完全試合とノーヒットノーランの違いを知らない人はいないだろう。しかし、よく ノーヒットノーランの話題になった時、「四球でランナーが出たのに なんでノーランなんだ?」と質問されることがある。

ノーランの「ラン」は ランナーのランという意味ではなく、「得点」という意味だ。

本場アメリカでは 得点を「ラン」と表現しているのでノーヒットノーランとは 0安打で0得点という意味である。だから、投手が0安打で抑えても 四球やエラーで得点を許せば ノーヒットノーランではなくなる。

私の母校・栃木県立小山高等学校は 作新学院の怪物・江川卓さんに ノーヒットで勝利したことがある。

延長 11回、エラーと四球を絡め、最後はサヨナラスクイズで勝利した。私の小学校の頃の話だが 小山高校では 今でも 都市伝説ではないが 語り草である。

まっ、田舎者の自慢話で 小山高校野球部としては 「あの江川に勝ったんだ」という数少ない自慢話だ。

さて、昨夜の試合、6回を終えたところまでは 「もしや」は 確かにあった。石川への死球で 何かが崩れるように 試合の空気を一変させた。

とは言え、完全試合やノーヒットノーランの記録が見えてきた時に往々にして見られる光景だ。その事を踏まえ、石川の死球では 梅野がマウンドに駆け寄り、梶谷のヒットでは ベンチから投手コーチが飛び出してマウンドに行き、一息 間を取った。

以前にもブログに書いたが 私が小山高校時代、投手をしていた事があり、球は速いがコントロールの悪い投手だった。

私は マウンドにナインが集まるのが好きでなかった。せっかく、私の為に わざわざマウンドまで来てくれて激励してくれるのに その行為が 私は あまり 好きでなかった。

せっかく 声をかけてくれたチームメイトなので 笑顔で応えなくてはならないし だいたい ワンアウトやツーアウトとみんなで指を立て確認する行為が好きじゃなかった。

とは言うものの、そこは キチンと他の選手に不快感を与える事なく体制に従ったが本音を言えば 苦痛だった。もちろん、私は少数派だと思う。みんなが集まった時間がペースを乱される気がして 自分で その時々に応じて 間を作りたい人間だった。

岩田は どちらのタイプかは分からない。しかし、さほどピンチでもないのに マウンドに代わる代わる行けば 間もリズムも変わってしまう。

「間を変える」という行為は 悪い間なら変えれば良いが 良い間なら悪くなってしまうわけである。石川の死球や梶谷のヒットが 岩田のメンタルにどんな影響を与えたのか 本人に聞かないと分からない。

梅野や投手コーチがマウンドに行った事が良かったのか悪かったのか、それとも なんの影響も与えなかったのか、それも想像の域を越えない。ただ、チームは勝利したが 本当に もったいない試合だったなぁ、と思う。

フォークボールが抜けて石川への死球となったが タラレバだが あれがなかったら大記録を達成できたんじゃないか、 凄い瞬間を目撃できたのではないか、と 今も 残念でならない。まっ、岩田なら また チャンスがあるだろう。

今夜の試合、大記録とは言わないが せめて目覚めたマートンの姿が見たいものだ。