快勝だった。7回裏の0死・満塁を除けば 安心して見ていられる試合だった。

この勝利の立役者は ゴメスだったり藤浪なんだろうけど 私が感心したのは高宮だ。

8回裏、2死 2塁で阿部を迎えた場面だ。4-1と3点 リードしている展開で ベンチから和田監督が出て来たので 私は 残っているリリーフ陣の顔ぶれを考えて、てっきり 呉昇桓だと思い込んでしまった。

前の打席で本塁打を打っているとはいえ 3点差 8回裏 2死で 福原から呉昇桓にスイッチするのは 福原への信頼と呉昇桓の疲労を考え「また、しでかしたな!」と早とちりをしてしまった。

実際に マウンドに上がったのは高宮で、私は こんな大事なステージの緊迫した状況を考え、正直、高宮では荷が重いと思った。しかし、これが見事なピッチングだった。

最後は カーブで空振り三振に打ち取ったが 1・2球目がストレート、そこから3球続けてスライダーを投げ カウントが3-2となり首を振る高宮に思わず捕手がマウンドに行き、バッテリーが勝負球に選んだのがタイミングを外すカーブだった。

あの緊張した場面での 冷静な判断と、コントロールミスが許されない場面での見事な精度のカーブには「恐れ入りました」と心から称賛したい。

「意表を突く」というか「裏をかく」というか 「してやったり」の爽快な1球だった。

高宮は4年ぶりの東京ドームでのマウンドというが それを感じさせない堂々としたマウンド裁きであった。また、あの場面で 高宮を選択した和田監督も称賛したい。

第1ステージでは 相変わらずの采配が目立ったが 昨夜の継投は 今までにない和田豊を見た気がする。

来季は 4年目を迎えるわけで 野村克也さんは 常々 「捕手は 大舞台、日本シリーズを経験して大きく育つ」と言っていた。私は 捕手だけではなく 大舞台を経験すれば すべての人間が大きく成長すると思っている。この経験が 和田監督のみならず、このCSに関わるすべての人間が成長すると思っている。

タイガースは今、本当に 良い経験をしている。日本シリーズへ駒を進めることも大事だが、来季、ジャイアンツの4連覇を阻止する事も大事である。

周りを見渡しても ジャイアンツと対等に勝負できるのはタイガースしかいない。今、行われているクライマックスシリーズが 1試合ごとに タイガースの血となり肉となって みんなが成長してくれる事を確信している。今夜の試合も 爽快な試合を期待している。