私は昭和31年(1956年)生まれです。私のこども時代は漫画雑誌が全盛の頃で、私は漫画とともに育ってきました。
漫画にもいろいろなジャンルがあり、「あしたのジョー」や「巨人の星」などのストーリー漫画も夢中で読んでいたのですが、それとともに「ギャグ漫画」も大好きでした。ギャグ漫画には、「おそ松くん」、「オバケのQ太郎」に始まり、「まことちゃん」、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」など大ヒットした漫画がありますが、私は、どちらかというと、あまり一般受けしない、ちょっと「変な」ギャグ漫画が好きで、今回は、そんなギャグ漫画たちについてお話ししたいと思います。
皆さんは、「できんボーイ」というギャグ漫画をご存じですか。もしかしたら、あまり知っている人はいないかもしれませんね。1976年から1979年にかけて週刊少年サンデーに連載されていました。
この漫画をどのように説明したらいいのか・・・。とにかく徹底的にバカバカしいのです。例えば、「まことちゃん」は本当にバカバカしい漫画なのですが、なにせ、数々の名作恐怖漫画を描いた「楳図かずお」さんの作品なので、バカバカしい中にもどこか計算された部分が匂ってきます。それと比較して「できんボーイ」のバカバカしさには全く裏がなく、こんなギャグ漫画を生み出した「田村信」という漫画家に対して、私はむしろ尊敬の念を覚えます。
主人公は「ちゃっぷまん」という名前の幼稚園児で、お父さんは八百屋さんで、お母さんは美人です。ちなみにお父さんはツルツルのハゲです。お父さんも変態気味で、お客の奥さんに「このトマトはピチピチに熟れてますぞ」と言いながら、「奥さんのここもピチピチ」と言って、「ほれ、ぴちぴちぴちぴち!」と奥さんの胸を激しくつつきます。奥さんは興奮し笑顔で「おほほっ、おほほっ!」と言っています。何でしょうこの展開は・・・。お母さんはツッコミ担当で、「あなたっ!お客様に迷惑じゃないの!」と常識的な対応です。そこに、ちゃっぷまんの友達の「キッド」君が「おっちゃん、こんにちは」と遊びに来ます。お母さんが2階にいるちゃっぷまんに「キッド君が来たわよー」と声をかけると、チャップマンは「ごわわー」とジェットコースターで降りてきます。第1回目でこんなフルスロットルの展開で、これが毎回初めから終わりまで続くのです。ちゃっぷまんはまともなことは一つもせず、物語の展開はシュールですらあります。
そして、やたらと尻が出てきます。しかも尻に「しり」と書いてあるのです(わざわざ断らなくても・・・)。そう言えば、幼稚園の先生も、友達の「ピピ姫ちゃん」も美人です。
作者の田村信さんは、「がきデカ」で有名な「山上たつひこ」さんのアシスタントを2か月務めたのち、週刊少年サンデーの新人賞に入選し、その後少年サンデーで連載した「できんボーイ」がヒットしました。そういえば、山上たつひこさんは、「がきデカ」が大ブレイクする前には、「光る風」という近未来の独裁国家を描いたシリアスな漫画を連載していて、根っからのギャグ漫画家というわけではありませんでした。
しかし、私は思うのですが、例えば、志村けんさんの「バカ殿」のように本当にバカバカしいものを作るのは、生まれ持ったセンスと血のにじむような努力が必要ではないかと思っています。そのような意味で、田村信さんも天性のギャグセンスを持っていたことは確かでしょうが、コンスタントに膨大なバカバカしいギャグを生み出すために、大変な努力をしていたのではないかと思っています。
田村信さんは、「できんボーイ」以降は、これと言ったヒット作を世に出しておられません。「できんボーイ」で燃え尽きてしまったのでしょうか。
[「できんボーイ」の画像]
[志村けんのバカ殿 腰元との会話]
[バカ殿 研ナオコの赤まむし]
[山上たつひこの「光る風」の画像]
(次回へ続く→時期は未定)
