私は昭和31年(1956年)生まれです。こどもの頃から怪獣モノが大好きで、最初に映画館で見た怪獣モノは1964年に公開された「モスラ対ゴジラ」だったと思います。私が10才の時(1966年1月)にテレビで「ウルトラQ」のテレビ放送が始まり、夢中になって見ていました。そして、同じ年の7月から、いよいよ「ウルトラマン」の放送が始まりました。この「ウルトラマン」のシリーズは、出てくる怪獣が魅力的であるのはもちろんのこと、ハヤタ隊員を始め登場人物がキャラ立ちしており、ストーリーも子供だましでないしっかりとしたもので、なによりヒューマニズムに裏打ちされていることが特筆すべきことだと思います。
ウルトラマンの放送は1967年の4月に終了し、続いて「キャプテンウルトラ」が始まります。この「キャプテンウルトラ」は、円谷プロではなく東映が製作した、宇宙を舞台とする「スペースオペラ」でした。その裏には、円谷プロによるウルトラマンの制作が次第に追いつかなくなり、やむなく放送打切りを余儀なくされ、本格的にテレビ特撮番組への参入をもくろんでいた東映が引き継いだ、という事情があるようです。
そして、半年間の充電期間を経て、1967年10月から、円谷プロの制作による「ウルトラセブン」の放送が開始されました。
私のもう一つのブログ「昭和じじぃのひとりごと」で、円谷プロの特撮テレビシリーズについてお話ししており、「ウルトラQ」から始めて、現在は「ウルトラマン」についてお話を始めたところです(2025年12月現在)。いずれ「ウルトラセブン」についてもお話ししたいと思っていますので、「ウルトラセブン」の詳しい内容についてはそちらでお話しします。
「ウルトラマン」は、年齢層としてはこどもを対象とした番組でしたが(もちろん大人が見ても楽しめるようなしっかりとした作りとなっています)、「ウルトラセブン」は、もう少し上の世代を対象として、本格的なSF作品として作られていました。小学生だった私にはその内容が難しすぎて、「なんか暗い番組だな」という印象を受けて途中で見なくなりました。中学生になって再放送があり、それを見て、初めて「素晴らしい作品だ」と思いました。
前置きが長くなりました。「ウルトラセブン」はどの回も素晴らしい出来なのですが、特に第8話の「狙われた街」は、今でも名作だと言われている作品です。
この第8話は、「実相寺昭雄」さんが監督をしています。実相寺昭雄さんは、非常に奇抜でシュールな映像を創り出す映画監督で、ウルトラマンシリーズの中で、今でも語り継がれている第23話「故郷は地球」(出てくる怪獣はジャミラ)の監督をした人です。
[ウルトラマン 故郷は地球 イデ隊員、魂の叫び]
この「狙われた街」という作品は、「金城哲夫」さんの、緻密でシニカルな脚本が優れていることがベースになっているのは確かですが、実相寺昭雄監督の意表を突いた前衛的な映像がこの作品に深みを与えていると思います。
随所に前衛的な映像があるのですが、最も有名なシーンは、メトロン星人とモロボシダンが、古いアパートの一室で、ちゃぶ台を挟んで話し合っているシーンでしょう。宇宙人と宇宙人(モロボシダン)がアパートの一室にいるという状況をどのようにして発想したのか、全く想像の範囲を超えています。また、最後の戦闘シーンは、夕焼けで真っ赤に染まった川沿いの工場群を背景として展開されます。ストップモーションなどを使って展開する映像は「美しい」という表現以外思いつきません。
このような前衛的な映像が、プロデューサーなどの上層部から問題視され、実相寺昭雄監督は、しばらくウルトラセブンの監督から外されたそうです。何時の時代も、天才と言うものはなかなか理解されないということでしょうか。
[ウルトラセブン 狙われた街]
※ Xに画像を投稿しました(2025.12.4)。
さすらいひろぽん (@sasuraihiropon) / X
