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スクランブル交差点

政治、経済などのニュースを中心にお届けしていきます。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111204-00000011-pseven-spo



話題のニュースや著名人などに縁のある料理を紹介する「日本全国縁食の旅」。食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏がお届けする。今回は、11月 15日、北朝鮮で行われたサッカーW杯アジア三次予選で同国政府に没収されたある食材について考える。

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サッカーW杯アジア3次予選北朝鮮戦で、むしろ次のような見出しが目を引いた。「ザック監督、大好物を没収されていた」。

日本代表・ザッケローニ監督が北朝鮮に入国する際、常時持ち歩いているというチューブ入りのねりわさびを平壌空港で取り上げられた。その事実を日本サッカー協会の小倉純二会長が「すった(高級な)わさびじゃなく、チューブ入りのヤツがいいみたい」というオマケ情報つきで明かしたところ、ネットの掲示板などで「トンカツもわさびで食うらしいぞ」「白飯にもたっぷりとわさびを乗せて食べるんだとか」など試合結果のことなど忘れたかのような盛り上がりを見せた。

ザッケローニ日本代表監督を惹きつけてやまない、チューブ入りわさびの正体とは何か? まず一般に流通しているわさびの種類から整理しておきたい。

小倉会長が「すったわさび」と言ったのは、高級寿司店などで一般的に使われる「沢ワサビ」と呼ばれるもの。山間地の湧水や清流の流れる渓流で栽培され、百貨店の店頭などでもよく見かけるアレである。ちなみに植物学上の同じ品種(Wasabia japonica)を陸の畑で栽培すると「畑ワサビ」となる。

そしてザック監督お気に入りのチューブ入りのわさびによく使われるのが、セイヨウワサビ(Cochlearia armoracia/ Armoracia rusticana)。ローストビーフなどのつけ合わせで知られる「ホースラディッシュ」であり、ワサビダイコンとか「山ワサビ」という名でも呼ばれる。

ほかにもよく北海道産のセイヨウワサビと混同されがちなエゾワサビ(Cardamine yezoensis)や、ユリワサビ(Wasabia tenuis)といった種もあるが、食用としては沢ワサビとセイヨウワサビが圧倒的なシェアを持っているのが実情だ。

ちなみにチューブ入りのわさびでも「本わさび」「生わさび」という表記があるが、現在では「沢ワサビ」――つまりWasabia japonica種を50%以上使用したもののみ「本わさび使用」と謳うことが可能となっている。50%未満は「本わさび入り」という表示になる。ザック監督は「いつもカバンに100円程度で買ったチューブ入りのわさびを持ち歩いている」という報道から考えると、セイヨウワサビの比率が高い製品と考えられる。

「ごはんにもわさび」というザック監督に対して、スポーツ紙からは「“変食家”」、ネット上からも「おかしいだろ」というツッコミが入っていた。だが東京・牛込柳町の「つず久(く)」という名居酒屋には「わさびめし」という看板メニューがある。

炊きたてごはんに、おろしたての山わさび(セイヨウワサビ)を大量にかけ、醤油を一回し。女将さんの「ほら、早く食べて!」の号令とともに大の大人が涙ながらにメシをかっ込むという名物メニューだ。

もちろん、チューブのわさびではまったく同じ味わいとまではいかないが、試してみるとそれなりに近い味わいになる。変食家どころか、先入観に囚われることなく、手に入る材料で名店の味わいに近づけているとも言える。一事が万事。現実を見つめながら理想を追求する、そんなザック監督の姿勢はチーム作りだけでなく、食選びにも反映されている?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111203-00000011-pseven-int


経済の急成長とともに台湾への野心を剥きだしにしつつある中国。しかしそれを見過ごすことは日本にとっても大きな問題になりかねないとジャーナリストの櫻井よしこ氏は警告する。

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軍事力で相手を脅しながら、一方では経済や文化の交流で籠絡し、抵抗の意欲を失わせる。こうして軍事力を使わずに相手を屈服させるのが「孫子の兵法」、中国の戦略です。

中国の策略に自ら嵌まり、属国精神に染まっているのかと問いたくなるのが、台湾の馬英九総統です。台湾はアメリカに新型戦闘機F16C/Dを66機購入したいと要望して結果断られましたが、馬氏は、「米国がF16C/Dの売却をできなくても仕方がない」と発言したと聞いています。最初から諦めているかのような発言です。「自分たちの手で台湾を守る」という気概そのものが、国民党政権にはないと言わざるを得ません。

中国は1979年以来、台湾に「三通」(通商、通航、通信の直接交流)を呼びかけてきました。その結果、両国の経済的交流が深まり、昨年9月には中台経済協力枠組協定(ECFA)が発効しました。協定では中国が539品目の関税を撤廃し、台湾は267品目を撤廃と、一見台湾に有利ですが、真の目的は台湾を「経済的に離れられなくする」ことです。

台湾経済の中国への依存度は高まるばかり。現在、台湾の輸出の40%は中国向けで、中国大陸で働く台湾人は150万人規模にのぼります。家族を含めれば約600万人です。2300万人の台湾人のおよそ4分の1が中国との直接的関わりの中で生計を営んでいることになります。

馬氏は最近、10年以内に平和協定を結ぶ意向を示しましたが、平和の名のもとに、実質的には併合協定が結ばれてしまうことでしょう。

来年1月の台湾総統選は、まさに台湾の存亡を決する選挙になると思います。日本にとっても他のアジア諸国や米国にとっても、命運を左右する重要な分岐点です。

引き続き馬氏が総統となれば、中国の台湾併合への戦略は、次の段階に進むでしょう。もちろん、馬政権の親中的政策を批判する民主進歩党の蔡英文氏が勝っても、中国の基本的な路線は変わりませんが、台湾側が自ら中国の手に落ちていくような方向性を転換することにつながります。

台湾が脅かされれば東アジアが不安定になる以上、それを防ぐことが日本の国益です。

日本が台湾に対してできることはたくさんあります。今すぐにでもできるのは、「台湾の未来を台湾の人々の意思に沿って守っていく」という意思を日本として明らかにする、つまり民主主義を支持すると表明すること。そのために支援を惜しまないと言い続けることです。これは台湾の人々を勇気づけ、台湾の政治に力を与える効果を生みます。

言葉だけでなく、実際の行動においても台湾との関係を緊密にしていくことが大事です。台湾とのFTA(自由貿易協定)で経済交流を深め、交換留学生をはじめ、各界各層の人事交流も活発に行なっていくべきです。

軍事的には、米国とアジア諸国、インド、オーストラリアなどとの連携が重要になります。日本は原子力潜水艦を造り、東シナ海をはじめ重要な海域に展開させる。これは中国の台湾侵略、そして尖閣諸島を守る抑止力になります。

台湾は東日本大震災の際、200億円というどの国よりも多い義援金を送ってくれました。台湾の人々の熱い想いがこめられた有り難い支援でした。その台湾に対し、外務省はこれ以上のひどいことはないと言ってよい仕打ちをしました。

10月6日に開かれた台湾の建国記念日、双十節(10月10日)の祝賀会には、各省庁の政務三役(大臣、副大臣、政務官)ら、政府関係者は出席を自粛するようにという通知を出していたのです。中国への卑屈さと、台湾に対する非礼には呆れるばかりです。

異形の国家、中国に気兼ねをすることは、台湾を窮地に追い込み、日本をも危うくする。私たちはそのことを肝に銘じなければなりません。

※SAPIO2011年12月7日号
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111202-00000003-pseven-soci


収束工程表の「ステップ2(原子炉冷温停止など)」達成について、11月17日に細野豪志・原発担当相は「年内には可能」と説明し、福島第一原発事故は危機を脱しようとしているかに見える。

だが、この事故の中で「別の原発クライシス」が起きていたことは国民に伏せられている。事故発生直後に同原発で作業に従事したコンピュータ技術者が、「政府が隠しているもうひとつの大問題」を明かした。ジャーナリストの入江吉正氏がレポートする。

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3月11日の大地震によって、稼働中だった福島第一原発(1~3号機)は自動停止した。だが、その後に押し寄せた津波によって電源を喪失したために緊急炉心冷却装置が機能しなくなり、各機の原子炉は温度と圧力が上昇し水素爆発が発生。原発作業員らはベント(蒸気の大気放出)を実施するなど、必死の作業に追われていた。

安全管理システム会社のコンピュータ技術者であるA氏は、そんな「フクシマ50(※)」の一員だった。

震災発生時に都内にいたA氏は、事故発生の3日後に東電と政府関係者から「急いで栃木まで来てほしい」と要請された。

「東電担当者らと合流すると、待機していた陸上自衛隊のヘリに乗せられて第一原発に向かいました。相当に切迫した事態が起きていることが伝わってきました」

A氏は約6年前、同原発に導入された制御プログラムの開発者の一人だった。

「プログラムは原発の自動運転を安全に行なうためのもので、電源喪失時にこのシステムもダウンしました。私の役割は、これを稼働させたうえで手動運転モードに切り替えることでした。すでに私の仲間が陸路で現地に入って作業にあたっていましたが、開発者でないとわからないことが多く、私が呼ばれたようです」

到着は3月16日。A氏は防護服に身を固め、東電職員と政府関係者に先導されて2号機のコンピュータルームに入った。

「公開されている中央制御室とは別の場所で、広さは15坪ほどでした。侵入者がたどり着けないようにするためか、通路は非常に複雑でしたが、おそらく原子炉建屋の地下にあたる場所だったと思います。この時には電源車が供給するわずかな電気が通っており、薄暗い中で数台のコンピュータが灯っていました」

その場でA氏は原子炉の設計図を見せられた。

「私は原子炉の専門家ではないので詳しくわかりませんが、どうやらシステムを再稼働しないと建屋内に無数にある圧力弁や注水弁、シールドと呼ばれる放射能遮断装置などを動かせない状況だったようです。詳しく聞こうとしても、案内した政府関係者から“国家機密ですので”といわれました。とにかく“早く(再稼働するために)ロックを解除してくれ”という様子でした」

復旧には6つの手順が必要だったという。

「指紋認証、網膜認証、そして数十桁の暗証番号入力などで、しかもそのすべてを2分間以内に実施しなくては再稼働しない仕組みです。専門技術者でないと解除は不可能なように作っています」

作業は困難を極めた。2分の制限時間内に終わらず、何度かやり直しを余儀なくされたが、最終的にロック解除に成功。案内役の2人は「お疲れさまでした」とA氏を労ったが、この時、A氏は別の「異変」に気づいていた。

「分厚い防護服のために動きが制限される状況での作業はハードでしたが、解除に手間取った理由は別にありました。暗証番号を打ち込む時にバグが発見され、入力画面が現われなかったり、番号入力がストップしたりするトラブルが起きたのです。最終的にシステムを初期化するという非常手段で乗り切ったのですが、何らかの妨害ウイルスが外部から送り込まれていたのは明らかでした」

元GE原発技術者の菊池洋一氏が指摘する。

「制御システムがハッカー攻撃を受けていたという事態は深刻です。特に圧力弁の開閉に関わるシステムだったというのが事実ならば、圧力容器や格納容器の破裂を招くおそれがある」

A氏はシステムが回復した翌日から、ウイルスの送信元を突き止める作業を行なったという。

「われわれ安全システムの技術者は、“敵”であるハッカーのことを知るためにハッキングの技術も持っています。そこで、こちらから逆のルートで(害のない)ウイルスを送りつけることで、送り主がどこにいるのかを探りました。

発信拠点の大半は“北の寒い国”でした。システムを導入したのは6年前ですから、それ以降にロシアからサイバー攻撃を受けていたと考えられます」

「原発へのサイバー攻撃」といえば、テレビドラマにもなった漫画『ブラッディ・マンデイ』の題材になったりもしているが、決してフィクションの世界の出来事ではない。

去る9月には世界最大の原子力企業である仏アレバ社のコンピュータ網にハッカーが侵入していたことが判明した。攻撃は約2年前から続いており、その発信元は「アジア方面」だったとされる。

日本の原発産業もターゲットだ。9月には三菱重工業の国内11事業所でサーバーや端末計83台がウイルス感染していたことが明らかになった。その多くは情報の抜き取りを目的とする「攻撃型メール」で、原発プラントや潜水艦を製造する同社の神戸造船所も被害に遭っていた。同月、原子炉の圧力容器や格納容器を製造するIHIもサイバー攻撃を受けていたことを公表。両社ともに「情報流出は確認されていない」としているが、世界的に原発関連企業・施設が標的にされている状況がある。

A氏は警鐘を鳴らす。

「ウイルス侵入の事実については、(第一原発にいた)東電担当者や政府関係者に伝え、原子力安全・保安院にも届いているはずです。しかし、その後に開発者である自分や私の会社に改善策についての相談は何もありません。これは“千年に一度の天災”で起きる事故とは全く別次元の問題です。一刻も早い対策を講じる必要があると思います」

この指摘を東電にぶつけたところ、以下のような回答だった。

「事故直後の状況は調査中のため、サイバー攻撃を受けていた事実があったかどうか把握していません。その事実が仮にあったとしても、安全上の支障を考慮して公表を控えることもあり得ます」(広報部)

東電は去る9月に衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会から「事故時運転操作手順書」の提出を求められた際、「セキュリティ上の問題」などを理由に、その大半を黒塗りして提出した。そうした隠蔽体質が国民の大きな不信を招いてきた。

A氏の証言は福島第一原発に限らず、全国54基ある原発の安全に関わる重大問題だ。原発への“攻撃者”は地震や津波だけではない。すでに侵入している“悪意ある破壊者”への防御は急務である。

※フクシマ50/事故発生直後、福島第一原発に残って対応に従事した約50名の作業員に欧米メディアが付けた呼称

※週刊ポスト2011年12月9日号