大味な試合になってしまったが タイガースサイドから見れば 今週からのカーブ戦やジャイアンツ戦に弾みのつくいい試合になった。

良いムードで挑める。ただ、こんな良いムードで試合を挑めるのに少々 気になるのは台風の影響なのだが こればっかりは 「神のみぞ知る」 である。なるようにしかならない。


さて、昨日の試合 7回 表 1死 1塁、点差は3点で伊藤を迎えた場面だ。ネクストバッターサークルには 安藤の代打、関本の姿が見えた。伊藤がチャンスを広げれば、或いは凡退しても 関本のバットに期待を掛け追加点を取りたいという和田監督の考え なのだろう。
それはそれで 良いと思うが 結果は 思わぬこととなった。伊藤が本塁打を打ったのだ。

これで 5点差となり ランナーも居なくなってしまった。こういう場合、普段は 関本を呼び戻し 若手の野手が代わりに代打に行くものである。ところが、出てきた代打は 新井貴浩だった。

実績もある ベテラン選手に この扱いは酷である。プライドや自尊心を傷つける扱いである。

この日は 早めに投手交代が行われた為 ペンチもブルペンも慌ただしかったと思うが 俊介や坂 最悪でもそのまま 関本を代打に送れば 何の問題もないのだ。

俊介や坂は 確かに マートンやゴメスの守備固め要員だが その後の場面によっては 福留も新井も行ける。つまり、状況が状況なら ベテラン選手も喜んで監督の要求に応えるのだ。にもかかわらず、あのような場面で 新井貴を代打に出すのは あまりにも 可哀想である。

たぶん、新井貴は 関本がネクストバッターサークルに行った時点でスイングを止め 緊張の糸を一度緩めたと思う。もしかしたら、スイングルームからベンチに戻っていたかもしれない。

そんな中で、伊藤に本塁打が出たからと、急に 「新井、行ってくれ」と言われても どうしようもない。そういう役割は 昔からプロ野球界では 若手選手がやることになっているのだ。

このことだけに限らず、こういう事が 首脳陣の配慮というものであり 選手が意気に感じるところなのである。こういった意気な計らいが 上司と部下との間に信頼関係を築き、その蓄積がやがて「監督の為に」となるのだ。

星野仙一監督や野村克也監督は 本当に それが上手かった。自然とできた事なのか意図的にした事なのかは分からないが 彼らはとにかく選手に対する配慮が素晴らしく 信頼関係を築いていったのだ。

所詮、人間は感情の動物である。感情は 全ての 動機になる。強いチーム(組織)とは 単に戦力を集める事では成り立たない。福留の処遇も新井貴の扱いも 若手選手は見ている。

「俺も ベテランになり 力が衰えれば あんな扱いになるのか」と思うかもしれない。
そんなふうに若手選手が思えば チームに対して 犠牲心や忠誠心など生まれない。

残り 68試合、奇跡の逆転優勝を果たす為 メンタル面も含めて チーム一丸になって欲しい。76試合戦って 貯金が3のチームが 残り68試合で 逆転優勝なんて無理だよ、という声もあるだろう。しかし、可能性は ゼロではない。可能性は 低いが 最後まで 信じて応援したいものだ。明日からの9連戦 楽しみにしている。