改めて、これだけの戦力がありながら 最下位とは 呆れ果てる。

スポーツ紙には「マー外し、ショック療法も…」、「策打てど 断ち切れぬ負の連鎖」なんて 見出しが躍るが 私には、それらが 的を射た「療法」でも「策」でもないように写る。

そもそも、打線を繋がらないようにしたのは 誰か、という事だ。1番・鳥谷、2番・上本、3番・西岡、でスタートしたシーズンだった。

これが 上手く機能しなくなると 1番の鳥谷と3番の西岡を入れ替え、また、それでも上手くいかないと 今度は 1番の西岡と2番の上本を替えた。

その間、センターを日替わりに変え、そして、またまた 1番と2番を替え、今度は 不調の5番・マートンと6番の福留を入れ替えた。

「今年は 梅野を独り立ちさせたい」と指揮官自ら発言していたが いつの間にか 藤井と併用になっていた。そして、昨日は マートンに変え 新井をレフトで起用した。

どんな考えで 鳥谷を1番にし、どんな考えでオーダーを組むのか、調子を落としている選手への的確なアドバイス、我慢のしどころや早めの対応、昨日の新井起用も含めて やる事なす事 後手後手である。

せっかく、1軍に呼んだ中谷の起用法にしかり、松田遼馬の2軍降格にしかり、打つ手打つ手が すべて 愚策であり、愚計であり、愚案である。

これでは いつまでたっても 問題は解決しない。チームの打率、本塁打、盗塁、得点、失点、防御率、すべて セリーグワーストである。

昨日も 4万5881人もの人達が甲子園に来てくれたがこんな試合をしていれば いつか 愛想をつかれる。早期の改善策というか、理にかなった正しい解決策を 至急 取って欲しいと願うばかりである。

さて、昨日の試合、ダブルスチールを決められた5回表、2死 1・3塁の場面だ。打者が四番・ロサリオ。

どんな場面でも ランナーが1・3塁となれば 捕手から内野手にサインが送られる。これは 重盗防止のサインで もし、1塁ランナーが盗塁をしてきた時に 捕手がどのように投げるかを指示するサインである。

種類は 3つ。1つ目は そのまま2塁ベースへ送球するから 2塁ベースにカバーに入った選手はタッチプレー。

2つ目は 2塁ベースには送球するが 二遊間の選手は ベースの前で捕球して 3塁ランナーがホームへ走っていれば ホームへ送球する、というサイン。

3つ目は 捕手が投げた送球を投手がカットし、3塁ランナーが飛び出していれば ランダンプレーに持っていく、というサインだ。

攻撃側も 1・3塁での盗塁の形は 3つだ。1つ目は 1塁ランナーの単独スチール。

2つ目は 捕手の送球が投手を越えてから 3塁ランナーがホームへスタート。

3つ目は ギャンブルスタートで捕手が送球したと同時に3塁ランナーがホームへスタート、の3つだ。

攻撃側の作戦に応じて 守備側も それに対応する作戦を取るのだ。 普通、四番打者が打席に入っている時の攻撃側の盗塁は 1塁ランナーの単独スチールのケースがほとんどである。

これは 信頼関係で、チームで 最も ランナーを返せる人が四番だからである。

藤井は 1つ目のサイン、2塁ベースに送球するからタッチプレーをしてくれ、というサインを送ったと思う。

結果論で言えば、藤井が3つ目のサイン、投手カットのサインを出していれば 3塁ランナーの田中は 三・本間に挟まれ ランダンプレーになっていたと思う。では、なぜ、藤井が 3つ目のサインを出さなかったかと言うと、もし単独スチールだったら 2つ目のサインや3つ目のサインを選択すれば 当然 ランナーを殺す事が出来ず、2死 2・3塁の形をみすみす作ってしまうからだ。

その後、四番打者にタイムリーを打たれれば 2点を献上してしまう格好になる。常識で考えれば 四番で外国人が打席に入れば、1つ目のサインを出した事は 間違いではない。

重盗の場合、3塁走者は 捕手の送球した高さを瞬時に判断し、 投手カットなのか、そのまま ベースへ送球されたのかを見極めスタートする。

ただし、このスタートの場合、守備側の2つ目のサインのベースの前で二遊間がカットする作戦を取られるとホームでアウトになる確率が高くなる。

そこで 打者が 投手やそれほど打たない打者の場合、攻撃側が3つ目のギャンブルスタートという作戦を取ることがある。ボールが捕手の手を離れる ちょっと前に 3塁ランナーがスタートするのだ。

あまり、早過ぎると 捕手がセカンドに投げてくれない。遅くなれば ホームインできない、という難しいスタートである。

ギャンブルなだけに 投手カットのサインが出ていれば 自らアウトになりに行くようなものだ。

昨日のカープは ギャンブルスタートをしてきた。それに惑わされた 上本が 2塁ベースの前に出てしまい「追いタッチ」のような形になり 1塁ランナーの丸を殺す事が出来なかった。

おそらくだが 上本がベース上でタッチプレーを行っていれば アウトにできたと思う。つまり3点目は 入っていなかった。

確かに 上本のミスもあったが 捕手の出す重盗防止のサインは ベンチから出る。つまり、ベンチが2塁へ送球しろ、と指示したのだ。

繰り返しになるが、 2塁へ送球した事自体は 誤った選択ではない。ただし、通常ならば、である。

通常は考えられない四番・ロサリオでギャンブルの重盗を敢行した広島のベンチと常識に囚われたタイガースベンチの差が出た瞬間であった。

丸が 2塁ベースの手前で 上本にタッチされないところでストップすれば より完璧な形の重盗であった。もしかしたら、3塁ランナーの田中が勝手に ギャンブルスタートしてしまったのかもしれない。

ここのところは すべて 想像の域を越えないが 重盗を決めたチームは「してやったり」の気分だろう。

いつになったら タイガースの選手達も こんな気分に浸れるのか、先が思いやられる。