Vol.132【昭和の怪獣映画の脇役たち②】の続きです。 昭和の時代の怪獣のことをツラツラ考えていたら、ふと「そういえばあまりパッとしない怪獣がけっこういたなー」と思いました。前回に引き続き、ゴジラやモスラやキングギドラなどの主役級の怪獣のかげでひっそりと活躍していた「脇役の怪獣」たちについて個別にお話ししたいと思います。

 

《ガッパ》

 「ガッパ」は、1967年に「日活」により公開された怪獣映画大巨獣ガッパ」に登場した怪獣です。

 私は、子供の頃から今までこの映画を見ていません昭和30年代の庶民はまだまだ貧しくて、こどもが1年に何本も映画を見ることはできませんでしたので、子供心にいろいろ考えた結果、やはり東宝の怪獣映画を見ることになっていました。大人になってからは、「日活」と言えばやはり「ロマンポルノ」で、その日活が作った怪獣映画を「今さら見てもなあ」と思い、「大巨獣ガッパ」は今まで見ていないのです。

 それでも、こどもの頃は、少年漫画雑誌に載っているガッパの記事は見ていて、「なんかカラス天狗みたいだなー」と思っていました。

 大ヒットとなった東宝の「モスラ対ゴジラ」や「怪獣大戦争」が公開されたのが1964年~1965年ですから、この「大巨獣ガッパ」は、その2~3年後に公開されたことになります。今回、改めてこの映画の予告編を見てみたんですが、特撮などはなかなかよく出来ていて、けっして東宝に負けていないんじゃないかと思います。それもそのはずで、この映画の特撮を担当した「日本特撮映画株式会社」に、東宝のスタッフが無断で参加していたそうです。南海の孤島に住む怪獣という設定はモスラに似ていますね。

 ただ、ガッパのデザインについて言えば、まさにカラス天狗で、東宝の怪獣の卓越したデザインには負けているのではないでしょうか。お話ししていて気が付いたのですが、ガッパのデザインは、あの「ウルトラマン」の原型であった「科学特捜隊ベムラー」の正義の怪獣「ベムラー」に似ていますね。

 

[大巨獣ガッパ 予告編]

 

《ギララ》

 「ギララ」は、1967年に「松竹」により公開された怪獣映画「宇宙大怪獣ギララ」に登場した怪獣です。

 私は、子供の頃にこの映画を見ていません。その理由はガッパでお話ししたとおりです。 ただ、今から1年ぐらい前に、YouTubeにこの映画がフルでアップされていて、見ることができました。それで、感想なんですが、さすが小津安二郎や山田洋次(敬称略)の松竹らしく、恋愛あり、友情ありで、人間ドラマとしてはよく出来ていると思いますが、はっきり言うと「地味で面白くない」のです。ギララが出現する経緯も説得力がなく「とりあえず怪獣を出してみました」という印象です。ギララのデザインもゴテゴテしていて、ゴジラやモスラやキングギドラなどのような魅力が感じられません。松竹の怪獣映画はこれ一作になったというのもうなづけます。やはり、映画会社にも得意不得意があるのでしょう(何か悪口のようになってしまいました。申し訳ありません)。

 また、この映画の特撮は、「大巨獣ガッパ」の特撮を手掛けた「日本特撮映画株式会社」が手掛けていますが、この映画にも当時「東宝特技課」に所属していた人たちがこっそりと参加していて、この人たちはそれがバレて東宝をクビになり、「日本特撮映画株式会社」に合流したそうです。

 

[宇宙大怪獣ギララ 予告編]

 

※ Xに画像を投稿しました(2025.8.20)。

https://x.com/A4xHEbpzkB44017

 

(以下次回→時期は未定)