カーブ対タイガースの野球中継で アナウンサーがしきりに「 エースナンバー18を付けた前田健太の抜けた穴を……」と、 彼がメジャーに行って開いた穴を埋めるべき人間の必要性を力説していた。

そもそも、プロ野球界のエースナンバーは なぜ 「18」なのか、みなさんはご存知だろうか?

それは 若林忠志さんの背番号が「18」だったからである。若林さんとはタイガースの創立時のメンバーで45歳まで現役を続けた人だ。

この人が18番の背番号をつけ、エースとして活躍したのでプロ野球界ではエース番号が「18」となったのだ。

1942年からは 選手兼監督ともなっている。1944年には、36歳での最多勝利賞を獲得、これはプロ史上、最年長記録である。

2005年に下柳剛が36歳で若林さんの最年長タイ記録に並ぶ最多勝利賞を獲得しているが 若林さんの場合は勝率、防御率のタイトルも合わせて獲得し、この年のMVP賞も受賞している。

そして、日本で 2番目に200勝を達成した人なのである。
ちなみに 1番目は 巨人軍のスタルヒンである。スタルヒンは300勝を達成した最初の投手でもある。お二人とも、野球殿堂入りをされているが名球会のメンバーではない。

今、カープの黒田や新井が名球会入りの条件である200勝と2000本安打の達成が注目されているが 237勝を挙げた若林さんも303勝を挙げたスタルヒンも名球会のメンバーではない。

さらに、215勝を挙げた杉下茂さんも2351安打を打った川上哲治さんも名球会のメンバーではないのだ。

これはなぜかと言うと名球会入りの条件の中に「昭和生まれ」と明記されているからである。

若林さんやスタルヒンは1936年のプロ野球設立時から色んなご苦労をされた。また 言わずと知れた川上さんは「打撃の神様」と呼ばれ、背番号「16」は巨人軍の永久欠番である。杉下さんは「フォークボールの神様」と言われ日本初のフォークボーラーとして 活躍された。

この人達は文字通り「レジェンズ」なのだ。どうして 名球会入りの条件の中に「昭和生まれ」というものが入ったのか、その条件を満たさない私には理解できないが残念な思いである。

近い将来、「平成生まれ」の選手が200勝や2000本安打を達成する日が来るだろう。果たしてその時は どうするのか、大きなお世話だが非常に気になっている。

別所毅彦さんも 310勝しているが大正生まれの為、入会していない。私の個人的な思い入れではあるが 杉下さんは 今年の9月で91歳になる。大正生まれで名球会の条件である200勝を達成された、今でもご健在のレジェンドだ。

明治大学の大先輩でもあるのだが 是非 この大先輩の為にも名球会入りの条件、「昭和生まれ」を外して欲しい。

杉下さんは 今も大変 お元気である。毎年、ドラゴンズのキャンプに臨時コーチとして指導にあたっていて、90歳には見えないほど背筋もピンとしている。

「名球会がナンボのものじゃ」と杉下さんに怒られそうだが 私は杉下さんを名球会のメンバーに入れて欲しい、と思っている。

杉下さんが生まれた翌年に「昭和」になった。大正と昭和の違いが何なのか、なぜ 名球会入りの条件に「昭和生まれ」が付いたのか、疑問が残る。

一日も早く、「昭和生まれ」の条件を外して欲しいと願うばかりである。      


さて、今週のタイガースだが3勝2敗 。先週が大変な一週間だったので、1つ勝ち越した事もあり、内容的には、まずまずである。

メッセンジャーの不調が気になるところだが その分、攻撃陣が順調だ。何しろ鳥谷に当たりが戻った。その要因として、鳥谷は 多少だが足を高く上げるようにフォームを変えたようだ。

タイミングの問題なのだが、彼は左打者なので必然的に軸となる左足に体重が乗る時間が長くなる。そうすることで左の股関節にパワーが貯まり、より自分の体重を生かせるのでバットスピードが速くなるのだ。

ただ、大きく身体を使うことになるので 合う人と合わない人が出てくる。金本知憲や松井秀喜は すり足タイプで軸となる足に体重が乗ってる時間が短く、王さんやイチローは 軸となる足に体重が乗ってる時間が長い。

鳥谷は その中間だったが 少しだけ 左足に体重を乗せてる時間を長くしたようだ。これが調子を上げるきっかけとなった。

とはいえ、鳥谷が調子を落としていた理由は、彼の根本的な欠点、バットのヘッドが下がる事なのでこのことが基本的な改善とはならない。

しかし、鳥谷は ヘッドが下がる欠点を持っているのにも関わらず、上手にバットコントロールをしている。これは 天性なのだが、だからこそ、ヘッドさえ下がらなければ その天性を より活かし、もっと 違った成績を残せたと思う。

バットのヘッドが下がっても これだけの成績を残せたのだから下がらなければ 打撃のタイトルを2・3個は獲れてた選手という事になる。

バットのグリップが一番捕手寄りに動いた場所をトップと言うのだが そこから インパクトへとバットが動く。この部分を「切り返し」と呼ぶのだが、鳥谷は この切り返しの所でバットのヘッドが下がるのだ。

ヘッドが下がらなければ ヘッドはアゴと肩の間から降りてくる事になる。これが理想のバット軌道である。

鳥谷は下がるので 左肩と左の肘の間からヘッドが出てくる。これが彼の欠点なのである。これが改善されればホームランもヒットも増える。

24日のカープ戦、8回表、先頭打者の鳥谷がカープの戸田から打ったレフト前ヒットは 素晴らしいバッティングだった。まさに良い時の鳥谷の姿だ。

好不調が激しい選手なので 好調時になれば 手が付けられない。この好調を一日でも長く維持すれば タイガースが首位に立つのも時間の問題だ。今後の鳥谷には大いに期待している。

さぁ、今週のタイガース。そろそろ、岩貞を楽に投げさせて欲しい。先発投手陣の中でも安定しているのに勝ち星が付かない。不運と言えば不運だが 岩貞の時に限って打線の援護もない。

また、ベンチの中にいないと分からない事もいっぱいあるが どうも岩貞の時の投手リレーが上手くいっていないように思える。

4試合の登板で1勝1敗だが 打線の援護があれば4勝0敗でもおかしくない内容だ。岩貞に勝ち星が付けば、大きな連勝も期待できる。今週のタイガースには 大きく勝ち越す事を願っている。