の金額マイナス〇千円以内という規則もあり、欲張ると元も子もなくなるし、少なすぎてもダメという、なかなか難しいルールでした。買い物の終盤になると、微調整にために「オリエンタルカレー」をいくつか買うのが定番になっており、番組の中でちゃっかり宣伝もしていました。

 庶民はみんな、豊かな生活をすることを夢見て明るく生活していて、思えば幸せな時代だったと思います。