昨夜の試合、 初球を左中間に2塁打された後の能見のピッチングは見事だった。

ストレートの球威、変化球のキレ、それらの制球力は「お見事」と言うほかない。問題は 持久力というか スタミナというか どれだけ 長いイニングを この精度を保ったまま 投げられるか、という所だろう。

6回に 心配していたそのスタミナの問題が顔を出す。球質が変わってしまったようだ。球威のあったストレートを石川や多村に打たれ キレのあったフォークボールを梶谷やブランコに簡単に打たれてしまった。

結局、和田監督も この回で能見を諦め 安藤にスイッチした。能見は この回だけ悪かったのかもしれない。続投させておけば 残りのイニングをピシッと抑えたかもしれない。あるいは、反対に 本当にこの回が限界で 続投させていても次のイニングも追加点を取られたかもしれない。

こればかりは 想像の域を超えない。しかし、ハッキリしていることは あのイニングで交代させられたと言うことは エースの称号をはく奪されたという事だろう。

6回 97球 自責点3、ベンチからエースとしての信頼があれば 6回で 交代させられる事はない。もちろん、これは能見が結果を残していない事がすべてである。ただ、現実にあれだけのボールを投げていながら なかなか 勝てないのは気の毒である。

よく試合後に好投した投手のコメントに「最初から 飛ばしました」とか 「後の事を考えず 目の前のバッターに集中しました」というのを耳にするが そういうスタイルが合っている投手とペース配分を考えないとダメな投手がいると思う。

「行けるところまで行きます」と言うと 全力を出し切るイメージがある一方で あと先を考えない行き当たりばったりのようにも聞こえる。また、最初からペース配分を考えて投げる行為は 何か一生懸命さとか必死さが伝わって来ないイメージがある。投手という職業は 本当に難しい。

私は プロでこそ投手経験は無いが 高校生までは投手だった。三振を10個取るが 四死球も10個出すような、球は速いがコントロールが無い投手だった。当然、毎日、投げ込みが待っていた。1日 何球 投げたか分からない。試合を完投した後も ブルペンで投げ込みが待っていた。

その甲斐もありフォアボールもほとんど出さなくなった。毎日の投げ込みで スタミナにも自信があった。200球ぐらい 平気で投げられた。しかし、高校生最後の夏の県予選、初戦の試合中、肩を壊してしまい 二度とマウンドに立つ事はなかった。

肩は消耗品だと言う人もいる。また、メジャーでは 肘の手術を受ける投手も多い。しかし、投げ込まないとスタミナは絶対につかない。そのバランスが非常に難しい。

先発投手は シーズン中に投げ込む事はない。中 6日のローテーション投手が 試合と試合の間に「投げ込み」をする事は自殺行為である、とされている。しかし、走るだけでは 投げるスタミナはつかない。

この難しい問題を 能見自信で解決して 昨夜のようなキレと球威が 9回とは言わないが それに近いイニングを投げられるように努力して欲しいと切に願っている。