今シーズンから導入されたコリジョンルールの最初の犠牲者がタイガースになってしまった。

「コリジョン」とは 衝突という意味らしい。2月のキャンプで、コリジョンルールの説明を審判団から聞いた時、良し悪しは別として、「シーズン中にこのルールで揉めるだろうなぁ」とは予測していた。

何しろ、このルールが適用される時は アウトがセーフになる事は もちろん、得点を認める認めないにも関わるのだから 揉めない訳がない。

「野球がつまらなくなる」とか「納得できない」という声も聞こえてくるが、これは 我々、解説者や評論家の責任でもある。

シーズン前に ちゃんと 野球ファンの皆さんに説明をしておくべき事であり、少なくとも オーブン戦が終わる頃には ファンの皆さんに周知してもらうべきだった。

5月11日、甲子園でのジャイアンツ戦、3回表 脇谷のセンター前ヒット、大和のホームへの送球で起こったプレーでコリジョンルールが適用され、2塁走者の小林のホームインが認められた。

2月のキャンプの時期に聞いた審判団の説明から判断すれば 完全なコリジョンルール適用案件だ。

原口は 走路で捕球をしており この時点でコリジョンルールに抵触してしまう。

原口は 最初ホームベースの前にいたのだが 大和の送球がその位置では中途半端なバウンドになる為、後ろに下がった。そこが「走路」だったという訳だ。

ルールの中に「やむを得ず、走路で捕球した場合はコリジョンルールを適用しない」と、なっているが、原口が後ろへ下がった理由は、後ろへ下がった方が取りやすいから走路で捕球した訳で、つまり、自分の都合で走路で捕球したことになる。

ちょうど良いバウンドは人によって違う訳で「やむを得ず」とは言えず、あのプレーだけを見れば コリジョンルールを適用されても仕方がない。 

2月の説明から鑑み、あのプレーを公平に見れば「コリジョンルール」を適用した審判の判断は正しかったと思う。

問題は このルールの良し悪しである。完全なアウトのタイミングで なんの衝突(コリジョン)も起こらず、あれをホームインにするルールは 野球の醍醐味を失くしてしまう。

もともと、このルールは アウトのタイミングなのにランナーがワザと捕手に体当たりをしてセーフになろうとする行為やセーフのタイミングなのに捕手が走路をブロックしてアウトにしようとする行為を禁じる為のルールなのである。

つまり、この様な行為が無かったらコリジョンルールは適用されないのが当然なのである。

完全なアウトのタイミングで捕手が捕球し 正常なタッチプレーが行われれば 走者がアウトになる事に 不自然なことは何もない。

まさしく、11日の試合、原口のホーム上でのタッチプレーで走者がアウトをコールされる事は自然な行為だ。

このままだと、ホームベース上クロスプレーの醍醐味がすべて失われる可能性がある。

私も 多くのファンが思うように、このままの形でコリジョンルールを導入する事には反対である。ルールの改善が必要である。

とはいえ、各チームの首脳陣も 当然 このルールは熟知しているはずで 「こんなケースはどうだ?」「では このケースでは?」と 2月のキャンプの時に審判団に質問をしている。

その時、評論家の皆さんも説明を聞いていたので、この時期になって 声を荒げるのでは 少々 遅すぎる。

今シーズンのオフに再び話し合いが必要であろう。

今回は、このコリジョンルールがタイガースに不利益をもたらしたが 次回は恩恵を受けるかもしれない。

「今シーズンは このルールでやる」とコミッショナーから通達を出された以上、今年は、このルールでやるしかない。

しかし、いつも、メジャーリーグから「右へ倣え」と従っている日本球界だが、そろそろ、独自のルールを構築しても良いのではないか。

日本独自の日本ならではのルールもあって良いと私は思う。

カウントもボール球から言うようになった。コリジョンルールもメジャーリーグの導入を受け、日本球界も導入を決定した。何事もメジャーを真似ているだけでプロ野球の発展は望めるのだろうか。とても、心配である。

さて、先週のタイガースだが、15日のベイスターズとの試合、8回 裏、消極的なプレーで相手に得点を献上してしまった。

9回裏には クローザーのマテオが2点差を守れず、結果 5-5の引き分けになってしまった。

9回表のゴメスの本塁打で「これで勝ったな」と思った後すぐの出来事だけにショックが大きかった。

一年間を通して 色んな事が起こる。ミスによる失点も、クローザーがリードを守れない事も 一年間を通せば、どのチームにも起こり得る。

しかし、15日の試合は大和の3番から始まり、内野手のお見合いによる失点、マテオの火消しの失敗と何か良からぬことがタイガースで起こっているように見えてしまう。

小さく綻びた所から大きな綻びになる事もある。あくまで、私の想像なので勘違いかもしれない。

ただの小さな綻びなのか、大きく育つ為の試練なのか、私には判断できないが 大きく変革する為の序奏である事を祈るばかりである。

今週は 甲子園で6連戦だ。若トラ達も そろそろ 調子を戻す頃だろう。特に 高山の活躍に期待している。

頑張れ、若トラ!!