オールスターは終わり、後半戦が始まった。

ジャイアンツ3連戦と1日空いてカープ3連戦、計6試合を色んな思いで見ていた。結果は1勝5敗とオールスター前と同じように打線が振るわなかった。 

最初のカードのジャイアンツには3連敗。今シーズン、まだ、甲子園でジャイアンツに勝っていない。西岡のケガもあり タイガースにとって何の収穫もない3連戦だった。

カープとの3連戦では黒田に200勝を献上し、1988年以来のカープ戦9連敗を喫した。日曜日の試合でこそ見事な逆転勝利を飾ったが667試合も連続イニング出場していた鳥谷がスタメン落ちしてしまう。

鳥谷の復活無くしてタイガースの復活は望めない。また彼自身の心情やモチベーションを考えると、久しぶりの勝利にも諸手を挙げては喜べない。

私を含めたタイガースファンの多くは今年は「我慢」と覚悟を決めたシーズンだと思うが、ここまでチームの成績が落ち込むとさすがに「来年も大丈夫か?」と疑心暗鬼になる。

大事な場面でヒットが出ない件、捕手固定化の件、出塁率の高い1番打者や年間を通して100打点前後を上げられる中軸選手育成の件と問題は山積だ。

よくカープの育成を評価する評論家がいるが 現実的に彼らはリーグ優勝から24年も遠ざかっているチームだ。外部の人間には分からない問題を抱えていた可能性が高い。

その点、今年はそういった問題を解消しつつあるのだろうが、タイガースにはタイガース独自のチーム編成をして欲しい。

ここまで負けが込んだ「超変革」だ。1970年代、V9という偉業を成し遂げたジャイアンツではないが タイガースもV9できるぐらいの未来永劫語り継がれるチームに確変して欲しいと願う。


さて、今日は26日の先発、青柳のピッチングフォームについて書いてみようと思う。青柳自身が「僕のフォームは変則的」とコメントしているように、多くの野球ファンの皆さんも彼の投球フォームは 変則的と思うのではないか。

しかし実のところ、青柳の投げ方の方がオーソドックスな上手投げより歴史は古いのだ。

これは 野球のルールが確立されいく1840年代の頃の話だが「投手は 手首を使ったスローという投げ方をしてはいけない」というルールがあった。当時の投手は 手首を使わないアンダーハンド・ピッチという投げ方をしなくてはならなかった。

この手首を使わない投げ方をピッチと呼び、その人のことを称してピッチャーとなったのが、そもそもピッチャーはじまりの所以(ゆえん)である。

これは今で言えば、ソフトボールの投手のような投げ方であった。当時、投手とホームベースの間隔は45フィートで 今のソフトボールの男子よりやや短い距離である。

野球は その後、投球ルールの改正で手首を使ったアンダースロー・ピッチを認める。つまり恐らく、このあたりが青柳の投げ方に近いと言えるだろう。

そして、1882年にサイド・ハンド・ピッチを認め、この時に 投手プレートとホームベースの間隔を50フィートへ広げた。

そして、ようやく1886年にオーバー・ハンド・ピッチを認め、この時に 現在の60.6フィートとなったのだ。

オーバーハンドが認められると、そちらが主流になっていき、もともとあった下から投げる投法がアンダー・スローとかサイド・ハンド・スローと呼ばれていくのは 1900年以降なのである。

ちなみに日本に野球が伝来したのは1871年で その時も当然 投手は 手首を使わない下手投げだった。

1908年、大隈重信氏が日本初の始球式をした時も下手投げだったそうだ。ということで、青柳が言う変則的で珍しい投げ方は実際には歴史的に古い投げ方という事になるのである。

ついでにお話ししておくと、そもそもピッチとは「放る」という意味でスローは「投げる」である。手首を使わないピッチという投法で投げない現在、ピッチャーというポジションの名前だけが残った格好になる。

厳密には今のピッチャーはスロー(throw)をしているので、スローワー(thrower)となるのが本来の姿なのか、英語が不得意の私には分からない。しかし青柳やジャイアンツの田原を見ていると「野球草創期の人達は こんな風に投げていたのかなぁ」と思いを馳せてしまう。 

それともうひとつ、日本の野球の寸法は アメリカのルールブックに記載されているフィートやインチをメートルやセンチに直して表記してある。60.6フィートは 日本のメートルに直せば 18.4404メートルである。

ここで疑問が出てくる。先ほどの歴史の流れで45フィートから50フィートになった事はすんなり理解できる。端切れがいい。しかし、50フィートから60.6フィートと、なぜ、半端な数字が出てくるのだろう?

これには諸説あるのだが アメリカは 45.00フィートとか50.00フィートと表記するそうだ。そういえば、アメリカで買い物をした時など 値札を見ると10ドルを$10.00と表記されていたが、このような表記がアメリカの常識なのかもしれない。

当時は パソコンなど無い時代だからほとんどが手書きで 正式なルールブックに表記する時、表記する人が60.00の.00を.60と読み間違え 60.60となったという話がある。真相は定かではないが 私はこの説を支持している。

野球にはミスがつきものだが、野球の歴史にまでもこうしたミスが残っているというのは考えただけで面白い。

さて今週のタイガース、日曜日のカープ戦の勝利をキッカケに大きく勝ち越して欲しいものだ。流れや勢いが出れば、若いチームだけに爆発力も半端ではないはずだ。

まっ、希望というか願いを込めての爆発力に今週は大いに期待している。