『こ…ここは?………さっきまで王城が居た……部屋?』
仗助じいちゃんにつかまった途端、物凄い勢いで僕とじいちゃん、そして静さんは引っ張られてこの部屋に辿り着いた。
『……この部屋の床の破片を服の中に忍び込ませ、「クレイジーダイヤモンド」でその破片を直しこの部屋まで移動出来たわけじゃが…。王城との距離は100mほど…。追いつかれる前にこのままこの研究室内を逃げ回るんじゃッ!』
僕達三人は走り出した。
『…兄さん、どうして生きているの?…あの時王城から致命傷を負わされて、呼吸も止まっていたわ。なのに今は何もなかったように…。』
『正直わしにもようわからん。……しかし、1つだけわかったことがある。』
『………わかったこと?』
『……そうじゃ。どうして傷が治ったのかはわからん、…わからんが、浄一、これはお前の能力によるものじゃあないかと、わしは考えておる。」
『……え?僕の能力……?』
『そうじゃ…。お前の「ムーン・リバー」は身体を鎖状にする能力じゃったな?
……果たして本当にそうか?』
『…どういう意味…?………ッ!?』
ドゴンッ!!
研究所の廊下を走る僕達の横から壁を突き破って王城が現れた……!!
『…鬼ごっこはあまり好きじゃあないんだ。私の研究被検体として大人しくしてもらえないかな…?浄一、もはや君は死体だって構わないのだよ?…同じ遺伝子を持つ者であれば「スタンドの譲渡」は可能……。それを君の体で証明出来れば、この国の軍事力は飛躍的に跳ね上がる……!』
『…クッ!王城……ッ!!』
離れていたはずの王城が目の前に…!!
『……「空気摩擦のエネルギーをゼロ」にして追ってきおったか。…軍事力ねぇ、この国の軍事力を強化してまで自分の正義を押し付けたいのか?……まだまだ青二才じゃな。』
『……なんだと?東方仗助……。今のは聞き捨てならないな。……今の日本の現状を知らないからあなたはそんなことが言えるんだ。戦争によって敗国となったこの国がどれほど他国にへりくだってここまできたか知らないはずはないでしょう?……「ルールを作るのは勝者」これは紛れも無い事実…!!』
これまで冷静に話していた王城が初めて声を荒げた。
『……じゃから青二才じゃと言うんじゃ。「ルールを作るのは勝者」?……そもそもそのルールは誰が作ったんじゃ?……「更なる前の勝者」が決めた事に乗っかってるだけじゃあないのかね?』
『……なん……だと?』
『……仮に勝者がルールを作ると言うのならば、「敗者と共にルールを作る」と言うルールを作ればいいんじゃあないか?』
みるみる王城の表情は怒りに震えるようだった。
『…知った風な口をきくなァァァッ!!老いぼれがァァァッ!!』
ズンッ
…ポタポタ。
『…じ、じいちゃんッ!!』
じいちゃんの胸を王城の「ロスト・ホライズン」の腕が貫いている…。
『…チッ。……心臓を貫いては流石に生きられんだろう。あなたがいけないのだ、東方仗助…。私の思想を、理想を踏みにじろうとしたあなたが…ね。』
『…王城ォォォオッ!!!』
To be continued